北側斜線や道路斜線を緩和する裏ワザとは?
以前の記事で北側斜線や道路斜線を緩和する裏ワザがある、
という話をしました。
どんな技か?といいますと、 天空率、といいます。
平成14年の法改正から始まった法律なので、 建築関係者で知らない人はいないと思いますが、 施主にとっては、あまり馴染みがないかもしれません。
実は、天空率の計算や申請って、意外に面倒で、 出来れば設計担当者は使いたくないんですよね(苦笑)
ので、通常は、
「ここ道路斜線にあたってしまうので、屋根が斜めになります」 「北側斜線があたるので、部屋は作れないですね」
という感じで、 あえて「天空率」の存在を言わない、という場合が多いです。
※天空率は、高度斜線は緩和することはできません。
でも、合法的に斜線をクリアできるなら、 なるべく大きく家をたてたいですよね。
ので、今回は、天空率の概要を説明したいと思います。
天空率とは?
まず、下記の図をみてください。
横長の建物と、塔型の建物がありますよね。 図に立っている人にとって、 どちらが圧迫感があると思いますか?
当然、左側の横長の建物の方ですよね。
さて、ここに、北側斜線をかけてみます。

すると、 圧迫感のあった横長の建物は、北側斜線ギリギリでクリアしていますが、 塔型の建物は、斜線より出っ張ってしまってます。 これでは、建てることはできませんね。
でも、そもそも北側斜線は、 北側の敷地への圧迫感をなくすために作られたもの。 斜線から出っ張ってるけど、小さく作っていて、圧迫感もないのだから、 塔型の建物も建てていいんじゃないの?
でも、圧迫感のある、なし、を、 客観的に比較する方法は?
はい、それが「天空率」です。
空を占める割合を比較する
左の横長の建物(適合建築物)よりも、塔型の建物(計画建築物)の、 北側からみたときの、空を占める割合(天空率)を比較し、 塔型の建物の方が、空の占める割合が多い場合、 建ててもいいよ、ってことになります。

上図のように、一定間隔で、建物をみて、 天空率を比較します。 これで、1っ箇所でも、 横長の建物 < 塔型の建物 ではない場所があるとアウトです。
これを少しずつ、修正しながら、最適な形状を探していく作業になります。
天空率の事例
マンションを設計していた時は、使いまくっていました。 下図は、 10年前に私が設計した賃貸マンションですが、 従来なら6階建までしか建たなかったのが、 天空率により、8階建にすること出来た例です。 (道路斜線を緩和しています)

敷地や配置の条件にもよりますが、 住宅でもかなりの威力を発揮できるのが天空率。
あなたの担当の設計者から、 「北側斜線(または、道路斜線)が、当たっちゃって、、、」 という言葉が出たら、 「あの、、、天空率で再検討していただけませんか?」 と言ってみてはいかがですか?
ちょっと微妙な表情を浮かべるかもしれませんが(笑)、 誠意ある担当者なら、しっかり対応してくれると思います。
では、今日はこの辺で!