家づくりにおいて、住宅会社選びと同じく大変なのが、間取り確定です。
様々な間取りの方向性を検討している時は楽しいのですが、最終的に1つの間取りに決めるには決断が必要です。
間取りには部屋配置や日当たり、収納、デザインなど様々な要素がありますが、暮らしに直結する「動線」はとても重要です。動線は主に、通勤通学動線、家事動線、育児動線がありますが、それらの動線について住宅会社は説明してくれないので、施主自身で理解する必要があります。
この記事では、施主自身で動線を理解するためのシミュレーション方法を紹介します。
Contents
動線シミュレーションとは

施主自身が動線をチェックする方法として、もっとも有効なのは「間取りで暮らす」という動線シミュレーション方法です。
「間取りで暮らす」は、私が2017年9月に発刊した私の著作『間取りで暮らす技術1』で詳しく話していますが、簡単にいうと、実際に暮らしているかのように、一日の動きを間取り上でシミュレーションする、というものです。
朝、起きてから、就寝するまでの動きを、間取りの中で動いてみてシミュレーションすれば、実際に住まなくても、自分達がどのように暮らせるかがわかります。
特に、通勤通学動線、家事動線、育児動線といった毎日のルーティーンは、やることが決まっているので、かなりの精度でシミュレーション可能です。
私は間取り診断する場合には、施主の方から30項目以上のアンケートやヒアリングを行い、施主になりきって「間取りで暮らす」わけですが、施主自身が行う場合には、「自分や家族ならどう動くか?」を考えるだけです。
将来的に、VRの精度が高まれば、「実際に住んでいる」かのようなシミュレーションも可能かもしれませんが、現在のVRでは動線シミュレーションは無理です。
「間取りで暮らす」は、シンプルで間取りさえあればどこでもでき、難しくもないので、是非試してみてください。
参考書籍
『間取りで暮らす技術1:かしこく家事時短する動線の方程式』
無料お試し版
『間取りで暮らすヒント:家事時短で夫婦円満な家づくり』

動線シミュレーションの3ステップ
動線シミュレーションは、以下の3つのステップで行います。間取り図を用意して実践してみてください。
1.図面に家具を配置する

まずは、図面に家具やモノを実際の寸法で記入してください。
大手ハウスメーカーや提案力のある工務店なら、ダイニングテーブルやソファ、テレビくらいは間取り図に記載されていると思います。
その他、ベッドや勉強机などの家具や、ピアノ、くつ(玄関土間におく数だけ)、自転車、ルンバ、ペットのゲージなども書き込みましょう。
ここで重要なのが、「実際の寸法」の部分です。
提案された図面に記載されている家具は、CAD(図面を書くためのソフト)に登録されているパーツをそのまま入れている場合も多く、あなたが実際に置く家具の大きさとは違う可能性があります。
先日、私が診断した図面に記載されていたシングルベッドの寸法は、1600×800と非常に小さいものでした。シングルベッドの大きさは通常、2000×1000なので、恐らく間違って縮小してしまったのだとは思います。
家具の大きさが実際よりも小さいと、部屋が実際よりも広く見えるので入居してから「こんなはずではなかった!」となりがちです。また家具が入らない、ということもあり得ます。
必ず図面上の家具寸法を定規で確認しましょう。
ちなみに、縮尺が1/100の図面の場合、図面での1cmは、実際は1mになります。1/50の場合は、2cmが1mですね。
設計士が使っている、三角スケールを使うとわかりやすいですね。1000円程度で購入できます。
参考記事:
家づくりで施主が揃えるとかっこいい道具とは~三角スケール、メジャー、電卓他~
2.間取りで暮らす

家具を配置したら、実際に、間取りで暮らしてみましょう。
さきほど、「朝、起きてから、就寝するまでの動きを、間取りの中で動いてみてシミュレーション」と書きましたが、シミュレーションとしては、帰宅してから出勤(通学)するまでの流れの方がわかりやすいですね。
とりあえず、以下のざっくりした流れを間取り上で確認してみてください。
帰宅動線
玄関に入る→靴を脱ぐ→床にあがる→リビングに入る→洗面所で手を洗う→買ってきたものを収納する→部屋着に着替える
家事動線
食事の準備→配膳する→片づける
洗濯機を回す→干す→取り込む→畳む→収納する
出勤動線
起床する→朝食を準備する→配膳する→片づける→歯を磨く→子供に服を着させる→メイクする→ゴミを集める→出かける
3.未来を想定し間取りで暮らす

2では、現在の自分でシミュレーションしてみましたが、注文住宅で建てた家には何十年も住む可能性があります。
そのため、未来の自分を想定してシミュレーションしてみましょう。
間取りで暮らすコツ

間取りで暮らしてみて、良い動線なのか?悪い動線なのか?の判断がつかない場合には、今のお住まいでの動線と比較するのが良いですね。
現在の住まいがフラットなマンションの場合、2階建ての戸建てになった場合、部屋や収納は大きくなりますが、家事動線は長くなる傾向にあります。
長くなった動線がどれくらいなのか、階段の上り下りもあるのか?という部分もチェックするようにしましょう。
改善したいと思う動線がある場合には、その旨を住宅会社に相談しましょう。
自分で改善案を検討してみても良いのですが、まずが住宅会社から提案をもらった方が良いですね。
提案してもらった案が良ければそれを採用し、自分の方が良かったら、そちらでお願いする、という風に考えましょう。
動線シミュレーションの事例
かえるけんちく相談所では、実際の間取り診断の動画を(施主の許可をもらって)Youtubeで公開しています。
また動線についての記事もいくつかありますので、動線シミュレーションの参考にしてくださいね。
動線シミュレーションの教材を紹介

ここまで、動線シミュレーションの方法を紹介してきました。
この記事を実践して頂くだけでも、動線の問題を発見できるかと思いますが、本格的に動線シミュレーションして問題を改善したい方には、こちらの教材がお勧めです。
【セルフ間取り診断】動線をシミュレーションし隠れた問題点を発見する
動線シミュレーションの方法を実際の事例を用いて紹介。
間取りを用意していただければ、動画を見ながらシミュレーションを実践できるようになっています。
Udemyというプラットフォームで4800円で販売していますが、ブログ読者限定のクーポンを使えばお得意参加できます。下記から購入できます。
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