初めまして!
一級建築士で家づくりコンサルタントの船渡亮(ふなとあきら)です。これまで、海外も含めて日本全国で1000組以上の注文住宅の間取り診断をさせて頂きました。今回は、自宅を計画中のもりりんさんを招いて、戸建て住宅の日当たりについて、配置と断面計画から考えていきます。
「アキラ先生、こちらこそお願いします!」
日当たりが良い建物配置とは?
注文住宅でまず考えなくてはならないのが、配置計画です。
間取りも大事なのですが、間取りだけをみてしまうと、日当たりや、プライバシー、景観の取り入れ方などを意識しづらくなります。
そのため、まず、最初に近隣状況を観察してから、配置の大枠を考える必要があります。
特に日当たりは、最重要です。
室内が常に明るくて、冬暖かく夏涼しい家にしたいのであれば、高気密高断熱住宅にするだけでなく日当たりを意識する必要があります。
日当たりなどの配置計画は敷地ごとに考えなければなりません。
一条工務店のように日本でトップクラスの断熱気密性能を誇る会社で建てたとしても、冬寒いってことはないにしても、太陽の光でポカポカして明るいリビングになるとは限らない、ということです。
日当たりを良い家ためにまず考えなければならないのは、建物をどのように配置するか?です。
そして、どちら向き(方角)に配置すべきか?を意識する必要があります。
日当たりが良い家にするのは、どちらの家を向けたら良いと思いますか?
もりりんさん、いかがですか?
「え、そんなの当たり前ですよ、南に建物を向ければいいだけですよね?」
そう、日本人にとっては、南向きに家を建てるってのは当たり前です。
こんな風に南向きの敷地でしたら、とても簡単なことですよね?
でも必ずしも、上の敷地のように、キッチリ南に向いた理想的な敷地だけでありません。
こんな風に東向きに振れていたり、、、
道路側が東向きってこともあります。
では、そもそも、なんで南向きに家を向ける必要があると思いますか?
「それは、、、昼間は太陽が南にあって、光が建物に当たりやすいからですよね?」
そうです、さすが、もりりんさんですね!
「馬鹿にしてますか??(怒)」
いえいえ、そんなことは(笑)
南向きにする目的としては、太陽から日射を受けやすくするためです。
これを「太陽に素直に家を建てる」といいます。
この「太陽に素直に家を建てる」ですが、色々と考えることはあるのですが、実際に敷地に配置した方がわかりやすいので、
今回は、東に敷地が振れているケースを題材に考えていきますね。
1.南向きに配置してみる
ではまず、基本に忠実に南向きに家を計画してみましょう。
「こんな配置だと、敷地がもったいないですよ!」
そうですね、確かに無駄が多いですよね。
まあ、無駄はいいとして、日当たり面ではどうでしょうか?
冬の12時の日の当たり方を書いてみましょう。灰色が影で、黄色が太陽の光です。
「あ、リビングは西側の家の影になっちゃうんですね」
そうですね。
西側に家がなければ、南向きでもアリなんですが、日当たりも良くならないし、無駄は多いしで、あり得ない配置ですね。
そのため、自分の敷地だけでなく、廻りにどんな家が建っているか?をしっかり見る必要があるんです。
2.東南向きにしてみる
一番素直な配置が、東南向きです。この場合、リビングの位置は2パターン考えられます。
まずこちらのパターン。
普通に考えると南側にリビングにすれば日当たりが良さそうですが、こちらも冬の12時の日影を入れてみると、
こんな風にばっちり、日影になってしまいます。
影の長さは、隣地の建物の高さや季節にもよるのですが冬は影が長くなりますからね。
あまり日当たりは期待できないですね。
次に、こちらにリビングを配置した場合。
こちらも影を入れると、リビングの部分には日が当たることがわかります。
また、北東側の隣地が駐車場になっているので、朝の光も入りやすそうですね。
「朝日を感じながら、朝食をとることが出来ますね!」
そうですね、もりもりご飯だべれますよ。
もりりんだけに、、、
「アキラ先生、ダジャレは止めた方が良いですよ」
3.L型の建物の場合
車は2台、止めなくても良いから、なるべき建物を大きくしたい、って場合は、L型もあり得ますね。
こちらも、2パターン考えてみました。
まずは、こんな感じです。
もうわかりますよね。
この配置の場合は、リビングが日影になってしまいますし、駐車場部分も自分の建物の影が出来てしまいます。
ではもうひとつのパターンですと、、、
西側の敷地の影は限定的でリビングには、2面から光が入りますよね。
「なるほどー!」
4.敷地をどのように見るか?
では、この敷地の場合、どのように敷地を見れば良かったのか?を見てみましょうか。
配置計画を考える時に、このように近隣建物の影響を考えた上で、どのように影が出来るか?
を把握しておくと、間取りを考える上で役立ちます。
南に建物がある場合には断面検討が必要
さて、ここまでいかがでしたか?
「南側道路の場合は理解できるのですが、廻りに家が囲まれている場合は、どうなんですか?うちは、そんな感じですけど、、、、」
近隣状況を見て、日当たりが良い位置の配置する、という考え方は同じです。ただ、そもそも1階に光が入るのか?ということは断面検討してみないとわかりません。
そこで目安として、南側の住宅との距離は、6M、4Mの2つで検討してみます。
南側が6M空いていれば一年中、光が入る
こちらの断面図をみてください。12月22日(冬至)の南中時(12時)の日当たりです。当時は一年で最も、日照時間が短く太陽高度も低い日です。この日に直射日光が入るのであれば、他の日でも日射を確保できます。そのため、まずは冬至での光の入り方を検討します。
南側(図面では右側)には一般的な2階建ての戸建て住宅が建っています。6M離れていれば上記のように冬至でも光が入ることがわかります。
「うちも6Mくらいはあったかなあ、、、、」
はい、結構、広い敷地だったので、そのくらいは確保できていたと思いますよ。まずこの6Mが確保出来ていれば、とりあえずはOKです。ただ、注意しなければならないのは、バルコニーや軒の出です。
「ここでバルコニーって関係あるんですか?私の家も南側につけたいのですが」
一般的な910mmの出のバルコニーなら問題ないのですが、一間(1,820mm)のバルコニーですと下図のようにほとんど光が入らなくなってしまいます。
「なるほど、距離だけで見てはいけないんですね。」
そうですね。最近は、軒が深い家が人気ですが、南側が6m程度の距離しかない場合には、深い軒の出、バルコニーは危険です。日当たりが欲しいなら910mm程度に抑えましょう。
南側が4Mの場合は、吹き抜けや2階リビングの検討も
次は4M離れた場合を見ていきましょう。
「4Mだと、冬至に光は入らないんですね、、、」
そうですね。この場合は、吹き抜けを設置する、2階リビングにする、といったことを検討しても良いと思います。私の自宅は、もっと余裕がないので迷わず2階リビングにしています。
「冬至以外であれば、光は入りますか?」
はい、その可能性はありますね。では、最も寒い2月で検討してみます。
「おお、2月なら入りますね!」
2月は比較的太陽高度も高くなっているので、なんとか直射日光が入ります。そのため12月22日の前後1か月くらい(11月~1月)の日当たりがないことを「仕方ない」と思えるなら、4Mの離れでも良いといえますね。
「南から入らなくても、東や西が空いていれば、朝日や夕日は入りますよね」
そうですね。南だけでなく、他の方位から日射をとれるのであれば、それで良し、と考えることもできます。ただ東や西からの太陽光は、真夏に暑くて大変です。別途、日射遮蔽の検討も必要になります。
いかがでしたか?
「自分でここまで考えるのって難しいですよね、、、」
そうですね、本当は設計者に近隣の建物の日影図を書いてもらえると良いのですが、そこまでやってくれる方は少数ですからね。
でも、考え方はわかったでしょ?
「はい!勉強になりました!」
(お、最後は素直だな)
日当たりも含めて、不安な場合は、私にご依頼いただければ、しっかり診断して改善提案いたしますよ!
「最後は、宣伝なんですね、、、」
「まあ、それも仕事なんで!」
「無料の講座とかないんですか?」
「よくぞ聞いてくれました!期間限定で動画講座を開催しています。完全無料の講座です。最後に入れておきますね」
では、また!
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