さて、今日は、玄関からトイレのドアが見えることについて。
一般的には、あまり推奨されてないようですが、その理由を改めて考えてみました。
設計する上での暗黙のルール
私が建築設計の仕事を始めたのは23歳の時ですが、その頃から上司に言われていたのが、
「玄関からトイレが見えるのはNG」
でした。
戸建て住宅はもちろんですが、1Kの賃貸マンションでも、
「なるべくなら、玄関から見えない方がいい」
というのがセオリーとなっています。
まあ、1Kとなるとスペースも限られていますので、
「見えるのは仕方ないけど、正面にはおかない」
ようにはしていましたね。
良心的な設計者であれば、この
「玄関からトイレが見えるのはNG」
は、厳守すべき設計セオリーとなりますが、その理由は何だと思いますか?
私は、3つの理由があると思います。
1.印象が悪い

まずは、印象ですね。
家の顔と言える玄関からトイレのドアは丸見え、というのは、一般的にはかなり印象が良くないです。建築関係者だけでなく、普通の人でも、
「え、玄関正面がトイレ?」
とは思います。
またトイレのドアって、明かり窓がついている場合が多いですから、デザイン的にもカッコイイものではないですね。
ただハイドアにするなど、見た目がトイレドアっぽくないものであれば、この「印象」の問題はクリアできそうです。
2.来客中にトイレを使えない・出れない

こちらは、住んでみて一番、困ることかもしれません。
来客中は、トイレに入ることも出来ませんし、使用中の場合は出るのも恥ずかしいですね。
ただ、サザエさんのように来客が多い家ならともかく、現在は宅配業者しか来客がいない、という場合が多いかと思います。置き配もありますので、家族以外が玄関を使うことは少なくなりました。
このように考えると、暮らし方によっては、そこまで重要ではないかもしれません。実際、私の家は、玄関近く(玄関からは見えない)にトイレがありますが、使用中に来客がある、という経験は今のところないですね。
3.道路などから見える可能性がある

玄関ドアを開けた時に、トイレの出入りが見える、ということもあり得ます。特に、お子さんが小さくて、サポートしている時にドアが開く、ということはあり得ますね。
ただ、これは、玄関と道路の位置関係によっては、該当しない場合もありますし、子供が大きくなれば、そこまで問題ではないとは思います。
(外出する家族がいた場合には、タイミングをずらして入ることも出来ます)

トイレが見えてもなんとかなるが、、、
このように考えると、どのデメリットも、問題解決できるように見えますね。
とはいえ、私自身としては、
「玄関からトイレが見える家」
には、絶対、住まないと思います。
自分が設計や間取り診断で改善提案する場合も、NGとしています。
災害時の仮設住居なら仕方ないですが、ずっと住むのであれば、玄関はカッコイイものにしたいですからね。
「価値観は人それぞれ。施主が良いなら、それで良い」
と考えてか(それとも面倒なのか)、セオリー通りじゃなくても、何もアドバイスをしない住宅設計者も多いです。
トイレに限らず、このようなセオリーはあります。
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では!