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【建築士が解説】失敗しないリフォーム会社の選び方

こんにち!一級建築士で家づくりコンサルタントの船渡亮です。新築住宅の価格高騰もあって、リノベ・リフォーム業界が注目されています。私がサポートするクライアントにも、リノベ・リフォームすることを前提に中古住宅を購入される方も多いです。

今回は、そんなリノベ・リフォームを検討している施主向けに会社選びの実践的な方法を7ステップで紹介します。

目次

STEP1 目的や規模から最適な依頼先を選ぶ


リノベ・リフォーム業界は、法的な規制が少なく参入障壁も極めて低いため、リノベ・リフォーム会社は玉石混交といった様相です。

トイレやお風呂の交換ならできるけど、大型リノベは無理、という会社もあります。最初に「無理です」と断ってくれれば良いのですが、営業が実績欲しさに契約してしまい、結局、出来ませんでした、というのでは目も当てられません。

先日、行った小学館(雑誌DIME)での打ち合わせでも、スタッフの方がそのような話をされていました。

ただトイレ交換など簡単な工事であれば、小さなリフォーム会社の方が、コスパが高いので、施主としても事前に会社を絞っておくことが大事です。

■家全体をフルリフォーム(リノベーション)したい

戸建てで家全体をリノベーションしたい!という場合は、工務店やハウスメーカーなどの住宅会社(のリフォーム部門)に依頼するのが良いですね。

住宅会社に依頼するメリットは、

1.ある程度、提案力が期待できる
2.耐震・断熱改修も同時に依頼できる
3.壁や床を外した時に、シロアリなど大きな問題があった場合でも対応可

といったことがあります。

住宅会社の場合、こちらの要望を伝えれば家全体を考えた提案を期待できます。リノベ・リフォーム業界は営業担当がズブの素人ってことも多いですが、住宅会社の場合は、その可能性は低くなります。

また表面的なリノベ・リフォームなら、建築的な知識は必要ないですが、フルリフォームとなると耐震・断熱改修も同時に実施したいところです。場合によっては壁を外すといったことも行いますが、耐震性を考慮せずにやられてしまうと大変なことになります。

床や壁下地を外したら、シロアリ・カビ・水漏れが見つかった、といった場合でも住宅会社なら対応ができます。建築士が在籍している住宅会社なら責任もありますので、(一般のリノベ・リフォーム会社より)無責任なことは出来ません。

マンションの場合は、フルリフォーム(リノベーション)でも、構造や断熱が関わることが少ないので、必ずしも住宅会社である必要はありません。ただ請負金額が500万円以上になる場合は、建設業許可証が必要になりますので注意が必要です。マンションリノベが得意な会社を選ぶのが良いですね。

■小規模なリフォームをしたい

水廻りの住宅設備交換やクロスの貼り替え、子供部屋の分割など、やることが決まっており、さほどリノベ・リフォーム会社からの提案力も必要ない場合は、リノベ・リフォーム専門業者や量販店などに依頼しても良いですね。提案力は期待できませんが、比較的安価に出来ます。

■住宅設備や電気器具の交換だけをしたい

トイレを交換したい、内窓を設置したい、インターフォンを交換したい、といった交換工事の場合は、リノベ・リフォーム会社を通さず、直接、水道屋さんや電気屋さんに依頼するのが安価に出来て良いですね。

STEP2 検索やポータルサイトで情報収集


依頼先はイメージがついたと思いますが、どのように会社を探したら良いでしょうか?

まずは、複合キーワードで検索するのがお勧めです。

「地域名 リフォーム」
「地域名 リノベ」
「地域名 キッチン交換」
「地域名 耐震改修」

といった複合キーワードで検索して上位から見ていきましょう。検索結果の上部はスポンサー枠で大手ハウスメーカーが入りますが、その下には地元の会社や「オススメ会社10選」みたいな記事もあるはずです。これらのHPを最初に確認してみます。

検索結果の上位にあるということは、不動産屋からの下請け中心ではなく、自社で集客している、ということなので、実績も提案力も期待できます。ただ近所の会社が上位に入るとは限らないので、営業所の場所は確認しましょう。

先ほど「地元の会社」と書きましたが、「地元であること」よりは、営業所が近くにあることが重要です。あまり遠いと、引き渡し後に不具合があった場合のメンテナンス対応が悪くなりますので、車で30分程度に営業所があると良いですね。

また自宅からの距離を知る上でも、グーグルマップで「リフォーム会社」などで検索しても良いですね。精査は必要ですが、検索結果上には入らない良い会社が見つかるかもしれません。

また口コミサイトを利用しても良いですね。一般財団法人 住まいづくりナビセンターが運営する「リフォーム評価ナビ」は、全国1000社以上のリノベ・リフォーム会社が登録されており、地域ごとの検索も可能です。概ね良い評価ばかりなので、口コミ機能としてはどうか?とは思いましたが、事例も確認できるので会社探しには良いですね。

探すのが面倒な場合は、「タウンライフリフォーム」などの、一括見積サイトを利用しても良いですね。私も利用したことがありますが、比較的、ちゃんとした会社が提案してくれます。

このようにリサーチすることで、気になる会社が見つかるはずです。それらを5~10社程度はリストアップすると良いですね。

STEP3 会社の信頼性を確認する

 

5~10社程度、気になる会社をリストアップしたら、HPで信頼性を確認しましょう。まずチェックするのは「会社概要」です。以下の項目があるか確認してください。

□建設業許可番号
□社長あいさつ
□建築士

キッチン交換程度なら問題ないですが、ある程度の規模のリノベ・リフォームをしたいなら、建設業許可を取っている会社が良いです。500万円以上の工事をする際に必要になりますので、大規模な改修の実績や技術力があることがわかります。

また建設業許可を取るためには、以下の6つの資格要件があります。

①経営業務の管理責任者がいること
②専任技術者がいること
③財産的な基礎が安定していること
④誠実に契約を履行すること
⑤欠格要件に該当しないこと
⑥社会保険に加入していること

まあ、普通の会社、という感じですが、逆に言うと、建設業許可がない会社は、これらをクリアしている証拠がないわけですから、結構不安です。まともな会社なら許可を取るのは難しくはないので、建設業許可がある会社の中から選びましょう。

社長あいさつは、社長の人柄や責任感を確認するのに良いですね。また経歴からどのようなリノベ・リフォームが得意なのかもわかります。

建築士ですが、フルリフォームしたいなら必須です。小規模な会社なら一人いれば十分です。近年、建築士の責任は重くなっておりますので、リノベ・リフォームとはいえ、下手なことは出来ません。

ここまでは、会社や施工についての信頼性の確認です。提案力や実績については、HPの「事例」「施工実績」を確認します。HPのトップには、「フルリフォームできます」と書いてあっても、実績には屋根工事の写真しかない、というのでは信用できません。

「事例」「施工実績」は写真付きで公開されますのでウソは付けません。また施主との信頼関係がないと写真公開は許可されませんので、超重要です。まずは自分達が行いたいリノベ・リフォームに近い事例があるかを確認してみましょう。

最後に「お客様の声」もチェックです。HPでも記載がありますが、ネガティブな口コミも確認したい場合は、「会社名 口コミ」で検索してみましょう。小さい会社の場合、それほど口コミは出てこないとは思いますが、念のためチェックします。

大きな会社ほど、リノベ・リフォーム件数も増えるので、どうしても「ネガティブな口コミ」は出てきます。これはある程度、仕方がないことなので、そこまで気にしなくても良いのですが、内容は確認した方が良いですね。

一番嫌なのが、その会社と請負契約した後に「悪い口コミ」を見つけてしまうことです。しかもちょっとトラブっている時に、そういう口コミを見てしまうと(実際は言いがかりような口コミであっても)、関係が悪化することもあります。

全く口コミは見ない、と決めているなら良いですが、気になる場合は契約前に確認しましょう。その上で、気になる口コミについては、その会社の営業担当者に確認すると良いですね。

STEP4 アフターサービスや瑕疵保険を確認しよう

フルリフォームの場合は、保険やアフターサービスも確認するようにしましょう。大手ハウスメーカーの住友不動産のリフォーム事業「新築そっくりさん」の場合は、以下のようなアフターサービスとなっています。(2023年5月現在)

1.リフォーム最長10年保証
2.水廻り5台設備の10年保証
3.定期点検
4.24時間・365日対応のお客様センター

大手ハウスメーカーでないと、ここまでの対応は出来ません。当然、リノベ・リフォーム費用にはサービス分が上乗せされていますが、安心できますよね。

ここまで充実していなくても、アフターサービスがどのようになっているのか、はHPで確認しましょう。

また、リフォーム瑕疵保険に加入しているかも確認します。リフォーム瑕疵保険は、建築士の検査と保険がセットになっているものです。工事中に保険会社の検査員が現場をチェックしてくれ、リフォーム工事の不具合にも保険金を支払ってくれます。

壁紙の張り替えやトイレの便器交換など、規模の小さなリフォームなら保険の有無をそこまで気にする必要はありません。あくまでも信頼できる会社なのかの目安として、参考程度で問題ないです。

STEP5 リノベ・リフォームの要望書を書く

会社探しと並行して、リノベ・リフォームの要望書を作成しておきましょう。要望書の目的は2つあります。

1つ目は、家族でリノベ・リフォームの方針をまとめることです。家族内で要望がまとまっていないと見積もり依頼が出来ません。話し合うだけでなくテキストにすることで、家族内の不毛な「言った・言わない」問題を回避できます。

2つ目は、同じに内容で見積もり依頼をすることです。リノベ・リフォーム会社もヒアリングをしてくれますが、ヒアリング方法によって見積もり内容にバラツキが出ます。工事内容をある程度そろえないと見積もり比較しにくいので、同じ要望書を使って、見積もり依頼しましょう。

以下に書式をまとめましたので参考にしてください。

1.基本事項
□ 施主名
□ 現在の住所と連絡先
□ 計画敷地の住所、地番
□ 新居に住む予定の家族構成、仕事、年齢

2.リノベ・リフォームの要望
□ 目的
□ 予算
□ リノベ・リフォームを希望する部屋・部位
□ 優先順位
絶対にやりたい:
出来ればやりたい:
余裕があれば:
□ 工事時期

3.フルリフォームで間取り提案が必要な場合
□ 夫婦の寝室は同室か別室か
□ 宿泊者の頻度
□ 就寝は、布団かベッドか
□ 現在のクローゼットの長さ(新居で必要な長さでも可)
□ 現在の靴の数(新居で必要な靴の数でも可)
□ 持ち込む家具の有無と大きさ(テレビ、ソファ、ピアノ、テーブル、仏壇など)
□ 持ち込むモノの量
□ 家相や風水を取り入れたいか

4.採用したい仕様
□耐震等級
□制振装置
□断熱等級、ZEH、HEAT20等の断熱グレード
□換気空調設備
□床壁天井
□外壁
□住宅設備の商品やメーカーの指定

STEP6 見積もりを依頼する

要望書が完成しましたら、いよいよ見積もり依頼です。実際にリノベ・リフォーム会社の営業担当者と会って、自宅を見てもらいましょう。

見積もり依頼は3~5社程度、同じ時期に行うのが良いですね。あまりに会社数が多いと対応が大変ですが、2社だと比較しにくいので最低3社は提案してもらいたいです。相見積もり自体は、普通に行われていることなので、事前に伝えましょう。

また見積もり依頼時は、営業担当者の経験や実績、人柄も確認します。リノベ・リフォームは参入障壁が低い業界で、それは営業担当者にも同じことが言えます。まったく畑違いの業界にいた未経験者が、担当になることも多いです。

またリノベ・リフォームの営業が担当する範囲が広いです。注文住宅の営業は打ち合わせと契約が仕事ですが、リノベ・リフォーム営業の仕事内容は以下になります。

①反響対応
サイトやチラシからの問合せ対応
②現地調査
自宅の状況確認とヒアリング実施
③提案・契約
見積、プラン作成、契約対応
④施⼯管理
商材や職人手配、工事進捗確認
※フレッシュハウスの募集要項より

ほぼ全部ですよね。これを何も知らない営業担当者がこなすのって、かなり大変です。もちろん、最初は上司のサポートはあるかと思いますが、私たちは新人を育てるためにリノベ・リフォームするわけではないので、新人は遠慮しておきましょう。

新人を回避するためには、見積もり依頼の連絡をするときに「リノベ・リフォーム経験の長い営業担当希望」と伝えておくと良いですね。

またヒアリング時には、

「この業界はどのくらい長いのですか?」
「最近どんな工事をされましたか?」
「近所にリフォームしたお宅はありますか?」

と世間話のように聞いてみると良いですね。

さらに詳しく担当者の能力をチェックしたいのであれば、打ち合わせ時の対応にも注目してください。工事中のリスクや、要望にはないけどやったほうがよい工事についても具体的にアドバイスがあるとベストです。

さらに、議事録を残してくれることも重要です。要望書を渡しているとはいえ、ヒアリング中に追加することも出てきます。「言った言わない」を回避するためにも、誠実な営業担当なら、進んで議事録を作成してくれるでしょう。

ヒアリング中、まったくメモを取らない営業担当者は論外です。このような会社は候補から外すようにしましょう。

STEP7 会社を決定する

依頼から遅くても2週間程度で見積書が出てきます。営業担当者の説明を受けた上で、要望書の内容が全て入っているかを確認しましょう。

要望書の中で優先順位を伝えているので、気の利いた営業担当者なら、

1.要望書の全てが入った見積もり
2.優先順位を参考に、予算に近い内容の見積もり

といった風に、2つ用意してくれる場合もあります。見積もり依頼時に、「予算内でいける」「予算内では厳しい」といった話は出ると思いますので、厳しいとなった場合は、上記のように依頼しても良いですね。

手元には3社以上の見積書が揃っているはずなので、まずは最も安い会社の見積書を見て、要望の抜けがないかを確認します。逆に、高い見積書は、他の見積書と比較して、どの項目が高いのか?もチェックしましょう。

どの会社の見積もりも予算オーバーで、予算アップも出来ない場合は、どの項目を削るのかを家族内で話し合ってみます。優先順位は決めていますが、見積書が出た時点でも話し合った方が良いですね。

このように見積書は安ければ良い、ということではなく、リノベ・リフォームを最終的にどのようにするか、を検討するツールでもあります。

方向性が決まりましたら、

・削る項目
・不足していた項目の指摘
・他社に比較して高いと思われる項目の指摘
・予算(変更した場合)

をリノベ・リフォームに伝えて、再度、見積書を出してもらいましょう。「高いと思われる項目」を指摘するのは、単純に「なんとか安くしてよ」ということですね(笑)

このようにすると、各社の金額の差異は小さくなるはずです。その上で、営業担当者の能力や人柄も踏まえて、最終的に決めましょう。

ここで強調したいのは、「営業の人柄って大事」ってことです。

営業担当者としての実績と能力が重要なのは当たり前ですが、一定期間、一緒になって「リノベ・リフォーム工事」に関わるわけですから、好感を持てる担当者の方が良いです。最後は、「この人ならお願いできる」という営業担当者を選ぶようにしましょう

リノベ・リフォーム会社選びのオススメ書籍

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最高のリノベ・リフォーム会社の選び方2023

第1章  2023年に使える8つの補助金
第2章 リノベ・リフォーム会社の選び方
第3章 【大型】リノベ・リフォームの注意点
第4章 【マンション】リノベ・リフォームの注意点
第5章 【戸建て】リノベ・リフォームの注意点
第6章 【30万円未満】格安リノベの注意点
第7章 使える!お勧め建材・通販サイト・本

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この記事を書いた人

家づくりを通して、ライフスタイルをデザインして欲しい、という思いから、このブログを立ち上げました。二児の父でもあり、家事もバリバリこなすイクメンです。
一級建築士 / インテリアコーディネーター

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