一級建築士で家づくりコンサルタントの船渡です。注文住宅を建てる施主のために、間取り診断や間取り改善などサポートを行っています。
今回は、注文住宅の間取り検討時におススメな「間取りの型」を紹介します。
なぜ間取り集は使えないのか?
私は仕事柄、建築家が監修している間取り集を購入することがよくあります。
最新の間取り研究も兼ねて、眺めることが多いですね。
ですが、
「いざ、間取り検討する!」
という時に見ても、間取り集はほとんど役に立ちません。
よく考えればわかりますが、
・同じ敷地
・同じ近隣環境
・同じ家族構成
・同じ要望
・同じ予算
の計画というのはないので、そのまま使える間取りを探すのは難しいということです。
マネできる間取りを探すことに時間をかけるよりは、自分で検討した方が早い、ということになります。
今でも間取り検討に行き詰ったときには、気休めに間取り集を眺めることはありますが、脳を休めるために見る感じで、そこに答えを見つけようとは思わないようになりました。
間取りの型とは?
ただ、間取りを沢山みていくと、「よくできた間取り」には共通点があることがわかります。
全く違うように見える間取りでも、よくよく見ると「普遍的な型」の組み合わせで出来ているんですね。
これを私は「間取りの型」と呼んでいます。
「間取りの型」は、全ての部屋にありますが、特に重要なのは、LDKの型です。
まずは、LDKの型を決めて、それから全体を調整していく、というのが間取り検討では重要になります。
ハウスメーカーや工務店から提案された間取りがイマイチな場合でも、間取りの型を中心に考えることで見違えるほど、間取りがよくなることは多くあります。
では、実際に私が行っている間取り診断で使っている間取りの型を、間取り改善の事例と一緒に紹介しますね。
1.東西に長いLDK(壱の型)
壱の型の特徴
・南からの日射を取り込みやすい
・東西は小窓で十分明るい(断熱的に有利)
・LDK全体が明るくなる
・開放的で広く使える
・外部との一体感がある
・各ゾーンが主要な動線に入らない
・キッチン・ダイニングからテレビが見れる
私が頻繁に使うのが、この東西に長いLDKの間取りです。私はこれを壱の型と呼んでいます。
リビング・ダイニング・キッチン どの空間も南側からの光が入り明るくなりますので、居心地もよくなり家族も自然と集まりやすくなります。外の景色も取り入れやすいので開放的に感じますね。
ダイニングとリビングが一体なので、家具配置をしやすいです。また動線がシンプルなので、ダイニングやリビングでくつろぎやすいですね。
またエコハウスを計画する場合、南の窓は大きく、それ以外は小さくが基本ですが、壱の型ならそれも容易に実現できます。
横幅7.28Mを確保できれば採用できるので、まず最初に検討したい型です。
では、この壱の型を利用した間取り改善の事例を紹介します。
事例1 ピアノ室があるS様の家(2階建)
ピアノ室がある2階建ての住宅です。南西の角地で南側には広い庭があります。
ただDKは、北側に配置されており、日当たりも眺望もよくありませんでした。逆に日当たりが必要ないピアノ室が南東に設置されていたので、壱の型を利用して大幅に間取り変更をしています。
日当りの必要のないピアノ室は北側に移動し、南側にはLDKが配置され、どの位置からの庭が眺められるようになっています。
2.壱の型+和室
壱の型を基本として、和室などの部屋をつなげたものです。和室の位置は、東側に寄せたり中心に寄せることも出来ます。中心にする場合は、和室部分に光が入りにくいので、吹き抜けを併用すると良いですね。
LDKと和室(又は洋室)をつなげることで空間的な広がりを確保できますし、客間としても利用できます。また1階に寝室がない場合には、老後の主寝室として想定しても良いです。
片付けが苦手な家族の場合は、来客時に物を押し込む部屋、、、としても利用できなくはないですね。
では、この壱の型+和室(又は洋室)を利用した間取り改善の事例を紹介します。
事例2 畳コーナーのあるH様の家(2階建)
元間取りは、どの型にも入らないヘンテコな間取りです(苦笑)
でもよく見かけますね、このような「とりあえず要望を入れてみた感」満載の間取り。
あまりにヒドイので、間取りを全て作り直しました。
壱の型を採用し、利用頻度の高くない和室を西側に移動。階段を中心にして回遊動線を採用しています。
事例3 二世帯住宅の子世帯のY様(2階建て)
二世帯住宅の子世帯(2階)で、リビングと主寝室を一体として使う想定です。
元の間取りは、主寝室が南側で良い位置にありますが、LDKはテレビの位置がイマイチで間取りも整理されていませんでした。
また主寝室の下には、親世帯の主寝室があるため、「子世帯夫婦の夜の営み時」に心理的に気になるような計画となっています。
こちらも壱の型を採用し、主寝室は東側に移動しています。
事例4 別荘地にあるW様の家(平屋)
IT企業に勤めるW様夫婦のための住宅です。
南側に広い庭が広がっているため、それを活かす計画になっているのですが、食事中に庭が見えないのが気になりました。
そこで、壱の型を採用することで、ダイニングやキッチン、寝室からも庭が見えるように改善しています。
3.L型のLDK(弐の型)
弐の型の特徴
・南からの日射を取り込みやすい
・東西は小窓で十分明るい(断熱的に有利)
・LDK全体が明るくなる
・開放的で広く使える
・外部との一体感がある
・各ゾーンが主要な動線に入らない
・DKとリビングを緩やかに分けられる
壱の型の良いところを残しつつ、キッチンを奥にすることで隠すことが出来る間取りです。
また横幅が6,370あれば入るので、間口がとれない敷地でも採用しやすいですね。
事例5 2階リビングのY様の家(2階建て)
元の間取りは、眺望と日当たりの良い南東の角が階段・トイレになっているため、敷地を活かせていない間取りでした。そのため、弐の型を採用し、リビング・ダイニングを南側、キッチンを東側に配置しています。
LDKの形は同じL型ですが、日当たりや眺望をしっかり確保する、という考え方を持ってないと、魅力のない間取りになってしまいます。
4.マンション型LDK(参の型)
参の型の特徴
・狭小敷地でも対応できる
・LDK以外にも南向きの部屋をつくれる
・開放的で広く使える
・各ゾーンが主要な動線に入らない
・DKが暗くなることもある
マンションでよく使われる型で、間口の狭い敷地でも採用できます。
設計者が好んで採用する傾向になりますが、その理由は、単に間取りを作りやすいから。
または、「和室を日当たりとくしたい」という施主の言葉を鵜呑みにした結果です。
「和室が日当たりが良い」のは確かに好ましいですが、その替わりに「ダイニングキッチンが暗くなる」ので、どちらの部屋の利用頻度が多いかを検討する必要があります。
事例6 吹き抜けと和室があるT様の家(2階建て)
吹き抜けと和室がある間取りですが、和室とLDKの関係がイマイチでした。
またその他にも様々な問題があったため、参の型を採用し大幅に改善しています。
詳細はこちらの記事で詳しく紹介しています。
この他の型は、後ほど、追加予定なのでお楽しみに!
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