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ハウスメーカーが気密性にはこだわらない理由とは?

先日、住友林業で契約している方から、気密性についての相談を受けました。

「住友林業から、請負契約後に、C値5.0になる、と聞いたのですが、もっと気密性を上げることは出来ますか?」

という質問です。

この質問に対しての回答は以下になります。

「個別の物件で対応できることは多少はあるのですが、残念ながら根本的な解決方法は正直、ありません」

 

ハウスメーカーのように独自工法でマニュアル通りに施工する場合、

住宅性能のレベルは一定に保ちやすいですが、そのレベルを超えるものを作るのは、困難です。

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マックのチーズバーガーが、(作る方のレベル差は多少あるにせよ)、全国同じ味なのと同じです。

ピクルスを抜いたりは出来ますが、バンズの種類を指定することは、出来ないのです。

 

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気密性に対する意識が低い

知り合いに、昨年までミサワホームで設計担当をしていた女性がいます。

先ほどの住友林業の方への参考になるかと思い、彼女に、

「ミサワのお客様で、あとから高気密高断熱を希望される人っていた?」

と聞いてみました。すると、

「断熱性アップの希望はあったかな。オプションになるけど。気密性は、そこそこ高気密だから」

「へー、そうなんだ。C値は、どれくらい」

「C値?どうだろう?わからない(笑)」

ミサワホームの気密性は、C値5.0程度と言われています。 先ほどの住友林業と同じですね。

ちなみに、積水ハウスも仕様書にあるのは、C値5.0です。

 

これは偶然ではなく、当初の次世代省エネルギー基準のC値の基準が、5.0だったからです。

(現在では、この数値基準は削除されています。理由は公表されておりません。)

私や高気密高断熱住宅を作っている関係者が考える高気密の定義は、 C値=1.0以下です。

これは、新築のマンションと同じ程度と言われています。

 

上記のC値=5.0はこれの5倍隙間があることになるので、 とても高気密、とは言えないレベルではあります。

 

このように、ハウスメーカーは、一条工務店など一部を除き、気密性に対しての関心はありません。

ので、施工する工務店も高気密住宅の経験がありませんので、 結果的に、気密性の高いとは言えない住宅が出来上がることになります。

 

ハウスメーカーは断熱性、工務店は気密性

実は、大手ハウスメーカーは、断熱性については、高いレベルであることが多いです。

少なくとも、次世代省エネルギー基準を下回ることは、ありません。

 

ではなぜ、気密性を高めることに積極的では、ないのでしょうか?

 

先ほどのチーズバーガーの例えでいうと、 断熱性を上げることは、

ハンバーグに使う肉を国産にして美味しくしたり、トッピングに目玉焼きを入れる、などと同じです。

つまり、パーツが変わるだけで、作る人の技術を高める必要がないので、ハウスメーカーは採用しやすいのです。

また大量に購入できますので、原価を抑えられます。今後、メーカー住宅の断熱性は年々良くなるのではないか、と思います。

 

それに比べて、気密性を上げるのは、職人の技術が必要です。

施工時間がかかりますし、ハウスメーカーの独自工法自体を見直す必要もあります。

しかも、一般の方で、気密性の重要性を知っている人は少数ですし、国の基準にも、C値の基準は現在ありません。

となれば、無理して気密性を高める必要は感じないのかもしれません。

 

一方、工務店の場合、規模が小さいので断熱性を上げるための原価は、ハウスメーカーよりも高くなります。

ただ、気密性を上げることは、知識とやる気さえあればそれ程、難しいことではありません。

少なくとも、C値1.0程度なら、目指すことは可能です。

私の知り合いが建てた家も、c値1.0を切りました。

その工務店は、高気密住宅は初めてでした。

決して難しいことではないのです。

 

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気密を避ける最大の理由

気密性を高めるには、職人の技術と工法の見直しが必要だから、ハウスメーカーは手を出さない、

と話しましたが、実は最大の理由は、気密試験にある、と思います。

 

先ほどから、C値、と話していますが、これは計算で求めるものではなく、 実際に測定することでわかる数字です。

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上の写真のように、部屋から空気を抜いていくことで、 家の気密性を測定します。

(ちなみに、給気口などは塞いておきます)

実は、住宅において、このように実際の性能を確認することは、 設備関係以外では、ありません。

断熱性も耐震性も、設計上の問題なので、本当にそれだけの性能があるかは、 誰にもわかりません。

耐震等級3、と言っても、実際に3なのか?は、 地震が来なければ、わからないのです。

ので、ある意味、ごまかしがきくのですが、 気密試験は、そのものの数字が出てしまいます。

 

もし、C値1.0と仕様書に記載していて、測定してみたらその数値がまったくでなかったら、 あなたならどうしますか?

「出るまでやり直してください」

と、気にする方ならいいますよね。 そうなると、結構、大変です。

 

私自身も気密試験の立ち合いは何度か行ってますが、 結構、ドキドキです。

1.0オーバー、という経験はないのですが、もしあったら、、、 大変なことになります。

 

とまあ、そんな理由もあり、ハウスメーカーは「気密性能」については、 ほとんど触れないようにしている、のだと思います。

 

気密性能は、指標のひとつ

だから、ハウスメーカーはダメなんだ!! とは言いません。

 

私の所に相談にくる施主の半分の方は、 次世代省エネ基準にも達していない断熱性能で、 工務店と契約をしています。

もちろん、気密性能も5.0cm2も、とれていないでしょう。

 

それでいて、吹き抜けやリビング階段の間取りにしよう、 という方が多いので、

「そりゃ、、、寒いよね」

という感じです。

(もちろん、断熱性能の見直しをするように提案はするのですが)

 

次世代省エネ基準をクリアしていれば、

吹き抜けなしで、LDKと廊下を仕切っているプランであれば、 冬でも十分暖かく、快適ではあるのです。

(換気がしっかり出来ているのか?という問題はありますが)

 

また、気密が悪くてもスカスカでも、日当たりが良ければ、 日中は暖房なしでも快適に過ごせる家も多いのです。

 

別に私たちは、「気密性の良い家」を建てたいのではなくて、「要望通りの快適な家」に住みたいだけです。

そして、「快適さ」は、人によって違います。

 

ですから、家づくりをする上で必要なのは、 「今から建てようとする家は、どんな家なのか?」 を正確に知ることです。

「暖かい家」に住みたい、と思うのであれば、本当に「暖かい家」になるのか?

を理解した上で、家を建てることが必要です。

 

そのためには、施主は学ばなくてはなりません。 どうせ学ぶなら、楽しく学びたいですよね。

というわけで、下記から、無料のメルマガ講座の登録出来ますので、 よろしければ、どーぞ。

次回は、簡易的に「気密性能」を知り、 どんな間取りが良いか?を理解する方法について話します。

では!

>>ハウスメーカーの気密性ランキング

 

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この記事を書いた人

家づくりを通して、ライフスタイルをデザインして欲しい、という思いから、このブログを立ち上げました。二児の父でもあり、家事もバリバリこなすイクメンです。
一級建築士 / インテリアコーディネーター

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