こんにちは!一級建築士で家づくりコンサルタントの船渡です。
2017年9月にリリースした『間取りで暮らす技術1』では、いくつか間取り診断事例を取り上げています。その中で、「へんてこな間取り」として、紹介したのがK邸の改善事例を紹介しますね。
たたき台の改善では良い間取りにならない
1階平面図
2階平面図
さて、K様の間取りですが、1階は比較的まとまっているものの、2階の間取りが壊滅的。
施主のKさんもそれは承知されていたので、2階はガッツリと変更したのですが、、、(後で改善案は紹介)
しかし、、、なぜ、このような間取りが生まれてしまうのか?
これは、設計の方の能力の問題ではなくて、取り組み方の問題です。
最初に、「たたき台」としての間取りが提案されます。
この『たたき台』は、ヒアリングを元に作る場合もありますし、ヒアリング前に作ってある場合もあります。
これを施主要望により変更していくのですが、建築会社としてはなるべく労力をかけたくありません。
たたき台のプラン
↓
ちょっと修正したプラン
↓
さらにちょっと修正
という感じで、最小限の労力で、部分的に修正してく感じなんですね。
施主も素人ですから、「要望は言う」けれども、どのように全体を直すかまでは指示できません。
料理の味付けと同じです。
ウエイトレスから「カレー」をオーダー受けた料理人が、上記のような一般的なカレーを作ってみたら、実は客が食べたいのは「タイカレー」だった。
だから、調味料とかを加えたりしてなんとか味付けを修正しようとする。
でも、これではいつまでたっても、「タイカレー」にはなりません。
「タイカレー」なら、最初から「タイカレー」のレシピで作るべきです。
間取りも同じ。要望が出た時点で、オーダーは変わってきているので、それに合わせて全体の見直しが必要なんです。(住宅業界は、しっかりオーダーを聞かずに「たたき台」をつくることが多いのがそもそも問題です)
そんなわけで、Kさんから、動画の公開のOKをもらったので、公開いたします。
間取り診断動画紹介
■間取り診断
■改善提案
面積の半分が通路のウォークインクローゼット
では、改善した部分を見ていきましょう。
動画内ではいくつかの改善提案を行っていますが、その中で取り上げた例が、寝室とウォークインクローゼットの部分。
一見して寝室の形状はおかしいですよね?ベッドの配置もしにくそうです。
ウォークインクローゼットは普通にみえますが、内法が1300しかないので、実は片側しか収納として使えません。服の幅が550だとしたら残りの寸法は750。これは一般的な廊下の幅と同じです。これなら、ウォークインクローゼットにせず、通常の壁面収納にした方が良いですね。
改善提案では、寝室の位置も変えて、両側使えるWICとしています。
↑実際に改善提案としての提案。寝室を東側に移動。
↑寝室とWICの位置関係、窓位置等を説明するスケッチ
↑WICを立体的に理解していただくためのスケッチ
また、立体的に考えることで、箪笥の上部も収納として使えるようにしています。
箪笥は引き出しがあるし、収納としても優秀です。
WICの中に入れれば、地震で倒れて危ないってこともないし、部屋の中もスッキリしますね。
では!
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