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無暖房・無冷房の家に住む | 家本レビュー

 

Z テクニカ代表 の断熱屋こと、山本順三さんの著作。

1979年から、セルローズファイバーを主力とした施工を手掛け、 究極の断熱工法 Z工法を開発した自称断熱屋。

山本さんは自分でもおっしゃってますが、感性で考える人です。

文章も、その「感性」の部分が強いので、 表現が豊か、というか過激。

 

朝起きて10°cに満たない住宅を、 獣の住む家として「獣宅」とネーミングしたり、 外張り断熱を狂ってる、と評したり。

なんとなく読む分には、毒があるので、結構面白いのです。 (安藤忠雄や、大学教授たちへの批判は痛快)

じゃあ、山本さんの提唱するZ工法と、他の工法のどこが違いなのよ? ってことになった時に、問題になっているのは以下の3つです。

1.水蒸気の扱い方

2.24時間換気の考え方

3.気密の考え方

 

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目次

1.水蒸気の扱い方

 グラスウールを充填する内断熱工法の場合、 壁の中に水蒸気を入れない、 というのが、基本的な考え方です。

そのため、GWを防湿シートで包んだものを使用したり、 裸のGWを施工してから、防湿シートを張ったり(こちらが推奨)、 しています。

この工法は、しっかり施工されていれば、冬は壁内結露の危険性は少ないですが、 夏は、夏型の逆転結露の可能性があります。

 

夏型の逆転結露とは、外部の湿気が室内に流れ込んできたときに、 冷房され冷えた石膏ボード部分にあたり結露する、というもの。

このせいで、GWがグショグショになる、、、と山本さんは書いていますが、 そのような事例は、あまり聞いたことがありません。

ただ、理論上は結露する可能性はありますので、 対策としては、室内側の防湿シートをインテロなどの調湿気密シートに変え、 室内仕上げをAEPや珪藻土などにすると、水蒸気が行き来できるので、 夏型結露が起こることはありません。

 

山本さんの考えとしては、 なるべく水蒸気が通り抜けしやすい(透湿抵抗の低い)素材を使うことで、 結露がなくなる、という考えです。

水蒸気は滞らないように、自由に行き来するようにすれば、 結露しない、そうです。

これは、インテロを使った場合と同じですので、 私も特に異論はありません。

外張り断熱の場合は、冬場は湿度が下がりすぎて、 乾燥しすぎることを問題点にしています。

 

2.24時間換気の考え方

 2時間に一度、全ての空気を入れ替える24時間換気に対して、 そこまで換気する必要はないのでは?と言っています。

これは、割と皆さんが思うこと。

彼の考えによると、 8時間に1回くらいで良い、とのこと。

人間はひとりあたり、1時間に空気7m3中のの酸素を消費します。 家族4人だと、4×7 =28m3

1戸の住宅の空気の量は250m3 なので、  250÷28 =8.9時間

つまり、8時間に1回で十分、とのこと。

でも、こんなギリギリの数値で良いのか?という問題と、

素朴に家族が増えたり、友人が来たりしたら、どうすんの? という疑問が生まれます。

2時間に1回、というのは、確かに多すぎるのかもしれませんが、

熱交換器付の換気設備をつけるなどすれば、エネルギーの消費を抑えることは可能です。

 

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3.気密の考え方

山本さんは、C値は、5.0cm2/m2程度で良いと言っています。 これは、以前の次世代省エネ基準のⅣ地域の性能です。

でも、なぜ、これが良いのかは、、、 ちょっとわかりませんでした。

そもそも気密がなぜ、必要かというと、 以下の4つの理由があります。

a) 隙間風を防ぐ

b) 断熱性を向上させる

c) 暖房効率をあげる

d) 壁内結露を防止する

この中で、セルローズファイバーを使うことで、 効果があるのは、

d)壁内結露を防止する。

だけです。

一般的には、セルローズファイバーを施工する場合も、 防湿シートを使用することが推奨されています。

いくら調湿機能があっても、許容値を超えると、 結露が起こってしまうからです。

ただ、 山本さんの考えとしては、 なるべく水蒸気が通り抜けしやすい(透湿抵抗の低い)素材を使うことで、 結露がなくなる、という考えです。

水蒸気は滞らないように、自由に行き来するようにすれば、 結露しない、ということです。

 

これなら、なんとなくそうなのかな?と思います。 ので、山本さんのZ工法の場合であれば、 防湿シートがなくても、

d) 壁内結露を防止する

はクリアーできるのかもしれません。

ですが、

a) 隙間風を防ぐ

b) 断熱性を向上させる

c) 暖房効率をあげる

は、やはり、C値 5.0cm2/m2 程度ですと、厳しいのでは?? というのが、私の感想です。

山本さんの書籍の中では、しっかりした理論としては、 述べられていませんでした。

 

以上です。

全体の印象としては、 データがあるところは、詳しく書かれていますが、

モデルハウスがこうなってるから、こうだ! みたいな記述も多く、

ちょっと、もったいない感じがします。

彼の他の書籍では、もっと詳しく書いているのかもしれませんね。

 

ちなみに、無暖房、とありますが、実際は、 暖房しないわけではなくて、 電気カーペットやラジエーターは使うそうです。

暖房設備をつけないだけで、無暖房ではないんですね。 本当に無暖房にしようと思ったら、

山本さんが建てた家の断熱仕様では難しいのです。

 

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この記事を書いた人

家づくりを通して、ライフスタイルをデザインして欲しい、という思いから、このブログを立ち上げました。二児の父でもあり、家事もバリバリこなすイクメンです。
一級建築士 / インテリアコーディネーター

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