間取りのセカンドオピニオンで一級建築士の船渡亮(ふなとあきら)です。
この記事では、間取りや家づくりの情報を、間取りのセカンドオピニオンで一級建築士のアキラ先生が、分かりやすく解説していきます。
本日のテーマは
「失敗する流行間取り」の第2弾として、人気の横並びダイニングとパントリーの注意点を解説します。
・横並びダイニング
・パントリー
はとても人気で、私も間取り改善などで採用することが多いです。
ただ、これらの人気間取りも、使い方を間違えると、ダメ間取りになることがあります。
人気だから、ということで採用するのではなく、間取り全体でバランスをとる必要があります。
採用を検討している方は、しっかりチェックしてくださいね。
本記事は、YouTubeチャンネル「アキラ先生の住まい間取り教室」をテキスト化したものです。動画版はこちらから視聴できます。
YouTubeは、週3回更新していますので、合わせてご視聴ください。
キッチン横並びダイニング
まずは、キッチン横並びダイニングです。
名前の通り、キッチン横にダイニングを配置する間取りなのですが、
・配膳・片付けをしやすい
・料理しつつ、ダイニングテーブルで他の作業もできる
・見栄えも良い
といった理由でとても人気が高いです。
採用した施主OBからの評判も良いですね。
『この間取り、ここが問題です!』の事例18でも紹介したJさんは、入居してから、
「もう、対面キッチンには戻れない!」と仰っていました。

キッチン横並びダイニングは、キッチンとダイニングテーブルの配置の問題なので、
・追加のコストがかからない
・キッチン内の作業は今まで通り
ですから、
「失敗するってことあるの?」
と思われる方もいるかもしれません。
ただ、通常の「対面キッチン」と比較して、「キッチン横並びダイニング」は、間取りを選ぶ傾向にあります。
そこを意識した間取りでないと、
採用したのは良いけど、ダメ間取りになってしまった、
ということもあります。
では、ここで事例を紹介しますね。
「この間取り、ここが問題です!」の事例23のNさんの間取りです。

Nさんですが、このようにキッチンを家の中心に配置した間取りで、ダイニングテーブルはキッチン横並びに配置されています。
キッチン収納も確保されていますし、配膳や片付け動線も問題なさそうです。

キッチンだけに注目すると、それほど問題がないように見えますが、リビング全体として考えるとどうでしょうか?
とても違和感があったのが、ダイニングテーブル横の和室です。

LDKに接する和室は、リビングと一体的に利用できることで、より活用できるようになります。
ただ、この間取りの場合は、ダイニングテーブル横にあるので、一体利用がしにくいです。
また、ダイニングテーブルが邪魔で、和室からリビングのテレビを見ることが出来ないのも、違和感の一因となっています。
まあ、あまり良い位置ではないですね。
またキッチンも家の中心にある、ということもあって、暗いのも問題です。
ここで料理をしていても、あまりテンションが高くならなさそうですね。

他にも様々な問題がある間取りだったので、全体的に全く違う間取りにしました。
階段と和室を東側に移動して、リビングと一体利用できるようにしています。

また、WICを家の中心に置くことで、回遊動線にして、お客様動線と家族動線を分離しています。

さらに、ランドリーとの動線を最短にしました。これで洗濯がむっちゃ楽になります。

さて、このように大幅に間取りを変えたのですが、最後に残った問題が、キッチンです。
最終的には、このような対面キッチンとなったのですが、キッチン横並びダイニングも検討し、比較して頂くために、Nさんにも提案しています。

このように、出来なくはないのですが、正直、この間取りの場合は、対面キッチンの方がスッキリハマるので、
こちらの間取りで確定しました。

実は、このような東西型のリビングの場合は、キッチン横並びダイニングの相性は良くないです。
先ほどのJさんのようなL型か、

こちらのキッチン中心型の方が、相性がよいですね。

また、私の間取りは、どれも、キッチンとダイニングの間の空間を空けていますが、これは動線を考えてのことです。
キッチンとくっついている方が、写真写りは良いのですが、動線が悪化する場合が多いです。
先ほどのJさんも最初はこんな感じでしたが、

ダイニングテーブルに誰か座っていると、冷蔵庫が開けにくいとか、キッチンに行くのに遠回り、ということもあって、テーブルは窓際に移動しました。

これは、私の個人的な感想ですが、キッチン横にダイニングがあると、「洗い物の残りが視界に入る」ので、あまり好きではありません。
ダイニングテーブルの位置の問題だけなので、気になったら移動すれば良いのですが、その位置によって、照明やスイッチ、コンセントも変わるので、ある程度、想定して計画した方が良いですね。
パントリー
2つ目は、パントリーです。
買物頻度を減らすためや、災害対策などもあって、食料品をある程度、ストックしたい、と思う家庭が増えています。コロナ禍で、在宅勤務が増えたことの影響も大きいと思います。
昼ごはんを自宅で食べるようになるわけですから、そのための食材や冷凍食品なども用意しなければなりません。
私も、現代の住宅は、キッチン廻りの収納を増やすことは重要だと考えています。
洋服や雑貨などは、断捨離で減らせますが、食料品のストックはそういうわけにもいきません。
ストックがあることによって、家事時短にもつながるので、暮らしやすさに直結します。
そのため、パントリーを充実させることには、大賛成ですが、パントリーなら、なんでもよい、というわけではありません。
今回も、講談社+α新書『この間取り、ここが問題です!』から、事例03で紹介した4人家族のYさんの間取りで解説します。

Yさんは、キッチン背面に大型のパントリーを計画していました。
かなり大きなパントリーで、大量のストックが置けそうです。
キッチンからも近いので、何も問題なさそうに見えますが、実は、

このパントリーへの動線によって失っているものがあります。

それは、キッチン近くの90cm部分の収納です。
パントリーがなければ、ここに収納を確保できたのですが、動線があるため、何も置くことが出来ません。
いやいや、大きなパントリーがあるので、問題ないでしょ?
と思われるかもしれませんが、キッチン近くの収納と、少し歩くパントリーでは、収納としての価値が全く違います。
キッチン収納は、キッチンにいて手が届く範囲が最も貴重で、そこに普段、使うモノが集まっているのが理想です。
そして、手が届く範囲に、冷蔵庫を除いて、だいたい2.7m程度の収納が欲しいのですが、この場合は、1.8mしかないので、少し少ないです。これだと、大きなパントリーがあるにも関わらず、キッチン廻りや床に物が置かれる可能性もあります。
そこで、キッチンを90度回転して、このように間取り改善しました。

キッチン背面に2.7mの収納を確保した上で、大容量のパントリーも配置しました。
これなら、散らかることはなさそうです。
この形は、パントリーの型として覚えておいた方が良いですね。

逆に、キッチン側にパントリーを設置することも出来ます。

あと、最初に紹介した、「この間取り、ここが問題です!」の事例23 Nさんの間取りも、参考になります。

キッチン背面に2.7mの収納を確保した上に、1.8mの壁面収納も配置しました。
納戸型ではないですが、キッチン動線上にあるので、ムチャクチャ使いやすいです。
このように、使いやすいパントリーの型を覚えておくと、間取りを見た時に、暮らしやすい間取りか、イマイチなのかの判断がしやすくなります。
全ての収納において、言えることではあるんですが、パントリーは特に、収納量よりも、
動線に注目した方が、良し悪しがわかりやすくなります。
キッチン背面に2.7mの収納を確保した上で、さらにパントリーがある、
というのが理想形、ということですね。
まとめ
本日の動画をまとめると、、、
・キッチン横並びダイニング
リビング形状によっては、うまくハマらない場合もある
L型や、キッチン中心型のリビングと相性が良い
キッチンとダイニングの間に通路があると、動線がよくなる
・パントリー
キッチン背面に2.7mの収納を確保してから、パントリーを配置
動線に注目してチェックする
となります。
参考にしてくださいね。
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