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完成事例紹介04:バリアフリー対応 母と住む家

2021年にプレミアム動画間取り診断に参加して、2022年に家が完成した渡部さんの事例です。

エンジニアの渡部さんは、コロナ禍でテレワークが可能になったことをきっかけに、住み慣れた東京を離れることにしました。

いくつか候補地がありましたが、施設に入っていた母の「実家に戻りたい」という希望を叶えてあげたいと思い、栃木の実家を建て替えることにしました。90歳の母と一緒に暮らすためのバリアフリー対応の平屋です。

家づくり当初は、一条工務店や桧家住宅、住友不動産など大手ハウスメーカーで、断熱や換気に拘っている会社を中心に検討していました。

ただ提案内容が今ひとつで、しっくりこないと思っていた頃、amazonで船渡が執筆した家づくり本(kindle)に出会いしました。

船渡の本をいくつか読むうちに、「しっかり学んでから家づくりすべきだ」と思い直し、その後、プレミアム動画間取り診断にも参加して、診断1回目「敷地診断」を受けることになります。

目次

■敷地診断(2021.09)

敷地診断では、大手ハウスメーカー提案と自作の間取りで診断を行いました。

計画では、駐車場とリビングの段差を解消するためにスロープが計画されています。段差解消のためのスロープというと、玄関ポーチに設置することを検討しがちですが、それでは玄関框部分での段差解消が出来ません。

敷地に余裕がある場合は、リビングまでスロープで上ることをお勧めしているのですが、渡部さんの計画もそのようになっています。

とても良い考え方ですが、1点、問題がありました。それはスロープ勾配です。図面を見る限りは、問題なくスロープで段差解消されているように見えますが、スロープ勾配が1/18と非常に緩いため、1階床までの段差55cmを解消出来ていませんでした。これでは、30cm近い段差が出来てしまうことになります。

この長さで段差解消するには、1/9勾配にしなければなりませんが、それでは自力で勾配を登りきることは出来ません。

また書斎の位置や広さも問題です。お母さまと暮らす場合、リビングでテレビを見ていることも多くなりそうです。そのすぐ近くに書斎があり、かつ室内窓もあるとなると、音漏れが必ず問題になります。

またお母さまの部屋が景色の悪い北側というも、カワイソウです。敷地の南東側は素晴らしい田園風景が広がっているのですが、それらを活かしきれていません。ハウスメーカーの間取りは、敷地や家族状況をあまり考えず、要望のみを入れ込んだモノという印象でした。

■間取り診断(2021.10)

敷地診断後、渡部さんは、断熱気密や換気に拘る会社を探します。

1社、敷地からは少し遠いですが、住宅性能とデザイン性も高い工務店を見つけました。その工務店が提携する設計事務所から提案されたの間取りで、間取り診断を受けることになりました。

今回の間取りは、敷地診断時に指摘した内容は、ほぼ解決していました。

全ての居室が南側を向いているので、田園風景を楽しむことができます。スロープは、結局、1/9勾配として、上り下りには介助を付けることにしました。90歳という年齢を考えると、緩い勾配でも自力で上ることは難しいという判断です。

とてもよく出来た間取りですが、2点、問題があります。

1つ目は、書斎が狭く窓がないことです。お母さんが在宅時は、書斎のドアを閉めることになりますが、窓もなく狭いスペースでの仕事は想像しただけでウンザリします。

2つ目は、帰宅動線です。パントリー経由でキッチンに入る動線ですが、動線があるため収納量も少なく、ほぼ意味のない計画になっています。

これらを改善し、採用となったのが上記の改善案です。主な改善内容は以下になります。

・書斎の広くし東側に窓を設置

・玄関廻りの改善

・ランドリー計画を効率化

・屋根形状を変更し、天窓を高窓に変更

■完成写真紹介(2023.08.05)

最高気温が36度を超える厳しい暑さの中、渡部さんの自宅を訪れました。インタビュー時には、お母さまの一緒にいていただき、お話を聞かせて頂きました。

室内は、とても涼しい上に湿度も低く快適です。床面積は30坪ですが、8畳用エアコンを1台稼働するだけで、家の隅々まで快適な温度にすることが出来ています。高い断熱・気密性に裏付けられた快適な住空間といえます。

勾配天井のリビングが開放感があり、窓の外にはどの部屋からも田園風景を眺めることが出来ます。また勾配天井上部には、高窓を設置したので、暗くなりがちな奥のダイニングにも光を落としています。

この高窓、最初は天窓の予定だったのですが、間取り診断時に屋根形状の変更を提案して変更しました。今後、巨大な台風が増える可能性が高いことやメンテナンスも考えると、天窓はリスクが大きいです。

今年の7月に、季節外れのヒョウが降った時には、

「天窓にしなくて良かった!」

と心底、思ったそうです。

間取り診断時に提案した書斎の窓からは、春には桜の花を眺めることが出来るそうです。また来客の様子もわかるので重宝している、とのこと。直射日光は入らないですが、温度変化が少ないので快適に仕事が出来ます。

北欧のデザイナーの椅子も素敵ですね。

■バリアフリー対応

バリアフリー対応としては、1/9勾配スロープで段差を作らない他に、

・車いすでも使いやすい大きさのトイレ

・高さを変えられる洗面台

・広い廊下幅

・2枚引き戸の主寝室

といったことを行っています。

介護する側(息子さん)も、される側(お母さん)も快適である配慮がされていて、お母さまも満足そうでした。

ちなみに、トイレは室内窓を設けることで、昼間は照明なしで使えるようになっています。

■随所にインテリアセンスを発揮

渡部さんのインテリアセンスも随所に光っていました。家具は北欧デザインで統一し、アクセントも藍色系で統一しています。また、壁かけの両面時計を設置するなど遊び心も見受けられました。

ちなみにこの時計は、楽天などで購入できます。

工事中は問題も色々あったようですが、最終的には満足いく家で楽しく暮らせているようで何よりです。

渡部さん、見学させて頂きありがとうございました!

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この記事を書いた人

家づくりを通して、ライフスタイルをデザインして欲しい、という思いから、このブログを立ち上げました。二児の父でもあり、家事もバリバリこなすイクメンです。
一級建築士 / インテリアコーディネーター

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