一級建築士で家づくりコンサルタントの船渡亮(ふなとあきら)です。これまで、海外も含めて日本全国で1000組以上の注文住宅の間取り診断をさせて頂きました。
今回は、注文住宅を検討している施主向けに、5ステップで間取りの書き方を解説します。
間取りは、ポイントを押さえれば誰でも書けるものです。土地購入や建替えなどを考える時に、どんな家にしたいか?や、家族の意見をまとめる意味でも、施主が間取りを考えるのは良いことだと思います。 家族の意見をまとめたり、理想の暮らしをイメージしたりするツールとして、間取り図を書いてみましょう。
間取り図の書き方
間取り図は、これから紹介する5つのステップで、簡単に作ることが出来ます。
まずは、実践してみましょう!
①方眼紙を用意する(又は、間取りソフト)
まずは、間取りを書く紙が必要です。 紙ならチラシの裏でも良いのですが、一番簡単に間違いなく書けるのが、方眼紙です。
なぜ方眼紙が良いか?というと、日本の多くの木造住宅は、910mm×910mmの升目(方眼)を基準に間取りが作られているからです。
極論、この升目をいくつ使うかを考えることが、間取りを考えること、になります。
升目いくつで、何が出来るか?を下記に記載しました。参考にしてくださいね。
2升目910×1820 1畳 (トイレ、押入れ)
3升目 910×2730 1.5畳 (キッチン)
4升目 1820×1820 2畳(お風呂、洗面所、玄関、階段)
12升目 2730×3640 6畳
方眼紙は、こちらで購入できます。 通常の1cm角のものでも良いですが、建築用の9.1mm角のものだと、丁度、1/100の縮尺になりますので、定規で寸法を測ることが出来ます。
半透明のものですと、下が透けて見えますので、それぞれの間取りを比較しやすく便利です。
ついでに、三角スケールもあると便利です。
これから頻繁に見るようになる、1/100や1/50図面の寸法を測ることが出来ます。
いやいや、今すぐ、間取りを描きたいんだよ!と間取り熱が燃えたぎってる方には、こちらのサイトで、方眼紙をダウンロード出来ます。
手書きより、PCやスマホで描きたいって場合は、下記サイトで、ソフトやアプリを紹介してますので、参考にしてくださいね。
②自宅を間取り図で再現する
じゃあ、理想的な間取りを作る!って考えてしまうと、間取りを作るハードルが上がってしまい、なかなか手が動きません。
理想の間取りといっても、敷地の大きさや、法規などにより制限があります。それを無視して考えても意味がありません。
それにいきなり間取りを書くのって難しいです。
ので、見本が欲しいとこですが、建替の場合は、最高の見本があります。
そう、今、住んでいる家ですね。
10畳の寝室、といった時に空間をすぐイメージできなくても、 「住んでいる家の寝室が八畳だから、あと二畳広い」なら、わかりやすいですよね。
また、住んでいる家は、空間の感じ方や暮らし方に影響を与えます。 狭い、広い、高い、低い、暑い、寒い、などは全て、主観的で相対的なものですが、その基準となるのが、これまで住んできた家です。
自分がこれまで家について感じてきたことは、実際、どのような寸法で成り立ってきたのか? を知るためにも、今、住んでいる家の間取りを再現してみましょう。
壁の線を書く
間取りで、まず書くのは、壁の線です。 では、ここで質問!
自宅を再現する場合、壁のどこを測れば良いと思いますか?つまり、壁の内側か?外側か?中心か?
平面図を見たことある方ならわかりますよね、 答えは、壁の中心です。正確には、柱(軀体)の中心になります。これを壁芯と言います。
中心って、じゃあどこを測ればよいのか?ってことになるのですが、 これは実は難しいです、柱の中心を測ることは出来ないのですから。
ですが、先ほども離したように、日本の木造住宅は、910のグリッドがほとんどです。 例えば、部屋の壁から壁までの長さが、3500mmくらいだったら、壁芯ですと3640、と想定して、 線を引いていく感じになります。
また古い木造家屋なら、和室の柱が910か、1820mmごとに入っいますので、それを数えれば良いですね。
910の升目に書けない寸法の場合
910の倍数であれば、升目に沿って書けば良いので簡単ですが、たまに、910より小さい半端な数字の場合があります。
910/4=227.5
910/3=303
910/2=455
910/3×2=606
これらは、910を割った数字になります。
壁以外の要素を書く
間取り図には、壁以外に、ドアや窓など色々な要素があります。
最初は、壁の線だけで良いですが、余裕があれば、壁と同時に、窓やドアの位置を書き入れた方が効率的です。
また、敷地境界線も必要ですね。 現状の壁から、敷地境界線まで、どのくらい離れているかを測ってみましょう。 実際に測れるのは、外壁面から敷地境界線までの距離です。
とりあえず、その寸法を測って頂き、80mmくらい足せば、壁芯の寸法になります。
近隣の建物の位置も示す
間取りは、自分の敷地だけでなく、周りの敷地にどんな家が建っているか?を知ることも、日当たりやプライバシー確保、防犯の為にも重要です。
ので、敷地を書いた間取り図に、近隣の建物も書いていきましょう。出来れば、窓の位置も分かれば、窓の位置検討の参考になりますね。
③間取り図に問題点やアイデア、希望を書き込む
②で作成した間取り図に、現状の暮らしで改善したい点や、希望、アイデアなど、書き込んでいきましょう。色々書きたいかと思いますので、数枚、コピーを取ってから書くと良いですね。
まずは、出来るか、出来ないかは考えずに、家族の意見をとりあえず、書き込んでくださいね。
改善したい項目として良く出るのは、、、
・洗濯干し部屋が欲しい
・家事動線を良くしたい
・WICが欲しい
・収納を多くしたい
・日当たりを良くしたい
・土間収納が欲しい
・書斎が欲しい
などですね。
これらを書くだけでも良いのですが、出来れば、なぜ欲しいのか?まで、突っ込んで考えてみましょう。
例えば、 洗濯干し部屋が欲しい のは、
天気に左右されず洗濯でき、動線も短くし、しかもLDKから見えないところに干したいから
であれば、独立した部屋ではなく、他の部屋(例えば、隣接すり和室)で兼用しても良いですね。
このように、こういう部屋が欲しい!と思ったら、それは、何の為に必要なのか?
まで明確にすると、間取りを考える時の思考が自由になるので、お勧めです。
④新居の間取り図を書いてみる
では、新居の間取り図を書いていきましょう。 ②で敷地と現在の建物形状がわかりましたので、その図の上に方眼紙を重ねると、書きやすいですね。
③でアイデアや希望を出したので、それを解決するように間取りを考えます。
間取りは、自由に発想してみましょう!
と言いたいところですが、最初は難しいです(苦笑)
ので、最初はリフォームをするつもりで、考えてみると良いですね。階段と外壁の位置を変えずに、それ以外の間仕切りを変えていく、という感じです。これなら、空間を把握しやすく、検討もしやすいです。
間取りに強い方は、ガンガン考えていきましょう。
間取り検討のコツは、一つの間取りをアレコレ弄り回すのではなく、とりあえず、一つ案を仕上げることです。
一つ作って、間取り案①とし、日付けを入れてストックして置き、次の案を考えます。 次の案では、玄関や2020階段の位置を変えてみると良いですね。
この様に、間取り案①、②、③とストックしていくと、間取りを客観的に見れるし、家づくりの方向性も見えてきます。いくつか、検討してみましょう!
⑤色々な間取りを見て、アイデアを取り入れる
間取りがいくつか出来たら、書籍やチラシなどで、色々な家を見て、アイデアを取り入れていきます。
かえるけんちく相談所でも、間取り関連の記事を多くありますので、参考にしてください。
[postlist catid=”42″ btntext=”もっと見る”]
またこちらの記事では、間取り診断事例をまとめています。様々な間取りの問題点を説明し、改善提案をしている様子を動画で確認することが出来ます。
キッチンは、LIXILやTOTO、クリナップなどのショールームに行って、実物を見た方が良いですね。今のキッチンはかなり収納力があるので、
キッチン廻りの収納は大丈夫?
という不安も軽減するかもしれません。
ショールームには、メジャーを持参して、気に入った商品の寸法を測って、自分の間取りに当てはめてみましょう。ショールーム見学の方法は以下の記事を参考にしてください。
失敗しない間取りの型
さて、ここまで間取りの書き方を5stepで書いてきましたが、間取り検討の場合に試して欲しい間取りの型があるので紹介します。
こちらです。
東西に長いLDKの間取りです。この間取りの良いところは、家族が集まるリビング・ダイニング・キッチンのどれもが日当たりや眺望がよく開放感があることです。私が間取り改善をする場合には、必ずこの間取りの型が入るのかを検討します。
もしちゃんと入った場合には、その間取りの成功は間違いなし、となる型です。実際の間取り改善のビフォーアフターを見てみると、、、
W様の事例(単世帯住宅)
K様の事例(単世帯住宅)
S様の事例(2世帯住宅)
Y様の事例(2世帯住宅)
と、パッと見ただけでも、間取りが良くなっていることがわかると思います。ビフォーアフターの内容について詳しく知りたい方は動画(10分程度)を視聴してくださいね。
間取りの型については、こちらの記事でも紹介しています。
日当たりも確保する
先ほど、間取りの型を紹介しましたが、そもそも日当たりが悪い配置であれば、南に沢山窓があっても意味がありません。
では、日当たりを確保したい場合に、南側はどの程度の距離をとれば良いのか?ですが、一つの目安は6Mとなります。
6Mあれば上図のように、一年で一番日照時間が短い冬至(12/22)での1階に直射日光が入ります。詳しくは下記のブログで紹介していますので、チェックしてみてくださいね。
間取りの後悔事例も確認しよう
自分で書いた間取りは、なかなか客観的に見れないものです。こちらの記事では、13の間取りの後悔ポイントをまとめましたので、チェックリストとして活用してみてください。
では!
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