一級建築士で家づくりコンサルタントの船渡亮です。
本記事では、私が間取り改善した30坪前後で家事動線の良い間取りを5つ紹介します。
悪い例としてビフォー(診断前)間取りも紹介して、何が問題なのかをわかるようにしています。
間取り検討の参考にしてくださいね。
1.29.2坪 Mさん(2階リビング)
共働きで1人の子供がいるMさん夫婦(夫:公務員、妻:会社員)の家です。将来的に、もう一人欲しいと考えています。大通りに面しているため、プライバシー確保と開放感確保のため2階リビングにしました。
当初、検討していたのは、1階にランドリー、2階にWICとMBRを配置した案です。ランドリーもWICも広く確保出来ていますが、洗濯した後の収納動線が長いのが問題です。
ランドリーに籠って洗濯する必要があるので、家事する人が孤独を感じやすいです。子供が寝てから洗濯する、と考えていますが、それだと自分時間を確保することが出来ません。また歯磨きのために1階に降りなくてはいけないのも面倒です。
そのため、こちらのように改善しました。
水廻りとWICを2階に全て配置して、ワンフロアで家事が完結すようにしました。これなら、洗濯動線は最短で済みますし、家族の様子もわかります。子供がリビングで遊んでいる間に洗濯を片付けることも出来るので、自分時間も確保できます。
洗濯は乾燥機中心で、部屋干しも出来るようにしています。
2.33坪 Hさん(1階リビング・吹き抜け)
共働きで二人の子供がいるMさん夫婦(夫:大学職員、妻:会社員)の家です。南面道路で敷地に余裕がありますが、開放感を得るために吹抜けを設けた2階建てです。
工務店から提案されたのは、DKを中心においた間取りです。1階にWICやパントリーがあるので一見、良さそうに見えるのですが、動線的に問題が多いです。
帰宅動線がキッチンとダイニングテーブルの間を通っているので配膳動線が長い、キッチン背面には冷蔵庫しか置けず、パントリーに食器や調理家電を置くので、動線が長くなる、タタミコーナーや2階リビングへの動線が窮屈。
またトイレがダイニングに近く、中が見えてしまう、WICには扉がないので、臭いが入ってしまう、といった問題もあります。かなり暮らしにくい間取りですね。
そのため、こちらのように改善しました。
まず家の中心に東西の動線を通しました。
この動線は各部屋にアクセスできるメインストリートを位置付けです。
キッチン背面には2.7Mの収納を確保して家事効率をアップしました。タタミコーナーは、リビングとつなげて一体的に使えるようにしています。ちなみに、タタミコーナーの南側には吹抜けがあるので、採光は十分確保できます。
またランドリー・WIC・タタミコーナーをつなげて、洗濯動線を最短にしました。タタミコーナーでは、テレビを見ながら、洗濯を畳む・仕分けといった作業が出来ます。トイレは、奥に配置して視線や音が気にならない位置にしています。
3.34坪 Cさん(1階リビング)
夫婦で会社員、二人の女の子がいるCさん夫婦の家です。東西に長い敷地で、南側隣地には2階建ての家が迫っています。
帰宅動線を客用動線と分けるためシューズクロークの採用しています。工務店から提案されたのは、シューズクロークからキッチンを経由してリビングに入る間取りです。
一見、買い物の収納効率が良いように見えますが、料理中に他の家族が帰宅する(よくありそうなケースです)と、お互いが邪魔になります。またそもそもですが、シューズクロークが狭すぎるので、とても使いにくいです。
WICとランドリーが同じ空間なのも良くありません。洗濯を担当する夫がランドリーにいると、娘たちが着替えにくいです。
またそもそもですが、東西に長い敷地なのに、正方形に近い形状なのは勿体ないです。日当たりも悪く、敷地も活用出来ていません。
そのため、このように改善しました。
全体的に東西に長く配置して、日当たりを改善しました。
その上で、シューズクロークは諦めて、帰宅動線をシンプルにしています。玄関からキッチンは近く、収納もたっぷり確保しています。
水廻りは西側に集中させ、洗面・脱衣・ランドリー・WICを分離させたので、家族の動きに関係なく洗濯できるようにしています。
1000件以上の間取り診断の経験を元に船渡が執筆した「家事ゼロ動線の教科書:この間取りが暮らしにくいのはなぜか?」では、豊富な事例を紹介しつつ、ストレスのない帰宅・洗濯・料理・収納・出宅動線について解説しています。注文住宅やリノベを計画している方にとって役立つ内容になっていますので、是非、読んでみてくださいね。
【500円(税込)】
4.36坪 Iさん(1階リビング・吹抜け)
コンサルタントの夫と教育関係の仕事をする妻の家です。将来的には二人子供が欲しいと考えています。
南側には公園があるため、眺望を活かすため吹き抜けを計画しています。
とても余裕のある玄関にはシューズクロークを配置して、表玄関は散らからないようにしています。またキッチンと脱衣・ランドリーが近いので家事動線は良さそうに見えます。
ただ洗面・トイレとLDKが遠いので、帰宅動線は長くなります。またトイレを使う時に玄関を通る、というのも来客時の事を考えると、あまり良いとは言えません。
また洗濯物を収納する動線(脱衣→WIC)も若干、長いです。さらにI様は、子供の寝かせたりするために和室を希望していますが、この間取りには入っていません。
そのため、このように改善しました。
まず和室のスペースを確保するために、シューズクロークは中止して、玄関框を広くしました。これなら来客時に靴を左側に寄せれば、散らかった感はなくせます。
その上で、タタミコーナーを中心とした回遊動線を採用しました。帰宅後の手洗いをした上でキッチンに入る(又はキッチンに収納してから手洗い)というのも容易です。
またキッチン・パントリー・洗面・脱衣が一直線のため、家族の様子もわかり家事動線も明快です。脱衣とタタミコーナーが近いので、家事室的に使うことも出来ます。
タタミコーナーは布団を2組敷けるスペースは確保しているので、子供だけでなく客間としても使えるようにしました。タタミコーナー設置と動線を優先したため、若干、収納は減りましたが、現状の洋服・モノが少ないので問題ありません。
5.28坪 Yさん(2世帯住宅の2階子世帯)
自営業の夫と専業主婦の妻のYさん夫婦が2階(子世帯)に住む2世帯住宅です。日当たりの良い東西に長い敷地で、計画でもLDと子供部屋を南側に配置しています。
独立したダイニングと大きなパントリーが特徴的な間取りです。特にこの大きさのパントリーがあるのは、羨ましいですね。ただ、このパントリー動線を確保するために、キッチンの背面収納が90cm分、使えなくなっているのがもったいないです。
またキッチンからリビングが全て見えないので、帰宅した家族が死角に入ってしまうのもイマイチですね。WICは面積こそ広いですが、開口部や動線があるので収納効率はよくありません。廊下が長いのも気になりますね。
そのため、このように改善しました。
リビングは東西に長いタイプに変更しました。その上でキッチンと一直線の位置にパントリーを配置します。このようにキッチン・パントリーを配置することで、キッチンの背面収納を十分確保した上で、ストック等をパントリーに収納できます。
またキッチンからリビングを一望できるようにしました。廊下もなくしたので、帰宅した家族がすぐ目に入るようになります。
また子供部屋は北側に配置し、MBRを南側にしています。当面は、日当たりの良いMBRで家族全員で寝る予定です。また小屋裏収納への階段をテレビ背面に置くことで、長い廊下もなくしています。
以上、いかがでしたでしょうか?
暮らしにくい間取りは、動線が複雑なものが多いので意識してみてくださいね。住宅会社の提案力に不安がある場合には、間取り診断を検討しても良いかもしれないですね。
では!
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