初めまして!
一級建築士で家づくりコンサルタントの船渡亮(ふなとあきら)です。
仕事柄、沢山の家づくり本を読んでおりますが、その中で家づくり初心者にまずは読んで欲しい本を選んでみました。私自身も家づくり初心者向けの本を執筆していますので、いくつか紹介しますね。


本の選択基準
家づくりの本は沢山ありますが、 ほとんどは、「ハウスメーカーや工務店の営業ツール」として出版されたものです。
私が以前いた工務店でも、PHP出版から本を出して、営業に使っていました。 いい家を建てる!などは、(中身はともかく)営業ツールとして成功した例のひとつですね。
それらを読むのも悪くはないのですが、 色々読むと、主張がそれぞれ違うので、色々読むと混乱してしまいます。
また、あくまで、営業ツールなので、 読んでいくと出版した会社に頼むのが、一番良い、という結論になってしまいます。
そのため「初心者向け」ということを考え、特定の工法を勧めるのではなく、 施主が先ずは知っておくべき家づくりの基本や考え方、概要がわかる本、という基準で選んでいます。
特に、30代から40代の子育て世代を想定したセレクトになっています。

まず最初に読む3冊
注文住宅を建てようかな?って考え始めた時に、まず読むべき本を3冊セレクトしました。写真は全て自前の本を撮影しているので、若干の汚れ等はご勘弁くださいね。
1.はじめて家を建てました!(あべかよこ)

ドキュメントとノウハウをバランスよく詰め込んだ、 家づくりの入門書です。
漫画家のあべかよこと夫が、ハウスメーカーを決めて竣工するまでの様子を、まんがで丁寧にわかりやすく描いています。これを読むと、家づくりの全体像がわかるので、 よくわからないことからくる不安が解消されると思います。
またハウスメーカーの営業とのやりとりや、 現場でよくありがちな事件(床が雨に濡れて大丈夫なの?)など、 実際に家を建てた人でないとわからない内容も多く、説得力があります。
バーチャルな家づくり体験を出来るのが魅力ですね。
物語に登場する「家づくりのプロ」小野さんのアドバイスが、 的を得ていてわかりやすいです。 こんな専門家のアドバイスがもらえたら、、、って読んでいる方は、 思うかもしれませんね。

2.正直不動産(大谷アキラ)

山下智久さん主演でドラマにもなっている不動産業界や取引の内情がわかるマンガです。主人公は、地鎮祭のときに祠を破壊してしまったことで、ウソを付けなくなった不動産会社の営業マンです。
不動産業界は、「千の言葉のうち真実は三つしかない」という意味で、千三つといわれるらしいのですが、実際、法律も複雑で物件ごとに状況が違うので一般の方にはわからない事も多いですね。
これらを一から学ぶとなると大変ですが、「正直不動産」では様々なケースが取り上げられているので、何に対して気を付ければ良いのか? がなんとなくわかるようになっています。
これまで14巻(2022年4月時点)発売されているのですが、注文住宅を検討している方にお勧めなのは、以下の巻です。基本、2話完結なので途中だけ買っても話にはついていけると思いますよ。
2巻 建築条件付き土地売買
5巻 再建築不可
7巻 公簿売買
8巻 契約解
9巻 通行地役権
12巻 建築確認

3.注文住宅の8つの難題(船渡亮)

注文住宅を建てる時に、施主の前に立ちふさがる8つの難題とその解決方法を紹介した本です。
2017年に出版した私の電子書籍処女作ですが、これまで何度もAmazon1位を獲得し、多くの方に読んで頂きました。
2万文字程度の本なのでサクッと読め、家づくりとは、どういうことなのか?を理解することができます。
紹介している難題は、以下の8つです。
難題1.情報弱者に選択肢はない
難題2.建築会社選び、というギャンブル
難題3.どんな家が建つかわからない
難題4.多くの家が、暑いし寒い
難題5.最も災害に弱いのは?
難題6.資産価値が減り続ける
難題7.環境変化で陽当たりが悪化
難題8.車いす対応の家は少数
ちなみに、『30年後も後悔しない注文住宅の作り方』という無料の動画講座に参加すれば、この『注文住宅の8つの難題』をもらうことが出来ます。
こちらから参加できますよ。

家づくりが始まったら
「土地探し」「ハウスメーカー選び」など家を建てるための行動を始まったら、読んだ方が良い本を選びました。より実践的な内容になっています。
4.間取り図でわかる買っていい家悪い家(堀清孝)

著者は、 「住まいの水先案内人」という家づくりのホームページを主宰し、 住宅コンサルティングも行っている堀清考さんです。私は面識はないのですが、とても良質な記事や書籍を出されていて、 私もたびたび参考にさせていただいています。
タイトルに、「間取り図でわかる、、、」とありますが、 間取りに関することは1章の一部のみなので、そこを期待すると、 「あれ?」って感じではあるのですが、「家を買う」ための基準や、 ハウスメーカー、工務店選びについてなど、 実際的な知識が盛り込まれていて、かなり参考になります。
家づくりの流れは分かって、間取りについても勉強して、 いざ、家づくりを始めよう!って時に読むと、 役立つ内容がたくさんあります。
徹底した現実主義で、家づくりの知識を紹介しているので、施主にとってかなり使える本です。
また堀さんは、私と同じく家づくりのコンサルティングが専門で、客観的な立場で話せますから、施主としても安心して読むことが出来ます。
注文住宅の他にも、マンションや建築条件付き住宅、 土地の売買についても書かれており、 「家」の購入に関する知識は網羅されています。

5.家づくりの教科書2021(船渡亮)

2019年からダイヤモンド社で連載した「初めてでも失敗しない!こだわりの注文住宅のつくり方」というシリーズ記事を書籍化したものです。
ダイヤモンド社の担当は、家づくりの完全な初心者でしたので、その方でもわかるように、専門用語はほとんど使わないで、家づくりの重要な部分を理解できるように構成しています。
会社の選び方や家づくりの流れ、建築工法などの基本から、家づくりの要望書の書き方、見積もりの読み方、契約のチェックポイントなど、実践的な内容も紹介しています。
逆に、家づくり本でよく見かける「木構造の図解」など、施主にとっては、正直どうでも良い話は省いています。
巻末には、書籍内でどうしても使わざるを得なかった専門用語を、独自解説しています。

間取り検討に役立つ本
間取り検討に役立つ本を紹介します。ただ間取りを勉強したいからといって、施主の自作の間取りをハウスメーカーに渡すというのは、失敗の元なので、「絶対に」やめた方が良いのです。理由は下記ブログに書いています。
施主が、間取り検討時にすべきことは、提案された間取りをジャッジすることです。そのための知識を得るための本を紹介しますね。
6.間取りで暮らす技術1~かしこく家事時短する動線の方程式~

私の著作が続いてしまって恐縮ですが、間取り検討時に必ず読んで頂きたいのが本書です。99%の施主から「満足した」という評価の間取り診断を行う著者が、診断で使っている手法を初公開しています。
「家は3回建てないと理想にならない」
と言われるように、計画時にどのような家になるかを理解するのは難しいようです。
特に、間取り段階で、そこで「どのような暮らしが出来るのか?」を理解するのは至難の技。
ですが、
本書で紹介する「間取りで暮す」というシンプルな方法を使えば、計画中の間取りでどのように暮らせるのか?を理解できるうようになります。
「間取りで暮す」は、間取り検討中にずっと必要になるスキルです。それほど難しくはないので、本書を読んで、実践してみてくださいね。

7.間取りの方程式(飯塚豊)

建築を学ぶ学生や若い設計者用に書かれた、間取りを作るための技術論です。書店で販売している間取りの本は、これくらいなので見たことある方も多いと思います。
書籍の構成やイラストまでよく練られた本で、家を建てない方も楽しめる内容です。
また、
・建物配置は、駐車場と庭の位置を配置してから決めよう。
・玄関は真ん中を基本とする。
・二階リビングのメリット ・ゾーニングや動線について
といった全体の話から、
・一階寝室の真上には、二階トイレを置かない。 (音が気になる)
・給湯器の近くに水栓を置く。 (遠いとお湯が出るのに時間がかかる)
など、細かい話まで、バランス良く語られています。
とても良い本なのですが、「施主の間取り検討に役立つか?」というと、正直、あまり役立たないと思います。元々「学生や若い設計者」のために書かれたものですから、ある程度、知識があり、設計の訓練をしていることが前提です。
以前、著者の飯塚豊さんと話したことがありますが、彼自身もそのように話していました。
また「方程式」とありますが、これを読んだからといって、素晴らしい間取りを作れるわけではありません。どちらかというと、建築家である飯塚豊さんの設計思想を楽しめる、という傾向が強いです。
とはいえ、「間取りの教養本」としては、これ以上のものはありません。間取り好きな方はぜひ、読んでみてくださいね。

8.間取りのお手本(コラボハウス)

コラボハウス一級建築士事務所がこれまでに手掛けた間取りから、厳選したものを紹介する本です。
写真も豊富で読んでいてワクワクする内容になっています。
間取りにコメントも書いてあって、暮らしがイメージしやすく家づくりの夢が膨らむ本ですね。
こういう間取り集は昔から沢山ありますが、最近ではこの本が秀逸です。
「マネしたい!が後と絶たない」
と書かれていて、確かにそうだろうな、と思います。
ただ、そのまま真似してしまうと、多くの場合、失敗するでしょうね。
コラボハウスさんに間取りを依頼するなら良いのですが、工務店やハウスメーカーに、「この間取りで!」とやってしまうと、あまり良い結果にはならないと思います。
なぜか?
間取りは、土地・敷地状況・用途地域・予算・家族構成・希望の暮らしなどが、複合的に影響して決まるものです。そのため世の中に同じ間取り、というのは、ほとんどありません。
掲載されている間取りは、それらの状況を読み解いた特殊解です。
汎用性のあるものではありません。
にも拘わらず、「この間取りが良い」
とハウスメーカーに依頼すると、全体のバランスを無視して「施主の要望を実現した」間取りになりがちです。その多くは、コラボハウスの間取りとは全く違う劣化コピーになります。
「もちろん、全部真似るわけじゃなく、部分的に真似るんですよ」
と思われかもしれませんが、これも考えモノです。
最近の間取りで人気なのは、
・キッチン横並びのダイニングテーブル
・シューズクローク
・パントリー
・広いランドリールーム
・玄関脇にある手洗い
で、『間取りのお手本』でも見かけますが、これらを、
素敵!
と思って全部乗せしても、良い間取りになることはほとんどありません。
部分的には良く見えるかもしれませんが、(間取りで暮らしてみた結果)間取り全体としては破綻している=暮らしにくい間取り となることが多いです。
また間取りは良く見えるけど、日当たりや眺望がムチャクチャ悪いといった例もあります。
大手ハウスメーカーが計画している場合でも、冬は直射日光がほとんど入らない、という間取りも普通にあります、
これは施主の要望を優先するあまり、本来は検討すべき近隣環境を無視してしまった結果です。
ここで私達が考えなければならないのは、間取り検討時に何を重視すべきか?です。
確かに今、流行っている間取りは、魅力的に見えます。
それらを採用するのは簡単ですが、いずれ「古臭く」なります。
大事なのは、
「自分達にとって、30年後も理想的な暮らしができる間取りにする」
ことです。
この目的を達成する手法の1つとして、
・キッチン横並びのダイニングテーブル
・シューズクローク
・パントリー
・広いランドリールーム
・玄関脇にある手洗い
があります。
あくまで手法なので代替手段もある、ということです。
という感じで、本書をそのまま「お手本」にすると失敗する可能性はあります。
ただ、真似した後に、間取りで暮らしてみて問題点がないかをセルフチェックするなら、良いと思います。
どんなに
「よくできた!」
と思える間取りでも、問題点は沢山、隠れているものです。
暮らしてから後悔がないように、しっかりチェックしましょうね。

余裕があれば読んでみると良い本
最後に、余裕があれば読んでみても良い本を紹介します。
9.ホントは安いエコハウス(松尾和也)

元パッシブハウスジャパン代表理事の松尾和也さんの処女作です。
松尾さんは、ブログやYoutube、専門誌でも情報発信されていますので、「エコハウス」に興味があるなら、知っているかもしれないですね。
本書では、エコハウスにまつわる誤解を正す、という構成で、まず知らなければならない基本知識を豊富なデータと共に紹介しています。
とても良い本で、私も勉強させて頂いているのですが、一般の施主が読むことは、そこまでお勧めできません。そのため「余裕があれば読んでみると良い本」とさせて頂きました。
というのも本書は2017年に執筆されているのですが、当時に比べて日本の住宅性能はかなり改善しています。樹脂サッシ(APW330)の価格も下がり、普通の工務店でも採用されるようになりました。
HEAT20 G1程度ならクリアできる会社は増えています。
会社選びさえ間違わなければ、快適な温熱環境を確保することは可能です。
そのためこの本を施主が読む必然性はありません。
逆に、このような本を読んで、「断熱重視」の工務店を選ぶことには、リスクも多いように感じます。
実は、「断熱重視」の工務店って、間取り提案力がヒドイ会社が多いんです。
(日々のコンサルティングで実感しています)
(松尾さんは違うと思いますが)性能だけは頑張るけど、それ以外は施主任せ、
というスタンスなんですね。
実際、三井ホームや住友林業などの大手ハウスメーカーと同じように、「施主のことを総合的に考えた提案ができる会社」は少数です。
近年、ハウスメーカーの断熱性能がアップしていることを考えると、「エコハウスが得意な工務店」に頼むメリットはかなり少なくなっているのように思えます。
とはいえ、勉強熱心で知的好奇心が強く、色々と学びたい!と考えている方にはお勧めできます。
また設計者であれば、必読の書であることは間違いありません。

10.【完全版】セックスレスにならない間取り(船渡亮・三上かすみ)

夫婦の営みと間取りとの関係について、以前から興味があったのですが、アンケートを行ってみると、メルマガ読者の皆さんも間取りの所為で営めない、という経験があることがわかりました。
そこで、セックスレス専門カウンセラーの三上かすみさんにお願いして、共同執筆したのが『セックスレスにならない間取り』です。
出産が家を建てるきっかけになる夫婦は多いですが、子供はいつか巣立つもの。
30~50年スパンで考えた場合、「家の主役は夫婦」と考える方が健全です。
そのため夫婦が仲良く暮らすためには、何を考えれば良いのか?について、間取りという視点から考えたのが本著になります。
間取りによって、夫婦関係がよりよくなる環境は作れますが、それだけで十分とは言えません、そのため夫婦関係の考え方について、三上かすみさんに教えて頂いています。
出版後、この本を読んで間取りを変更しました!という施主が続出、複数のメディアでも取り上げられました。
家づくりされる方には必須の本とは言えますが、ブログやメディアでも一部紹介していますので、まずそちらを読んで頂くと良いかと思います。
【ブログ】夫婦円満でセックスレスにならない間取り7つのポイント
【コミック】家のどこでセックスをする~間取りで解決!セックスレス~
【レポート】月刊TENGA第22号_一級建築士に聞く、性生活が充実する間取り
この他、かえるけんちく相談所では、様々な家づくり本を出版しています。こちらにまとめていますので、チェックしてみてくださいね。
家づくり初心者の応援企画を始めました!
最後に家づくり初心者の皆さんへの応援企画のお知らせです。
当ブログでは、読者の皆さんに「確実に家づくりに成功して頂きたい!」そんな思いからバランスよく知識や知恵を身に着けて頂ける教材をプレゼンしています。
LINE友達登録でもらえます。
しっかり学んで、充実した家づくりにしてくださいね。
特典1『ハウスメーカーが教えない!30年後も後悔しない注文住宅の作り方』(全7章の動画講座、PDFスライド)

1000人以上の間取り診断・家づくりサポートした著者が、注文住宅を建てる施主が必ず知っておくべきだと思わる知識を7章の動画講座にまとめました。
■間違うとかなりヤバイ請負契約で後悔しない7STEP
■イマイチな間取りから複数の改善案を作り間取りを比較検討する方法
■お金をかけずに外観・通風・日当たり・断熱・防犯を最適化する【窓計画改善】セミナー
といった実践的な内容です。
参加された方からは、
「注文住宅を検討するにあたり、その基礎となる考え方、注意すべきところをよく理解できました。無料で学べるのがもったいないくらいです」
「知っていると知らないとでは家づくりが全然違うものになってくると確信した。」
「順番に見て家づくりの不安がだいぶ解消されました」
といった感想を頂いております。
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