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注文住宅の請負契約で後悔しない7つの注意点

家づくりの大きな決断に、住宅会社との契約があります。

希望の引き渡し日が決まっている場合は、それに向けて施主自身がスケジュールを決めやすいですが、増税や税制優遇、補助金、住宅会社のキャンペーンなど、他の理由によって契約を急がされてしまう場合、契約に後悔してしまうこともあります。
実際、私がコンサルをしているクライアントの中でも、契約解除を経験した方が何人もいらっしゃいます。

契約解除は最後に切り札として使えますが、それまでの打ち合わせ時間や費用など多くのものを犠牲にしてしまうので、出来れば契約した会社で建てたいですよね。
今回は、契約で後悔しないために行うべき7つの注意点を紹介いたします。

目次

1.間取りの大枠が決まった時点で請負契約する

「間取りは後からでも変更出来ますから、今月中に契約してください」
という口車に耳を貸す必要はありません。

契約前と契約後では、施主と建築会社の立場は、完全に入れ替わっています。

わざわざ、弱い立場になってから、間取りの打ち合わせをする必要はないですよね。
請負契約は、必ず間取りと仕様が決まってから、行うようにしましょう。
もちろん、請負契約書には、図面と仕様書と見積もり書は綴じ込んでもらうようにします。

ただし一条工務店のように契約しないと設計者からの正式な間取り提案を受けられない住宅会社もあります。
その会社でしか提供できない技術や提案力がある会社の場合は、このような傾向があります。

このような場合は、営業ラフプランで希望に近いボリュームの間取りが可能かを確認しましょう。
また大手ハウスメーカーの場合、間取りに関する細かいルールが存在します。
それらは、施主OBブログなどで紹介されていますので、チェックしてみると良いですね。

2.見積もりは総額で提示してもらい、仕様の説明を受ける

見積もりは、必ず総額で提示してもらうようにしてもらいます。
大手ハウスメーカーや提案力のある工務店の場合、必ず資金計画書を提案してくれます。

資金計画書には、家本体の他に、水道やガスの引き込み、地盤改良工事、エアコン工事や地鎮祭費用まで記載されており、家づくり全体でどれくらいのお金がかかるのか、が分かります。

詳しくは、私がダイヤモンド不動産研究所で執筆したこちらの記事を参照ください。

初心者でも分かる、注文住宅の見積書の見方は?

そのうえで、仕様の説明をしてもらいましょう。
仕様とは、外壁や壁材、床材、キッチン、柱の種類、防蟻材など、どのような材料で家を建てるのか、のことです。

前述の一条工務店のように、標準仕様がきっちり決まっている「商品住宅型」の場合は、自社のショールームで全て説明を受けられるので安心です。
逆に、全て、自由に設定できる「完全注文住宅型」の場合は、決まった仕様がないので、どんな材料が使われているのかを事前に説明を受けないことがあります。

見積書や仕様書など書面では指定されているかもしれませんが、それがどんなものかのか?を、サンプルやカタログで説明してもらわないと、理解できないですよね。

車を購入する場合には、実物を見て、試乗するなどして、購入するものがその価格に見合うのか?を検証できます。

注文住宅の場合は、完成したものを見ることができないので、仕様はしっかり確認するようにしましょう。

3.断熱と耐震性能を再確認する

今は、住宅性能を数字で判断できる時代です。

特に耐震性能、断熱性能は、住宅の安全性や快適性を知るための重要な指標になります。

現在、耐震性については建築基準法で最低基準が決められています。
ただ、この最低基準は、居住者の命や家財を守ることのみを目指しているので、地震で家が壊れないことを保証するものではありません。
つまり建築基準法通りに建てても、地震時に破損や倒壊する可能性は十分にあり得るということです。

断熱性は、住む方の快適性や健康に関わります。断熱性に国の基準はありますが、不動産団体などの反対により強制力は持っていません。
つまり、昭和や平成に増産された低スペックの「暑くて寒い家」と同じものを、令和になっても建ててしまう可能性がある、ということになります。

では、どの程度の耐震性、断熱性が必要でしょうか。
注文住宅を建てる場合には、以下は最低クリアすべきだと考えます。

・耐震等級2または3
・断熱等性能等級4

耐震等級とは、国が定めた耐震性の基準です。等級1が建築基準法相当、等級2が基準法の1.25倍、等級3が1.5倍の耐震性となります。
木造軸組み工法の場合は、等級2以上をクリアした上で、モノコック工法を採用することをお勧めしています。

断熱等性能等級は、2021年からは、クリアしているかどうかを、住宅会社が施主に説明することの義務化が始まります。
事実上の断熱義務化ですが、現在は説明の義務はありません。

現状でも、まともな住宅会社なら、断熱基準はクリアしていますが、親戚や知り合いの大工にお願いしている方、建築条件付きの土地で工務店で建てる方は要注意です。
契約前に性能を確認しましょう。

4.支払い条件は出来高払いにする

もっとも考えたくない最悪のシナリオは、工事途中に建築会社が倒産する、ということではないでしょうか?

そのリスクを回避するためにも、支払いは、出来高払いにしましょう。
出来高払いとは、完成した部分に対してのみ、報酬をはらうというやり方です。
(大手ハウスメーカーは、引き渡し時の支払いなので、問題ありません)

支払いの割合はこんな感じになります。

基礎工事  10%
上棟時   30%
サッシ取付 50%
外壁    80%
仕上げ   90%
引渡時  100%

住宅ローンの関係で上記が難しい場合もあると思います。
その場合は、なるべく最初に支払い過ぎないように調整しましょう。

引き渡し時に支払いは、

施主チェック後の補修工事が終わってからにした方が無難です、
キチンと完成した状態で引き渡しを受けるようにしましょう。

5.アフターメンテナンスの内容は文書でもらう

口頭やパンフレットで、「うちはアフターメンテはしっかりしてます!」と聞いていても、内容は文書でもらうようにしましょう。
特にパンフレットの場合は、説明されている商品と契約した商品が違うってこともあり得ます。

1,2,5,7,10年などの点検回数と、有料・無料や保障期間なども文書で確認しておきましょう。

6.着工日と引き渡し日を明記する

着工と引き渡しの具体的な日付を、請負契約書に明記してもらいましょう。
また遅延した場合の保障や、免責事項なども確認しましょう。

7.サービスします!と言っていた内容を見積もり書に明記してもらう

サービス、も契約の一つです。必ず見積もり書にサービス、として明記してもらいます。「言った言わない」という不毛な争いを避けるのは、
契約書に添付された見積もり書に明記するのは一番です。

 

1~7をクリア―したら、晴れて契約です。おめでとうございます。

このステップを踏むことで、家づくりの不安が少なくなるばかりか、建築会社に対して、「しっかり勉強している、うるさい客だ」という印象を与えることが出来ます。

ただの「うるさい客」はクレーマーですが、「しっかり勉強している」と印象付けることで、建築会社も手を抜けません。逆にこれらのステップにきっちり対応してくれない建築会社なら、契約することは考え直した方が良いでしょう。
請負契約は、信頼関係を保った上で行えると、その後の打ち合わせや工事などで、不安に思うことは少なくなります。

大変ですが、ここを過ぎれば後は楽なものです。

キチンと契約してくださいね。

 

注文住宅の家づくりでは、施主は様々なことを学ぶ必要があります。かえるけんちく相談所では、電子書籍とメルマガで無料の家づくり講座を配信しています。これまで7000人以上が学んだ講座ですので、是非、ご参加くださいね。

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この記事を書いた人

家づくりを通して、ライフスタイルをデザインして欲しい、という思いから、このブログを立ち上げました。二児の父でもあり、家事もバリバリこなすイクメンです。
一級建築士 / インテリアコーディネーター

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