注文住宅だから、日中は明るく照明をつけないでも過ごせるようにしたい! こういう希望をもってる施主の方は多いです。
よっぽど廻りに高層建築がない限りそれは可能ですが、必然的に窓が多くなってしまいます。 窓が多くなると問題なのは、断熱性の低下と、日射の侵入です。
断熱性の低下は、窓の性能を上げることで対応できますが、日射侵入を遮蔽することは、 南側の窓はともかく、東西の窓は(建築的な工夫だけでは)難しい場合が多いです。
今回は、この季節、特に気になる西日にクローズアップして、窓配置について考えたいと思います。
窓配置のセオリー
15年前に設計した私の自宅は、日中はほとんど、照明をつけなくても過ごせるように設計しており、 実際に住んでみても、そういう実感を持っています。
東西南北に窓を配置していますし、ハイサイドライトも大きくとっていて、 暗くなりそうな部分には天窓まで計画しているので、とにかく明るいです。
冷暖房が必要ない春や秋は、確かに気持ちいいんです、この家。 でも、冬や夏は、冷暖房効率は悪いし、部分的にシングルガラスの窓もあるので熱はダダ漏れ。
夏は、東と西から強烈な日射が入ってきて、2階のキッチン廻りはかなり暑くなります。 上記写真のようにバンバン西日が入ります。もう一度、設計して良いなら、明るさは多少犠牲にしてでも、日射のコントロールを考えますね。
で、ここで窓配置のセオリーですが、簡単です。 東西南北で窓の大きさが決まってきます。
南・・・なるべく大きな窓にして、庇などで日射遮蔽
東西・・・通風・採光に必要なだけの最低限の窓(日射遮蔽は、外付けブラインドなど)
北側・・・通風・採光に必要な窓(断熱性能を上げれば、大きくてもOK)
これまでは、北側の窓も小さくする、というのがセオリーでしたが、現在は、LIXILのレガリスのように、ほぼ壁と同じ性能という断熱性能の誇る窓も発売されています。
窓性能によっては、自由に配置してしまっても良いかなと思います。
東西の日射は庇では防げない
ご存じとは思いますが、西日(東日)は浅い角度ですので、庇では防ぐことは出来ません。 簾やシャッター、外付けブラインドなど、窓を直接覆うようなもので、日射を防ぐしかないのが現状です。
西日の防ぎ方はこちらの記事
外付けブラインドなども良いのですが、結構、お金がかかります。 最もコスパが高いのが、簾です。 ただこちらも、洋風やモダンなデザインだったりすると、イマイチに見えてしまうかもしれません。
またバルコニーが簾なども設置しやすいのですが、吹き抜け上の窓や、2階の腰窓などは設置しにくいですよね。 そこまで採光が必要のない個室の場合には、大きな引違窓ではなく、小さな縦辷りだし窓を設置する方がお勧めです。
そして西日と同じくらい厄介なのが、東からの光です。実際、私の家は、朝7時~8時くらいに、強烈に朝日が差し込むので、6月くらいからスクリーンを使い、日射遮蔽をしています。
朝日を浴びて食事したい、というのはよく言われる話ですが、直接、朝日がダイニングに当たると、暑いし眩しいし良いことはありませんので、ただ大きな窓を設置する、というのも考えものです。
近隣状況も考えて、窓の配置と大きさは決める
では東西の窓は必ず小窓にしなければならないのか、というとそんなことはないです。
西側に、こんなすばらしい景色で毎日、夕陽を見れるなら、そちらに大きく窓を配置した方が良いと思いますよね。 また、西側は家が迫っていて、西日が入らないのであれば、特に気にする必要もないです。
近隣状況と、間取りや窓配置はセットで考えないと意味がありません。 また、日射遮蔽や断熱性能は、家の価値を図るモノサシのひとつでしかありません。
西日がきつかったとしても、窓を大きくしたいんだ!というのであれば、それもまた良し。 住んでからの「こんなはずではなかった、、、」というのがなければ良いのです。
近隣状況は、現場で確認することも大事ですが、客観的に確認する場合は、グーグルマップがお勧めです。正しい方位と近隣状況が一度にわかるので、私の間取り診断でも、グーグルマップは活用しています。
家づくりは一年かけて検討すべき?
「家づくりの計画は、1年くらいかけてやった方が良い、なぜなら、夏だけだとは暑さ対策中心になるし、冬は寒さ対策中心になってしまうから」
というようなことを聞いたことがあります。 一理ありますが、そこまで悠長には考えられないですよね。
ので、特に窓配置に関しては上記で話したセオリーと、グーグルマップを使い近隣状況から考えた光の入り方を考慮して、検討してみてくださいね。
では!