間取りのセカンドオピニオンで一級建築士の船渡亮(ふなとあきら)です。
本日の記事は
「夏休みが楽しい間取り/憂鬱な間取り6選」
です。
子供ができたことをきっかけに、注文住宅を建てる夫婦は多いので、夏休みは、自宅で家族で楽しみたい!
と考えていると思います。
私たち家族も、子供が小学生までは、自宅でビニールプールやバーベキューなどを楽しみました。
ただ、このように
「夏休みを楽しめる間取り」
にするには、いくつか注意点があります。
逆に、
「夏休みが憂鬱になる間取り」
というのもあります。
「夏休みに憂鬱になる間取り」
は、子供が小学生になった時に起こる変化に関係があります。
共働きで子供が保育園児、という家庭は、この罠にはまりやすいです。
本記事は、YouTubeチャンネル「アキラ先生の住まい間取り教室」をテキスト化したものです。動画版はこちらから視聴できます。
YouTubeは、週3回更新していますので、合わせてご視聴ください。
では、まず、「夏休みが楽しい間取り」を4つ紹介します。
1.リビング一体のウッドデッキ・バルコニー
1つ目は、リビング一体のウッドデッキ・バルコニーです。
夏休みに自宅でビニールプールで遊びたいって方、結構、多いと思います。
マンションでは楽しむのは難しいので、戸建て住宅ならでは、という感じがしますよね。
先ほども話しましたが、私の子供たちも、夏休み中はずっとビニールプールで遊んでいました。
特に、オムツがとれてなくて、公営プールに入れない時期には、このビニールプールは重宝します。
プールで遊んだ後は、昼寝もしてくれるので、親としても楽なんですよね。
このビニールプールでの水遊びに役立つのが、リビングの延長にあるウッドデッキやルーフバルコニーです。
リビングの掃き出し窓や勝手口ドアを開けて、ウッドデッキの上に設置したプールに入る、というのが理想です。
昨年、私がコンサルしたSさん家族の完成したご自宅に伺ったのですが、リビング外のウッドデッキに、大型プールがあって、ちょうど娘さんたちが、水遊びを楽しんでいるところでした。
このような配置になっていて、ダイニングやリビングから、ビニールプールが見えるので、
子供達だけで遊んでいても、安心できます。
実は、間取り診断時、Sさんの間取りはこのような感じでした。
南側にスケルトン階段が配置されていたので、リビングからは、庭を見ることができません。
一体利用もしにくく、リビングからの眺望も良くないので、階段を移動して、先ほどの間取りになりました。
さて、この他、リビングの延長に、ウッドデッキなど素足で歩ける庭やバルコニーがあると、
・学校から持ち帰った朝顔などの鉢植え
・BBQ
・水遊び
などが出来て楽しいのですが、5つの気を付けるポイントがありますので、解説します。
①LDKから見える
LDKから見えると、自分達は室内にして、子供達だけで遊んでもらうってことも出来ます。
または、お父さんだけ子供とプールにいて、お母さんは室内にいて、遊んでいる姿を眺める、でも良いです。
いずれにせよ、LDKから見える間取りの方が安心できます。
②近隣の視線のコントロール
近隣の窓をチェックして、気になる場合は、植栽や目隠しフェンスなど
③水栓を設置する
水栓があると、楽。立水栓がオススメ
④BBQでは、煙対策
煙やにおいが出るので、近隣配慮は必須。住宅街の場合は、無煙ロースターを使うなどして、迷惑にならないように。
⑤音への配慮
夏は窓を開けている家が多い。あまり騒ぐと、近隣トラブルになる可能性も。窓の位置はチェックした方が良い。
このように庭で遊ぶ、という場合は、敷地の周りはどうなっているかを確認した上で、計画に落とし込む必要があります。
配置図に、近隣建物の窓位置を書き込むと計画しやすいです。
2.屋上
2つ目は、屋上です。
金属防水の普及で、木造でも屋上を作ることへのハードルが低くなりました。
私自身、屋上のある木造住宅はいくつも設計していますし、私の家のも屋上があります。
冬はほとんど使われない屋上ですが、夏は、近所で花火があると屋上から眺められるので、ちょっとした優越感を味わうことが出来ます。また、ソファやテーブルを置いて、寛げるスペースにすることも出来ます。
桧家住宅は、青空リビングという名称で、屋上の提案をしていますね。先日、間取り診断した50代夫婦のMさんも、桧家住宅で、屋上付きの自宅を計画していました。
屋上を作る場合のポイントは、3つです。
①リビングからの動線が近い
屋上は、リビングの延長として考える。2階リビングの上に屋上がベスト
②近隣からの視線のコントロール
近隣マンションがある場合、屋上でも住民から丸見えになります。
先ほどの、Mさんの場合は、手すりを高くすることで、プライバシーを確保した。
③水場を作る
あると便利だが、排水の問題もあるので、水道局への相談必要
3.大型収納がある玄関
3つ目は、「大型収納がある玄関」です。
夏にキャンプに行きたい!って家族も多いかもしれません。
私も年に2,3回はキャンプするのですが、最近は、キャンプブームが落ち着いた感あり、一時期のように混んでない印象です。
そのため、ある意味、家族で行くには、ちょうど良いかもしれません。
そのキャンプ道具を収納するために、シューズクロークが欲しい、という方は割といます。
確かに、そこそこ持っていくものがあるので、玄関近くに大きな収納があると便利です。
シューズクロークがあるなら、そこに収納するのでも良いですが、あえて「大型収納」と書いたのは、押し入れなど床上の収納でも特に問題ないからです。
こちら、私の自宅の玄関廻りですが、寝室のクローゼットの一角に、キャンプ道具などを置いています。
玄関から近いので、車からキャンプ道具の出し入れは、比較的楽です。
車でキャンプ道具を持っていくことを考えると、あまり汚い状態で収納することもないので、私の場合は、シューズクロークが欲しいと思うことはありませんでした。
まあ、そもそも、20年前に建てた時は、キャンプするなんて思ってもなかったので、そういう発想はなかったのですが。
ただ、
・焚火台
・キャリーワゴン
土間におく方が適しているものもあるので、そこは自分達が、どういったキャンプを楽しみたいか?どれだけ続けられそうか?
といったことを考えて決めてみてください。
4.お泊りできる和室
4つ目は、お泊りできる和室です。
夏休みなどの長期休みに、子供のお友だちが泊りに来る、といったこともあるかもしれません。
私たちの娘は、自宅に友達を呼ぶことが多かったので、結構、お泊り会がありました。
高校生になって出来た友達を、連れてきてくれたのは、嬉しかったですね。
大きくなると、子供の友達に会う機会というのは、少なくなるので。
そんな時に、あると便利なのが、お泊りできる大きさの和室です。
最近の家は、リビングや水廻り、玄関が大きくなる一方、子供部屋は小さくする傾向にあります。
それ自体は良いのですが、子供部屋が小さいと、そこに布団を2組敷くことが出来ないので、友だちが泊まることが出来ません。
私の自宅もそうなので、リビング横の6帖の和室をお泊り部屋として使っています。
押し入れがあれば、お客様用の布団も収納できます。
子供が友だちを自宅に連れてきて欲しい、って思う場合は、お泊りできるスペースを考えても良いかもしれないですね。
因みに、そのような場合、自分の子供と友達の二人以上が寝ることになるので、布団を2組以上、敷ける大きさにする必要があります。
最低寸法で、
・2,275×2、730
の部屋の大きさがあれば、2組の布団を敷くことができます。
さて、ここまでが、「夏休みを楽しめる間取り」です。
次は、「夏休みが憂鬱になる間取り」です。
5.リビング横の書斎
5つ目は、リビング横の書斎です。
コロナ禍でテレワークが注目された時に、家のどこで仕事をするのか?が問題になりました。
テレワーク用の書斎の考え方で、興味深かったのが、
子供が保育園児の場合は、「リビング一体の書斎」を希望し、
小学生以上の場合は、「独立した書斎を希望した」ということです。
保育園と、小学校以降の義務教育 で何が違うのか?
一番大きな違いは、長期休みのあるなしです。
うちもそうでしたが、保育園児にとっての夏休みは、親の夏休みと同じです。
つまり、親が会社であれ、テレワークであれ、仕事をしている時には、子供は保育園にいます。
当たり前ですが、それによって、仕事の邪魔にはなりません。
ので、
「リビング一体の書斎」
であっても、特に問題がありませんでした。
だって、子供がいないわけですからね。
ただ小学生以降は、親の仕事とは関係なく、夏休みが始まります。
学童保育に預ける、という手もありますが、小学校高学年や中学校などになれば、家にいることも多くなります。当然、リビングも使いたい、となりますが、そこで問題になるのが、
「リビング一体の書斎」
です。
これ、親にとっても、子供にとっても不幸ですよね。
親は、仕事があるので、リビングで騒いでほしくないし、テレビとかゲームとかして欲しくない。
子供は、リビングにいられないので、自分の部屋に籠るか、外に行くしかない。
それが実感として分かっているので、小学生以上の子供がいる場合、独立した書斎を希望した、ということです。
まあ、言い方はキツイですが、
家族が集まるリビングにしたい、とか言いながら、子供を排除する可能性がある
「リビング一体の書斎」
を作ってしまうのは、皮肉ですよね。
仕事内容によっては、
「リビング一体の書斎」
が最適な場合もあるかもしれませんが、特別なこだわりがない限りは、テレワークで使うのであれば、ある程度、遮音に考慮した独立書斎がオススメです。
6.リビング階段
6つ目は、リビング階段です。
「え、リビング階段って駄目なの?」
と思われた方もいると思いますが、場合によっては、リビング階段が「親のストレス」になることもあります。
例えば、あなたが夏休みにリビングで寛いでいる時に、子供の友達が遊びにきて、ドタドタと、リビングに入ってきて、階段を上って、子供部屋に行く、といったことがある場合、どうでしょうか?
特に問題ないし、むしろ嬉しいって人ももいると思います。
私の友達夫婦には、息子が3人いるのですが、それぞれの彼女を頻繁に家に連れてきてお泊りしていくそうです。
奥さんが、わりと大らかな方なんで、まったくそういうことを気にしないそうです。
逆に「休みなのに勘弁してよー」って方もいるはずです。
その結果、どうなるか?
場合によっては、親の休日には、友だちを家に呼ばないようにする、
といったルールが作られる事もあるかもしれません。
実際、私の息子の友達にも、そういう家庭がありました。
もちろん、それぞれ事情もあるし、親自身が望んでいないなら、「友達を家に呼ばないように」 というルールが悪いわけではないです。
ただリビング階段ではなく、独立階段にしていたら、玄関から直接、子供部屋に行けるので、そういったルールを作らないで済んだかもしれません。
このように、「リビング階段にする、しない」は、自分達 親の性格も考えた上で、採用不採用を考えた方が良いです。
まとめ
さて、「夏休みが楽しい間取り/憂鬱な間取り6選」ということで話しましたが、
本日の動画をまとめると、、、
<楽しい>
1.リビング一体のウッドデッキ・バルコニー
2.屋上
3.大型収納がある玄関
4.お泊りできる和室
<憂鬱>
5.リビング一体の書斎
6.リビング階段
でした。
間取りは、自分達の暮らしに思った以上に影響を与えます。
子供は柔軟性があるので、ある程度対応できるのですが、問題は、私たち親の性格や、生活スタイルです。
夏休みが憂鬱、、、ってことにならないように、
「自分たちにとって、どんな暮らしが理想なのか?」
を考えた上で間取り検討してくださいね。
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