今回は、シューズクロークの間取りについてです。
シューズクロークは注文住宅を建てる施主の79%が希望するほど人気ですが、間取り診断してみると「入居したら暮らしにくい」と思われるものが多いです。
この記事では、一級建築士が「理想的シューズクロークの間取り」の5つのポイントを紹介します。自分達の間取り作りの参考にしてくださいね。
『人生が変わる片付けのルール』で紹介した理想形
シューズクロークの理想形として紹介したいのが、拙著の「人生が変わる片付けのルール」(永岡書店)で提案した間取りです。
この間取りを使って、理想的なシューズクロークにするためのポ5つのポイントを紹介していきますね。
\Point1/効率的な帰宅動線にする
シューズクロークで最も「失敗しがち」なのが、帰宅動線です。ポイントは、シューズクロークを使わなきゃ!」って強く思わなくても、自然に使えるということ。逆に「シューズクロークを使うべし」という家族ルールが必要になる間取りでは、うまくいきません。
まずはどのような動線になるか見ていきましょう。
お客様(妻ちゃん)は表玄関から左側のドアを開いてリビングに入ります。
家族(アキラ先生)は玄関右側の内玄関にます。引き戸なので普段は開けておけばよい楽ですね。靴を脱いで上着をコート掛けに掛け、そのまま独立した洗面室に入ります。
そこで手洗いして、キッチンに入り買い物を収納するという流れです。先に食材などを冷蔵庫に収納してから、手洗いでも良さそうですね。
この帰宅動線なら、ストレスなく効率的に帰宅の作業をこなせます。
この動線のポイントは、
「お客様動線より家族動線の方が手洗い・買い物収納が楽」
ということです。
当たり前のように聞こえますが、これが出来ていない間取りは非常に多いです。結果、内玄関は使われずに、表玄関ばかり使われるようになります。
\Point2/内玄関の幅は120cm以上
内玄関の幅も重要なポイントです。
この間取りの場合、120cmの幅を確保出来ています。これは一般的な戸建て住宅の(下駄箱等を除いた)玄関の幅です。5人家族までなら、靴を並べて置くことが出来るので、脱ぎっぱなしでも問題ありません。
ただ、この寸法が、80cmしかないというシューズクロークがとても多いです。
例えば私が間取り診断したK様の最初の間取りはこんな感じでした。
賃貸マンションやアパートの場合、80cmしかないのは仕方ないですが、
「そういう狭い玄関は嫌!」
と思って採用したシューズクロークなのに、これでは本末転倒です。
もちろん、お客様用の表玄関は綺麗に保てますが、そのために毎日、靴が溢れた玄関を使うことを「家族の強制する」というのも、オカシナ話です。家族が快適に帰宅・出宅できることを第一に考えるべきですね。
\Point3/必要な収納量を確保
収納量も大事です。家族全員分の靴を収納できることも大事ですが、その他に何を収納したいのか?を検討します。
この間取りの場合、260cm分の可動だなと、80cmのコート掛けが計画されていますので、収納量としては十分です。ちなみに、260cmで可動だなが10段なら、靴は100(男性)~130足(女性)程度は収納出来ます。
ここで注意したいのが「自転車」を収納する場合です。自転車は1.8m程度の長さがあるので、かなり場所が必要です。壁掛けにするなど事前に計画しないと「入らない」ということになりかねません。実際の大きさを図面に書き入れてもらいましょう。
\Point4/表玄関とシューズクロークをつなげる
表玄関とシューズクロークは、行き来できるようしないと不便になります。
状況によって表玄関(客用玄関)から入って手洗いしたい場合もありますし、玄関掃除する場合にもつながっている方が便利です。
例えば、大きくて重い荷物が宅配された場合、玄関框に置いてもらうこともあると思います。そこからシューズクロークに収納する、という流れもあり得ます。色々な動線を想定する方が良いですね。
\Point5/正面は壁にする(又はカッコよく)
シューズクロークを計画するからには、表玄関はかっこよくしたいですよね。
この間取りの場合は、正面が壁になるので、デザインしやすいです。
左の写真(私が診断したヘーベルハウスで建てた五十嵐様)のようにニッチにしても良いですし、エコカラットやアクセントクロスなど、好みや予算に合わせて様々なバリエーションを選べます。
逆に正面が、廊下やトイレのドアだとイマイチかもしれません。玄関に入った時に何が見えるのか?ということを意識した方が良いですね。
諦めることで良い間取りになることも
以上が理想の「理想的なシューズクロークの5つのポイント」となります。
「えー、こんなの面積に余裕がないと出来ないよ!」
って思われるかもしれませんが、まさにその通りで、快適なシューズクロークにするには床面積を使います。
特に今回、紹介したような「内玄関型シューズクローク」は、普通に玄関を作るよりも2~3畳程度、面積が追加されますが、それらを別のモノに使ったら、もっと良い案になる可能性もあるわけです。
最後に、「シューズクロークを諦めたことで、最適になった間取り」を紹介します。
M様の間取りです。
診断時の図面では、玄関とは別に土間収納型シューズクロークが計画されていました。大容量の土間収納は魅力的ですが、ヒアリングした結果、そこまで入れるものがないことがわかりました。
そこで、思い切ってシューズクロークはなくしたことで、ほぼ別の間取りになっています。
(シューズクローク以外にも色々問題のある間取りでした)
詳しくはこちらの記事で解説しています。
注文住宅の間取り要望を伝える時に、なんとなく
「シューズクロークが欲しい」
と言ってしまいがちですが、それがボトルネックになってダメな間取りになることはよくあります。
住宅設計者は施主の要望をかなえることが仕事なので、「それを諦めたら、こんなに良くなる」とは言ってくれません。
1000件以上の間取り診断の経験を元に船渡が執筆した「家事ゼロ動線の教科書:この間取りが暮らしにくいのはなぜか?」では、豊富な事例を紹介しつつ、ストレスのない帰宅・洗濯・料理・収納・出宅動線について解説しています。注文住宅やリノベを計画している方にとって役立つ内容になっていますので、是非、読んでみてくださいね。
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住宅会社の提案力に不安がある場合には、間取り診断を検討しても良いかもしれないですね。こちらの記事では、実際に間取り診断した事例を使って使いにくいシューズクロークの事例も紹介しているので参考にしてくださいね。
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