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【建築士が厳選】間取り診断で見かける「ダメなリビング」5選

間取りのセカンドオピニオンで一級建築士の船渡亮(ふなとあきら)です。

今回の記事では、間取り診断で見かける「ダメなリビング」について話していきます!

家族が集まるリビングは、家の中でとても大事な部分ですが、ここがダメって結構、ヤバイ間取りです。

ダメっていうのは、どういう事かというと、

・家族が寛げない
・快適ではない
・会話が弾まない
・すぐ喧嘩が起こる
・狭く感じる

といったことが起こってしまうリビングです。

特に子育て世代にとっては、リビングやダイニングで過ごす時間は大事なので、ダメリビングにはしたくないですよね?

今回は、ダメリビングの間取りだけでなく、その改善案も解説します。
もし、ダメリビングに該当しちゃった場合は参考にしてくださいね。

本記事は、YouTubeチャンネル「アキラ先生の住まい間取り教室」をテキスト化したものです。動画版はこちらから視聴できます。

YouTubeは、週3回更新していますので、合わせてご視聴ください。

目次

1. ソファ・テーブルが置けない

まず1つ目は、「ソファとテーブルが置けない」です。

そんなこと、ある? って思われる方もいるかもしれませんが、間取り図に、ソファやダイニングテーブルが書かれていない場合に、よく起こります。正確には、「最適な大きさのソファやダイニングテーブルが置けない」ということです。


ハウスメーカーによっては、部屋を大きく見せるために、わざとダイニングテーブルやソファを小さく書くという会社もあるので、要注意です。

Tさんの事例を紹介しますね。

Tさんは、大物俳優を使ったCMで有名な大手のハウスメーカーで建てることを検討していました。

間取りはこちらです。

このようにハウスメーカーからの提案には、ソファとダイニングテーブルは書かれてないですね。
これでは、広さがわからないので、私の方で書き込みました。

こんな感じです。

このように4人家族のTさんの場合、ソファとダイニングテーブルを置くと、リビングがかなり狭い印象です。

またリビングが狭いので、ダイニングテーブルの大きさは、135cmで書いているのですが、4人家族なら、150cm以上が理想です。リビングの大きさを広げることが出来ないなら、ダイニングソファにした方がゆったりするかもしれないですね。

ダイニングソファは、ダイニングテーブルとソファを組み合わせたもので、ファミレスのテーブルに近いイメージです。

では、どうすれば良いのか?

リビングを広くする、となると、床面積を増やす、という発想になりがちですが、それだとコストアップしていまいます。リビングを広くするための、もっとも良い方法は、

「この間取りに無駄な部分がないか?」

を探す事です。そこで私が目を付けたのが、玄関です。

広い玄関は魅力的ではありますが、リビングを極端に狭くしてまで、玄関を広くする必要はありません。

Tさんの場合も、特別、玄関を気に入っているわけでもなかったので、ここをガッツリと変更しました。

玄関を90cm狭くして、リビングを広くしました。

こんな感じでなら、大きめのダイニングとソファを置いた上で、ゆったり感が出ていますね。

この事例は極端に思えるかもしれませんが、18帖以上のLDKでも、形によっては、ソファとダイニングテーブル、そしてテレビを配置しにくい、ということはあります。

まず、間取りに、ソファ・ダイニングテーブル・テレビが、希望通りの大きさで記載されているか?
を確認してみましょう。

2. キッチンからテレビが見れない

2つ目は、キッチンからテレビが見れないです。

もちろん、料理や片付けの時に、「絶対、テレビが見たくない・視界に入って欲しくない」という方もいます。

そこまで強い希望があるなら良いのですが、多くの場合、「出来れば見たい」とか「見れても見れなくても良い」

という感じかと思います。

そうだとしたら、キッチンで調理や片付けしている時に、テレビが見れないのはストレスかもしれません。

こちらも、事例を見ながら話しますね。
「この間取り、ここが問題です!」から、事例10の岸さん夫婦の間取りを引用します。

この間取り、キッチンからリビングやダイニングにいる家族を見ることは出来ますが、テレビの背面しか見えない間取りになっていました。

食事中はテレビを見ないようにしている、というのであれば、問題なさそうではあるのですが、ダイニングからテレビが見れないのと、キッチンからテレビが見れないのでは、意味が大きく異なります。

例えば、食事前や、食後に、ソファに座ってテレビを見よう!っといったこともあるかと思いますが、その場合、キッチンで料理や片付けをしている人はかなり孤独とストレスを感じます。

片付けに関しては、テレビを見終わってから、家事するということも出来ますが、料理に関しては、そういうわけでも行きません。

また、この間取りの場合は、ダイニングとリビングにいる家族が会話できないのも問題です。

なぜ、工務店がこんな間取りを提案したのか? 不思議です。

流石にこれでは暮らしにくいので、このように改善しています。

東西に長いリビングを採用し、LDKのどの位置からも、テレビを見れるようにしました。

元モーニング娘の辻希美(つじ のぞみ)も話されていたのですが、彼女の家は、元々キッチンが壁向きになっていたんですね。

その所為で、リビングでテレビを見ながら談笑している家族の会話に入れずに、かなり疎外感があったようです。最近、リフォームされて

「家族の会話入れて、料理を作れる新しいキッチンは最高!」

と話していました。

キッチンは、家族の様子がわかり、会話もでき、かつテレビが見れることを基本と考える方が良いです。

3. 和室との繋がりがイマイチ

3つ目は、和室とのつながりがイマイチなリビングです。

リビング脇に和室を配置したい、という施主は多いです。独立した和室と違い、リビング脇の和室は、

・リビングが広く見える
・リビングと一体に使える
・オムツ替え
・子供の昼寝
・予備室・客室
・家事室
・将来の寝室
・一時的な物置

といった多用途の部屋として活躍します。

私の自宅にもリビング脇に和室があって、すごく助かっているのですが、和室って、あれば良いってものでもないんです。よくあるのが、リビングと一体的に使えない例です。

今回も事例を見ていきましょう。

去年、間取り診断した3人家族のMさんの間取りです。

南側にLDK、北側に和室という間取りなのですが、和室とLDKのつながりがイマイチです。

キッチンの目の前が和室、という感じなので、リビングとは一体的に使えません。

リビングにソファを置けないのも気になります。

また、せっかく東西に長い敷地なのに、それを活かすうような間取りになっていません。

敷地を若干、持て余しているようでした。

そこでこのように改善しました。

リビングが広くなったので、床面積は増えましたが、和室が南側配置され、リビングとの一体利用ができるようになりました。

このような形であれば、お盆やお正月などに家族が集まる時にも、広く使えます。

もう1事例紹介します。

Tさんの事例ですが、こちらはダイニングと和室が繋がっていて、リビングとの一体利用ができません。また、リビングの形もイビツで、動線的にも問題が多い間取りです。

そこで、玄関や階段を移動して、全く違う間取りに改善しました。

こちらは床面積は変えていませんが、リビングと和室が一体的に使えるようになっています。

このように和室は、リビングと一体的に使えることを意識して配置することが原則です。

4. 家族が邪魔になる

4つ目は、家族が邪魔になる、です。

「家族が邪魔?」って意味がわからないですが、要は、人が動く時に、他の家族がいることが邪魔でストレスがあるような間取りですね。

こちらは、「この間取り、ここが問題です!」の事例11 堺さん夫婦の間取りから、引用します。

この間取りでは、家族専用の帰宅動線が計画されています。

洗面室で手を洗い、ダイニング横を通って、キッチンに辿り着く、という帰宅動線です。

これ、何が問題かというと、ダイニングと冷蔵庫の部分が狭いので、誰か席に座っていると、邪魔になってしまうことです。

お行儀よく座っていれば良いですが、「だらっと」座っていると、

「邪魔よ!ちゃんと座りなさい!」

って小言が増えそうです。

また、このダイニング、家の中心にあるので、日当たりも悪いです。

そこで、このように間取り改善しました。

家族が邪魔になる、という問題は、動線のメインストリートを設定していないことが原因です。

道路計画する場合も、まずは国道のようなメインストリートを計画して、そこから、市道などに分岐するようになります。

規模は違いますが、住宅の間取りも、まずはメインストリートを設定することを意識しましょう。

5. 真っ暗なリビング

最後は、真っ暗なリビングです。

これは、、、よくありますね。
敷地条件が厳しい場合は、仕方ない部分もあるのですが、

「施主自身が気付いていない・ハウスメーカーから説明されてない」

というのが問題です。
暮らしてみたら、思っていたより日当たりが悪くて、後悔するってことはあります。

特に子供がいる場合、日当たりの悪いリビングって、子供の健康や精神状態にも影響しそうです。

「この間取り、ここが問題です!」でも、日当たりについては2事例を取り上げています。
その1つ、事例17の新垣さんを紹介します。

このような間取りで、一見、そこまで日当たりが悪そうには見えないのですが、断面検討すると、こんな感じになります。

これは、隣地建物の影響も踏まえて、いつリビングに太陽光が入るかを検討した断面図です。

1階のリビングには、冬期は全く太陽光が入りません。4月と8月の昼間と、夏の早朝の短い時間だけ太陽光が入ります。

それに対して、2階は、とても日当たりが良いことがわかります。

バルコニーが出ていて、隣地の家も迫っているので、このようなことになっているのですが、なかなかスゴイです。

新垣さんも、全く聞いてなくて、なんなら、日当たり良いって言われていたので、かなりびっくりしていました。

なぜ、こんなことになるのか?

建築基準法の採光基準では、「部屋に直射日光が入ること」は重視されてなくて、間接光が入れば良いってことになっています。

かつ道路向きの窓は、採光計算では3倍になるんです。

新垣さんの間取りの場合、この道路向きの窓が重要で、基準法上の3倍の採光をゲットできます。
近隣環境がいくら悪くても、この窓さえあれば、クリアできるんですね。

逆に南向きの窓は、採光計算からは除外されており、実際にも太陽光は入りません。

このように建築基準法上は問題ないので、このハウスメーカーの瑕疵とは言えません。

また、恐らくですが、この間取りを書いた人も、そこまで日当たりが悪いとは考えてないはずです。

なので

「知っているけど伝えてない」ということではないと思います。

単に、


「そこに住む人の暮らしや健康には、無関心で、正直、どうでも良い」

というのが、このハウスメーカーの営業や設計者の本音かと思います。
どの会社とは、この記事では言えないのですが、このハウスメーカーの間取りは概ね、こんな感じです。

それに、こういう断面検討って、たいして時間はかかりません。

私もグーグルマップや近隣写真を使って、30分もかからずに検討しました。

そこに暮らす人が幸せになって欲しいと思うなら、その30分は捻出できるはず。

でも、ほとんどの住宅会社がやらない。

恐らく、そんなことをしても、設計者は、会社内で評価されないからだと思います。

そのため、こういうことが起こります。

で、新垣さんの場合、どうしたか?

というと、私の方で、吹抜けやバルコニーをなくすなど、日当たりを良くする案をいくつか検討して、最終的には、2階リビングが採用になりました。

こんな感じです。

光の入り方はこんな感じです。
しっかり冬至にも光が入っていますね。

新垣さんからは、入居して3年たった時に、お話を聞く機会があったのですが、

「あの時、2階リビングを選ぶことができて本当に良かった」

と話されていました。

ルーフバルコニーも広く確保したので、夏はお嬢さんとビニールプールを楽しんでいるそうです。

まとめ

さて、本日のまとめです。
間取り診断で見かける「ダメなリビング」5選ですが、気を付けるポイントをまとめると、

1.ソファ・テーブル・テレビの配置に気を付ける
2.キッチンからテレビを見れるようにする
3.和室はリビングとつなげる
4.家族が邪魔にならないようにする
5.冬季に直射日光が入るか確認する

でした。

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この記事を書いた人

「アキラ先生の住まい間取り教室」をブログ記事にしています。

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