注文住宅を建てる上で重要な「ハウスメーカーと工務店の選び方」について、一級建築士で家づくりコンサルタントとして活動する船渡亮が解説します。
なお、リフォーム会社の選び方については、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
まずは住宅会社の3つの業態を知ろう
住宅会社には、ハウスメーカー、工務店、設計事務所という3つの業態があります。
書店で販売している家づくり本を読むと、これらが明確に分かれているうように書かれていますが、現在の定義はとても曖昧です。
ハウスメーカーは、工場生産した規格部材を使い、安定した品質のプレハブ住宅を供給する会社、というのが元々の定義です。独自の住宅商品をもっており、積水ハウスや大和ハウス工業、ヘーベルハウスなどの8社会と呼ばれる組織に所属する会社を指していました。
ただ最近はプレカットにより構造材を工場でカットすることが一般化していますし、工務店もハウスメーカーと同じような資材を使えます。
またフランチャイズに参加すれば、企画化された住宅商品を扱うことが出来ます。設計事務所でも、土地探しから資金計画、引渡しまでをトータルサポートし、全国展開しているフリーダムアーキテクツデザインのような会社もあります。
この傾向は、工務店や設計事務所が、ハウスメーカーの良い部分を取り入れている結果といえますから、施主にとっては、選択肢が増えますし良い傾向です。
ですから、住宅会社の候補を選ぶ場合には、「大手ハウスメーカーじゃなきゃ嫌だ」「やっぱり工務店でしょ」と絞るのではなく、最初は視野を広げてみると良いですね。
ここでは、一般的な特徴を紹介しますが、実際、どうなのか?は、会社のHP等を確認するようにしてくださいね。
ハウスメーカーの4つの特徴
家づくりの本では、ハウスメーカーは悪く書かれることが多いです。
理由は、多くの住宅本は工務店や建築業者が集客のために自費出版しており、その仮想敵として大手ハウスメーカーを設定しているからです。
ただ、家づくりコンサルタントとして、間取り診断をする時に安心出来るのは、大手ハウスメーカーのプランです。
なぜなら、
「これ、構造的にヒドイよね、、、」
という根本的な問題があるプランが少ないからです。
大手ハウスメーカーに頼めば安心、ということはないですが、情報に透明性があり、安心感はあるといえます。では、4つの特徴を紹介します。
1.耐震性の高い間取りをつくれる
大手ハウスメーカーが採用しているプレハブ工法は、戦後の深刻な住宅不足を解消するため、高品質な規格住宅の大量生産する、という目的で誕生しました。大量生産のために、仕様や工法の規格化や、作業の効率化、品質の確保もされてきました。
間取りにも独自のルールがあり、工務店の提案に比べて自由度が少ないと感じるかもしれません。特にセキスイハイムなどが採用しているユニット工法は、間取りの制限が多いですね。ただ、そのルールで作った間取りは、一定以上の耐震性が担保されており、施工精度も高いので安心感はあります。
制限が多いと良い間取りが出来ない、ということはありませんが、請負契約してから間取りを変更しようとすると、思い通りにならず不満に思うかもしれません。そのため、間取りにこだわりたい場合には、「契約してからも自由に間取り変更できますよ」という営業の口車に乗らず、ある程度間取りを固めてから契約する方が良いですね。
2.情報量が多い
大手ハウスメーカーは、情報量が多いのが魅力です。
ホームページやカタログなどハウスメーカー側からの情報以外にも、SNSやブログなどで施主側からの情報も沢山あります。また、大地震での被害や建築基準法などの法令違反があった場合にニュースで報道されるというのは、チェック機能が働いている、ということにもなります。良い部分も悪い部分も知った上で、会社を選ぶことができるのは、安心感があります。
3.一定のスペックやアフターメンテナンスが保証されている
一定規模の住宅会社には、断熱等性能等級4が義務付けられていますので、最低限の断熱性能が確保されていると言えます。また耐震等級3や、制振装置を標準装備している会社もあります。
ヘーベルハウスや積水ハウスなど鉄骨系メーカーの場合、火災や経年劣化に強い独自の外壁材や、防音性能の高い床や排水管などを採用している場合もあり、一般的には工務店や設計事務所よりもスペックは高いといえますね。
またアフターメンテナンスは、専任スタッフが行う場合が多いので、問題があった場合には迅速に対応してくれます。ただ一般にメンテナンス費用は割高になるので、給湯器交換など一般のリフォーム会社で対応できる工事は、相見積もりで決めた方が良い場合もあります。
4.契約の決め手は、スペックの高さと営業への信頼
株式会社かえるけんちくによる施主100人へのアンケートによると、ハウスメーカーでの契約の決め手は、「スペックや良い(71%)」、「営業・設計担当者が信頼できる(68%)」の2つです。工務店や設計事務所に比べて、「営業・設計担当者が信頼できる」の割合が高いのが特徴です。
家づくりの満足度も、7割以上が、大変満足、満足と回答しており、不満は1割程度です。満足度が高く不満が少ないのは、窓口となる営業が教育されていることもありますが、施主が多くの情報に触れることが出来るので、どのような会社かを十分知った上で契約できているからと言えます。
これは、「満足」の割合に比べて、「大変満足」が少ないことからもわかります。当初、予想していた通りの家づくりが出来たけど、それを超えるものではなかった、ということかもしれません。家づくりで失敗だけはしたくない、という気持ちが強い方には、ハウスメーカーが向いているかもしれません。
工務店の3つの特徴
工務店の窓口になるのは、「営業」、「社長」又は「設計担当者」です。これは、工務店の規模や経営スタイルによります。少人数のためハウスメーカーのように分業化されておらず、営業や設計が監督の仕事をしたり、監督が職人的な仕事をしたりと、1人で2役、3役とこなします。
大手ハウスメーカーのように、営業を大量雇用して成績でなければ解雇、ではないので、素人のような人が営業担当になる可能性は少ないです、ただ、営業マニュアルがないぶん、ハウスメーカーのように営業にスマートさはないかもしれませんね。では、工務店の3つの特徴を紹介します。
1.個性的な会社が多く、実力の見極めが重要
工務店、と一言でいっても、様々な個性をもつ工務店が存在しています。
・不動産屋から受ける仕事がメイン
・営業力が強い
・デザイン性が強い
・免震や制振をアピール
・自然素材をふんだんに使う
・高気密高断熱が得意
・フランチャイズに加盟
規模や技術力、アピールポイントや提案力も様々です。打ち合わせの方法も、営業が全て行う場合もあるし、外注の設計事務所が行う場合、社員の設計士が行う場合、監督が行う場合など。そのため、「工務店だから」という固定概念は捨てて、個別にその実力をみていく必要があります。
2.価格は安いが、施主が動く必要がある
モデルハウスの維持費や広告費、人件費など、大手のハウスメーカーは、家を建てる原価以外の部分でお金がかかります。そのため粗利率は、30~40%と言われます。小規模な工務店の粗利率は、20~30%程度ですから、その分、工務店の方が安く家を建てられます。
というのが一般的な言われ方です。ただ、粗利の多くは人件費に使われますから、人件費が少ない、ということは、施主にかけられる時間も少ない、ということです。その分、提案やサポートも少なくなりがちです。
つまり、人件費が安くなった分、住宅会社のサポートは薄くなるので、施主自身が家づくりを勉強し、積極的に参加する必要がある、ということです。自ら動いて、家づくりに参加することを楽しめる方には向いているといえます。
3.満足度には、バラツキがある
施主100人アンケートによる工務店を選んだ決め手は、「スペックや良い」が半数でした。その次が、「会社が信頼できる」で3割です。ハウスメーカーよりも会社のカラーが強く出ることから、営業担当よりも会社の信頼度が重要なのかもしれません。
満足度は53%(大変満足、満足)と、全体ではハウスメーカーよりも減っていますが、「大変満足」の割合は増えています。逆に、大変不満、不満が17%になっているのは気になりますね。
・大変満足な方の意見
「要望、提案、意見交換、心配事などの相談が他のものを仲介せず、家作り全般に知識がある専門家と直接やりとりできて、満足いく家づくりになった。」
・大変不満な方の意見
「施工がキチンとされていない。 平面図の内容を勝手に変えて施工する。 現場監督がまったく機能していない」
このように、会社による差が極端に大きくなってしまうのが工務店です。大変不満な方の場合、監督個人の素質の問題も大きいですが、施工方法のマニュアル化や現場管理の方法が会社として決まっていないのも原因です。
間取りは施主自身で考えることも出来ますが、施工は工務店次第なので、監督がどのように現場を管理しているのか?を確認する必要がありますね。
設計事務所の3つの特徴
設計事務所の窓口は、事務所の規模によって、事務所の代表者(先生と呼ばれている人)か、設計担当者になります。ちなみに、設計事務所の所員は、大学出たての若造でも、建築業者からは「先生」と呼ばれます。
設計事務所は、名前の通り、設計だけを行う事務所で施主とは設計契約を結びます。設計がまとまった時点で建築業者を決定し、その業者と施主が請負契約を結ぶ、という流れになります。
設計料は、工事費の8~15%程度です。2000万円の工事費なら、160万円~300万円ですね。工務店も設計料はとりますが、せいぜい、4、5%です。その倍以上の設計料を支払う価値はあるのか?と問われれば、これは施主の価値観によるし、設計事務所との相性や実力にもよります。
ただ、工務店の粗利率が20%程度であるなら、そこに設計料の10%を上乗せしても30%と、ハウスメーカーと同じです。このように考えますと、価格だけで考えるなら、設計事務所は高いとは言えないです。では、3つの特徴を紹介しますね。
1.雑誌に載るような写真映えのする家が作れる
設計事務所といえば、デザイン重視です。モダン、洋風、和風など、その事務所のカラーを強く出しています。そして、雑誌に載っている素敵な住宅を設計した事務所に、設計をお願いすることも出来ます。実際、彼らは、雑誌やHPをメインの集客に使っています。
雑誌やHPで集客する、というビジネスの構造上、写真映えが重要視されます。多少住み心地が悪くても、映えが良ければOK的な設計事務所は多いですね。これは、大学の建築教育が住み心地よりも、コンセプトやデザイン性を重視した教育を行っている弊害です。
もちろん、住環境や構造も両立して、設計を行う事務所もいるのですが、残念ながら少数です。どのような考え方で設計をしているかは、HPやブログ、代表のSNSなどで公開している場合もありますので、チェックしてみると良いですね。
2.工事する工務店は相見積もりで決める
設計と工事が分離されているので、工務店はどこで頼むことも出来ます。通常は、その設計事務所と付き合いがある工務店2,3社から相見積もりをとって決めます。
施主の知り合いの工務店で建てたい方もいらっしゃいますが、事務所独自の納め方(ディテール)もありますので、事務所が信頼している工務店の方が無難です。
工務店から出てくる見積もりは、大概、設計契約時の概算見積もりより(かなり)オーバーしていますので、そこから見積もり調整をします。
設計と工事が分かれているのは、透明性があって良いのですが、すぐに予算がわからない、調整に時間がかかるのが難点です。
また、工務店の場合は、安く仕入れられる商品がありますが、設計事務所の場合は、それがわかりません。同じような商品だし、こだわりがない部分なのに、やたら高いものが入っているなんてことはあります。仕様については、工務店からの意見を聞きながら、安く仕入れられる代替案を出してもらうと良いですね。
3.工務店以上に、レベル差や個性が強い
設計事務所は、住宅中心の事務所や、マンションや公共事業中心、店舗中心など得意分野がわかれます。それぞれに必要とするスキルや知識が違います。HPを確認して、住宅を多く設計している方なのかを確認した方が良いですね。
またデザインを重視するため、断熱性を軽視する設計事務所も、工務店以上に多いです。有名建築家ほど、この傾向が強いので要注意です。
ただR+houseのように、高気密高断熱で耐震性の高い工法を標準仕様とした上で、建築家と家づくりできるシステムも登場しているので、以前よりも、設計事務所に頼む敷居は低くなっていると言えます。
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住宅会社を知るための8つのリサーチ方法
住宅会社の基本を知った後は、実際に情報収集してみましょう。
ここではハウスメーカーや工務店に絞って8つの具体的な情報収集の方法をお話しいたします。
8つの順番は気軽に取得できる情報からより濃い情報へ並べています。
1.ホームページ
多くの会社にはインターネット上にホームページがありますが、その目的のひとつは銀行の融資対策です。
住宅会社の場合も、分譲住宅や不動産業者からの紹介仕事が多い会社は、企業向けのホームページにしているので素っ気ないホームページにしている場合が多いです。このような会社は、注文住宅は慣れておらず、仕事もしたくない場合が多いので、ぱっと見てあまりに情報が少ない会社は候補から外すようにしてください。
しっかり作りこんでいて、施主にとって見やすいホームページなら、まず確認して欲しいのが、「代表者のあいさつ」「商品の仕様」「施工実績」です。
「代表者のあいさつ」は、会社概要の中にあることが多いですね。
「代表者のあいさつ」を読むことで、社長の人柄や顔写真、その会社が何を大切に考えているかがわかります。まあ言っていることは大差ないかもしれませんが、掲載していることが大事です。これがない会社は、代表が責任をとるという意志が感じられませんので、候補から外した方が良いですね。
「商品の仕様」は、「耐震等級」や「断熱等性能等級4(又は省エネ対策等級4、次世代省エネ基準)」はクリアしているか?どうのような工法か?などをチェックします。
「施工実績」からは、ハウスメーカーや工務店の実績と提案力がわかります。また施主からのメッセージを掲載している場合は施主と住宅会社との信頼関係がわかりますので好感が持てますね。
ただ社員が施主として建てた家を掲載する場合もありますので、掲載数が少ない場合は注意が必要です。
もし好みのデザインがあった場合は、最初のコンタクトの時に
「この施工物件の担当者にお願いしたい」
旨を話した方がいいです。「施工実績」には自社設計の他にも、外注設計事務所の場合や、施工だけ行ったものの掲載されています。
センスがいい!と思って依頼しても、その担当者がついてくれないなら意味がないですからね。
かえるけんちく相談所では、全国300社以上のハウスメーカーと工務店をレビューしています。
こちらのまとめていますので参考にしてみてくださいね。
2.住宅会社のブログ
住宅会社によっては、ブログを運営している会社もありますね。大抵は、会社でこんなことありました、とか、地鎮祭がありました、みたいな内容で社員が持ち回りで行っています。
家づくりに役立つような内容は少ないですが、会社の雰囲気がわかりますので最新記事を読んでみましょう。
もし最新記事が1年前なら、ブログの目的が明確でない、社内の統率がとれていない、ルールが長続きしない、といった社風である可能性があります。
3.チラシ
オープンハウスなどキャンペーンのチラシも有用な情報源ですね。その会社の概要がコンパクトにまとまっています。
私の住む相模原市の読売新聞に入るのは、ヘーベルハウス、富士住建、アイダ設計、住宅情報館、タマホームくらいですから、地元の工務店はチラシを集客ツールとしては活用してないようですね。
情報収集とは違いますが、チラシ掲載の間取りは参考になりますので見る癖をつけると間取りを理解する力がつきますよ。
こちらにハウスメーカーのチラシを題材に作った動画を掲載していますので参考にしてください。
4.書籍
書籍を集客ツールとして使っている会社は多いです。私が以前、在籍していた会社も、PHP出版から本を出していました。幻冬舎など大手の出版社でも費用負担さえすれば出版は可能です。本が売れない時代ですから、必ず売れる(利益が出る)自費出版は、出版社にとってもおいしいビジネスのようですね。
本を出すこと自体は難しいことでも、すごいことでもないのですが、会社がどのような考え方で家を建てているのか、を知るには本は良いツールです。
ですから気になる会社が本を出しているのであれば読んでみましょう。たいてい資料請求すれば、タダでもらえるはずです。
読むタイミングですが、ある程度知識をつけてからの方が良いですね。基本的には、工務店のアピール本ですから、最初に読んでしまうと、他社が言うこととの違いに混乱してしまう場合があります。
また気になるポイントをチェックしておいて、住宅会社と話す時に質問してみても良いですね。社長独断で出版したけど、社員は読んでない、ということもあり得ますから、会社の状態を知る意味でも話題にあげてみましょう。
5.カタログ
大手ハウスメーカーの場合、ホームページには詳細な情報を掲載せずにカタログ請求させて個人情報を取得する、というのが定番になっています。建築業界に限らず、よくある手法ですね。
特に大手ハウスメーカーは独自工法を持っており、見栄えの良いカタログが多いですからカタログ請求ページを見ていると色々欲しくなってしまいます。
資料は欲しいけど、まだ営業とは話したくはない、という場合には、備考にその旨を書いてみると良いですね。
ちなみに私は、以下のような文面を備考に入れて資料請求を行っています。
「当面家を建てる予定はございませんが、御社に興味があるため資料請求をさせていただきました。そのため営業担当者をつけていただくことは希望しておりません。
また、上記に対する回答は必要ありませんので、資料のみを郵送して頂けますと助かります。
何卒よろしくお願いいたします。」
6.比較サイト・口コミ・施主ブログ
ハウスメーカーや工務店の候補があがったら、比較サイトや口コミを確認しても良いですね。どちらも専門家が書いているものではないので信ぴょう性はないのですが、実体験が書かれている場合もありますので、参考にはなります。
また施主がインスタやアメブロなどで自身の家づくりについて書いている場合もあります。ホームページやカタログには掲載されていない情報も多いので私もたまに参考にしています。
特に一条工務店と契約した方の情報発信は多いように感じます。
口コミや体験談は物件数に比例しますので、どうしても大手ハウスメーカーが多くなります。また満足している方よりも不満のある方が書き込みやすいので、どうしてもネガティブは情報ばかり目に付くようにはなります。
これらから大手ハウスメーカーはクレームが多い!って思うかもしれませんが、逆の見方をすると、それだけ情報が公開されている、ともいえます。また退職した営業社員が悪口を書き込んだりもしますから、何が正しいかは判断しにくいですね。
ですが、引き渡しされてからこれらのサイトを見て不安になるよりは、契約前に見て疑問に思う部分は営業に確認し、納得のいく回答をもらう方が建設的です。
7.住宅展示場
さてここでやっと住宅展示場です。
私は割と住宅展示場が好きでたまに見に行きます。
営業からは、
「まずはお名前と住所を書いてください」
と言われますが、
「家を建てる予定はないので、見学だけしたいです」
と話し、最初はスルーするようにしてください。
理由は、アンケートを書いて渡してしまうと、その営業が「あなたの営業担当者」になってしまうからです。会社も営業の実力もわからない状態で、担当が決まってしまうのは得策とは言えません。
実際、住宅展示場に行く人で家を建てる予定の人は一部です。他はイベントがあるからとか、デートとか、暇つぶしとかですから、気にする必要は全くありませんよ。
さて、
「実際に建つ家は大きさも仕様も全然違うから、展示場には行かない方が良い」
という情報発信する方も多いですが、私はそうは思いません。
ハウスメーカーとしては、こんなデザイン性の高い空間を作れる、というアピールをしたいわけですから、展示場が豪華になるのは当たり前ですよね。それを認識していれば大丈夫です。
それに豪邸すぎて参考にならないかというと、そんなこともないです。
ある程度家づくりに興味を持っている方は別ですが、急に家を建てたいってなった方は、最新のキッチンや食器洗い乾燥機、ユニットバス、汚れにくい外壁材など知らないことが多すぎます。
それらの実物を一気に見れるわけですから、かなりの情報を得ることができますね。何しろ楽しいし、テンションもあがります。
その勢いで営業マンにアンケート用紙を渡してしまうと面倒ですが、最近の家はどんなのよ?っていうのを知るには良い空間ですよ。
また夫婦で展示場を体験しながら夫婦でどんな暮らしがいいかという会話を楽しんでもいいですね。
妻、または旦那がどのような家にしたいのかを知るのは大切です。
キッチンにたったりソファでくつろいだりして、理想の暮らしについて考えてみましょう。
8.工事現場見学会
候補の会社が工事現場見学会を開催しているのであれば参加してみてください。
この段階になると、名前や住所などの個人情報がないと無理ですので、ある程度会社を絞った段階で参加するようにします。また「見学会」という形をとっていなくても、個別に現場を案内してもらうことは可能です。
現場に行くと、営業が様々な説明をしてくれるかと思います。採用している工法などですね。担当者が知識不足の場合は課長が同伴して説明してくれると思います
もちろん、それらの説明を聞くことも大事なのですが、施主が見るべきポイントは一つだけです。それは、「現場が綺麗に整理されているか?」です。
これは建築関係者が口を揃えて言うことですが、能力のある監督ほど現場は綺麗に整っているものです、
現場のゴミはまとめてあり、近隣にも配慮して、作業しやすくなっています。特に工事現場見学会の場合は、施主が見に来ることがわかっているのですから綺麗になっていて当然なのですが、それすら出来てないような場合は候補から外した方が良いですね。
全国の住宅会社を紹介するサイト
弊社では、全国315社のハウスメーカー・工務店をレビューし解説しています。こちらになりますので参考にしてくださいね。
住宅会社を絞り込む5つのポイント
リサーチの後は絞り込みです。
住宅会社は闇雲に探していくと大変なので、以下の5つのポイントをクリアした会社の中から候補を選ぶと良いですね。
1.敷地から車で1時間以内の場所に会社がある
施工管理や緊急時の対応、アフターメンテナンスも考えると、最低でも車で1時間以内の会社の方がいいですね。
会社から敷地までどれくらいの時間がかかるかは、グーグルマップで調べることが出来ます。実際、私がいた工務店も、明らかに遠方の方へのメンテナンスやクレームに対するレスポンスは悪かったです。1時間以上かかると往復で半日仕事になりますから監督や営業の気持ちもわからなくはないですが、だったら契約しなければ良いのに、とは思います。
営業が大丈夫ですよ、と言っても契約前と引き渡し後では対応は違ってきますので気を付けてくださいね。
2.現場見学会を行っている。
現場見学が出来る会社を選びましょう。「事件は現場で起きている!」じゃないですが、工事現場の状況を見ることで、その会社の経営状況もなんとなく分かります。
経営状態が悪く業者への支払いが滞っている場合には、現場もストップしていますので、「現場見学会」をやっている余裕がなかったりします。会社の健全性を確かめる意味でも、現場状況は見ておいた方が良いですね。
3.断熱等性能等級4をクリアしている
2025年に戸建て住宅の断熱義務化がされることが確実です。当初、断熱義務化は2020年の予定でしたが、不動産協会環境委員などの反対で見送りになりました。
それがなんとか、義務化になりそうです。基準になるのは、品確法で定められる「断熱等性能等級4」です。現在でも、ほとんどの住宅会社で「断熱等性能等級4」は達成していますが、建売や建築条件付きを中心の仕事をしている工務店の場合、未達の会社もあります。
自宅で快適に過ごすには、「断熱等性能等級4」は最低基準となりますので、小さい工務店で建てるならチェックした方がいいですね。
また吹き抜けやリビング階段の場合は、「断熱等性能等級4」では、冬は寒いと思います。「断熱等性能等級4」をクリアした上で、窓は樹脂サッシにすると良いですね。ちょうどZEH(又はHEAT20 G1)程度の断熱性能になります。
4.耐震等級2以上でモノコック工法を採用している
南海トラフ巨大地震、首都直下地震など30年以内に大地震が起きることが予想されています。その対策として、「耐震等級2」以上にすることで、家族と家を守れる確率が高くなります。
長期優良住宅にした場合には、自動的に「耐震等級2」以上にはなりますので、標準で採用している会社を選んでもいいですね。
ただ熊本地震では、「耐震等級2」の住宅が全倒壊しました。
・在来工法だった
・直下率が低かった
ことが原因です。
在来工法は地震に弱いことが分かっていますので、大手ハウスメーカーが採用しているモノコック工法(パネル工法、ハイブリット工法など)を標準にしている会社にしましょう。
※2×4,2×6の住宅なら問題ないです。
また直下率は、間取りに関することなので個別にチェックする必要があります。セルフチェックの方法はこちらの動画で解説しています。
5.完成保証制度が使える(工務店の場合)
小規模な工務店の場合、倒産のリスクが気になります。そのリスクを最小限にするために、「完成保証制度」が使える会社を基準に選んでも良いですね。
「完成保証制度」とは、工事途中に業者が倒産した場合の前払い金等の保証や、引き継ぎ業者探しをあっせんする制度のことです。
経営状況等の審査を通過した優良な住宅会社だけ業者登録できるので、「完成保証制度」を使える時点である程度、信用のある会社、ということになります。
中小の工務店で建てる場合には安心できる制度ですが、「住宅完成保証書」が発行されないと保証が有効にならないため注意が必要です。
私が以前担当したお客様の場合、「保証書」が発行される前に工務店が倒産してしまったので、保証の対象になりませんでした。
[ad#ad01]5ステップで理想の会社を選ぶ方法
住宅会社の候補がいくつか絞れましたら、実際に会社選びをしていきます。5ステップで理想の住宅会社を選ぶ方法を教えますね。
1.提案をもらう会社は3社に絞ろう
プラン提案や見積もり依頼は、5社、6社とやってしまうと、休日の打ち合わせが大変なことになってしまいます。以前、ご相談いただいた方も、5社同時に打ち合わせを進めたため、週末は全て商談で潰れてしまったそうです。ので、リサーチの段階で3社程度に絞りましょう。
2.プラン依頼しよう
3社に絞った段階で、各社にプラン依頼をしましょう。依頼から提案までは、およそ2週間かかります。
プラン依頼は、要望事項を紙にまとめて渡すようにしてください。口頭での指示ですと、会社によって違うことを言ってしまったり、言い忘れがあったりするので、後で比較することが難しくなります。
また、間取りについては、LDKは18畳欲しい、など、具体的な面積などは言わない方が良いです。理由は具体的な数字を言ってしまうと、それに合わせる間取りになってしまい、提案の幅が狭くなってしまうからです。それよりも、開放的なLDKにしてほしい、とか、洗濯は部屋干し中心など、こんな暮らしがしたい、という話をしましょう。
同じ理由で、設計者から提案が欲しい場合は、自分で描いた間取りを住宅会社に渡すのもやめましょう。渡した時点で、それ以上の案は出てこない、と思った方が良いです。
私も設計者なので、施主から手書きの間取り図を渡される経験がありますが、やりにくいなあ、と毎回思います。理由は二つあります。
ひとつは、もしそれが根本的にイマイチな案の場合でも、施主の手前、「ダメですね」と切り捨てることが出来ないからです。結果、施主が考えた案をブラッシュアップしたものと、自分の案の二つを提案し、「イマイチ」であることを納得してもらう必要があります。
もうひとつは、優先順位がわからないことです。言葉で要望を頂く場合は、その話し方などから優先順位をなんとなく察することが出来ますが、間取りの場合は、それがわかりません。まあ、考えようによっては、間取り、という形で要望を頂いているので、その間取り通り作ることが最も優先順位が高い、という解釈になり、結果、頂いた間取りのままの家が出来ることになります。
プランを依頼して、提案してもらう、というのは、どの住宅会社を選ぶか、を決める大事な材料になりますので、しっかり提案をしてもらうようにしましょう。
3.見積もり依頼をしよう
プランが出来あがってきたら、見積もりも出してもらいましょう。時間があまりない時はプラン依頼と同時に見積もりも依頼します。
見積もりは必ず、本体工事の他に、オプションや諸費用も含んだ家づくりにかかる総額で提案してもらいます。
採用したいキッチンや浴室が決まっている場合は、メーカーのショールームに行って商品を選び見積もりも作ってもらいましょう。一般の方でも、ショールームでは普通に見積もりは作ってくれます。その見積もり書を渡せば、住宅会社も見積もりをとることが出来ます。特別、住宅設備にこだわりがない場合は、とりあえず住宅会社の標準品を入れてもらいます。
4.プラン・見積もりを比較しよう
プラン、見積もりの提案を受けるときは、依頼した内容が組み込まれているか、確認していきます。もし、入ってない場合は、その理由も聞きましょう。
見積もりの書式は、だいたい以下の2つのタイプになります。
1.全ての項目が細かく記載されている
2.基本仕様(坪単価)に、オプション
どちらでも、仕様が明確に分かればオッケーです。各社、プランと見積もりが出たら、早速、見積もり比較表に記入しましょう。見積もりは細かく比較しても、各社それぞれ出し方が違うのであまり意味がありません。見積もりは、総額とそこに含まれる仕様で比較します。
比較表に記入するときに、見積もり書や図面から仕様が読み取れない場合は、住宅会社に確認してください。もし希望の仕様になっていない場合は、住宅会社に見積もりを調整してもらいましょう。
また、ここでいう「総額」とは、諸経費も含むものです。会社により、エアコンが本体工事に入っていたり、サービスだったり、別途扱いだったりしますから、それら全てが入っている状態の見積もりを作ってもらいます。
各社のグレードがそろった時点で、やっと見積もりが比較できます。このやりとりを通して、営業担当の対応がしっかりしているか、スピーディーかも確認してください。家づくりの相棒として問題ないかを冷静に判断することも大切ですね。
5.住宅会社を1社に決定する
1から4で、ある程度、住宅会社を客観的に比較はすることが出来たと思います。見積もりや提案力などで、圧倒的に良い会社があるのなら、それほど迷わないかと思いますが、微妙な差だった場合はどうすれば良いでしょうか?
その場合は、営業担当者や設計担当者の好き嫌いで決めるしかないと思います。つまり、一緒に家づくりをしたい!と思える人がいるかどうかですね。
この人だったら、多少、何か失敗しても許せる、というくらいの人であれば、一番良いですね。まあ、失敗してほしくはないとは思いますが、人間的に好きなので許せる、というのは結構大事かと思います。
担当者はイマイチだけど、その上司が信頼出来るので契約する、という場合もあります。
上司がしっかり担当者をサポートしてくれるなら良いですが、契約したら後は担当者まかせ、というパターンもあります。また上司が全てをチェックできるわけでもないので、担当者自身を信頼できるか?という見極めをしっかりするようにしましょう。
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