昨日、小6の息子が通う小学校で、 総合的な学習の時間として、
「お父さんお母さんから仕事の話を聞く」 という授業があり、 子供たちの前で仕事の話をしてきました。
学年で4人の親が、二日に分けて話すのですが、 以前から興味があった私は、
お知らせがきてすぐに立候補しました。
話した内容は、以下の5つ
①今の仕事に就いたきっけけ
②仕事内容
③仕事の楽しさ・難しさ
④仕事をする上での責任の大きさ
⑤将来に向けてのワンポイントアドバイス
ではでは、これから、実際に話した内容を再現してみます。
みなさんも小学生になった気分で素直に聞いてくださいね。
みなさん、こんにちは! ジョウの父のアキラです。
(実際は、ちゃんと名前を言っています) 今日はよろしくお願いします。
私は建築士、という仕事をしています。
建築士、というのは、 この学校の校舎や、住宅、マンション、ビル、工場、お店などの設計図を書いて、
建物が、設計図通りに作られているか、監理する人のことを言います。
建築士になったきっかけ
建築士になろうと思ったのは、 高校の進路相談の時です。
大学進学を希望していた私は、 数学や理科が得意だったので、理系の学科に入ろうと思いました。
理系の学科を調べていくと、とても魅力的な職業になれる学科があったんですね。
それが「建築学科」です。
なぜ、魅力的に思ったのか? 3つの理由があります。
ひとつは、、、お金が儲かりそうだから。
(一同笑い)
当時はバブル経済まっただ中で、建築業界は儲かっていたのです。
ふたつめは、、、学科に女の子が多く、モテそうだったから。
(一同大笑い)
他の理系の学科に比べて、女子率が高かったのです、
みっつめは、建築設計の仕事が楽しそうだったから。
誰かのために作って喜んでもらえるのって、素敵だなって思ったんです。
ここで、みんなにアンケートを取りたいので、 協力してもらえますか?
今言ったみっつのうち、仕事を決める上で、どれが一番大事だと思いますか?
2つめの「モテる」は、良い仲間がいる、と言い換えて考えてください。
例えば、ワンピースの麦わら一味みたいな感じ。
海賊って職業には惹かれないけど、あの仲間とは一緒に仕事したくなりませんか? そういう意味でとってください。
繰り返すと、
1.お金が儲かる(収入が良い)
2.モテる(良い仲間がいる)
3.やりがいがあって、楽しい。
では、手を上げてください!
※※※ アンケート結果 ※※※※※※※※※※※※
1.お金が儲かる(収入が良い)・・・60人くらい
2.モテる(良い仲間がいる)・・・ 1人
3.やりがいがあって、楽しい。・・・3人くらい
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
おお、圧倒的に、お金なんですね(笑)
この3つは、仕事をする上で、どれも大事です。
ただ、最初はどれか一つでもあれば、良いと思います。
例えば、 「お金が儲かる」って始めた仕事だけど、
職場の中も良い人たちだし、 仕事のやりがいも見つけられた、とか、
最初は、「やりがい」だけで始めたけど、 続けるうちに給料も上がって良かった。
などは、良いですね。
でも、「やりがい」はあるけれど、「給与が低い」とか、
「儲かる」けれど、「やりがい」を感じられない、
「仲間」とうまくいかず、つらい、 だと、仕事を長く続けることが出来ません。
歳をとるほど、お金って必要になりますからね。
仕事仲間との関係も重要ですし、 やりがいのない仕事を続けるのは難しいでしょう。
ので、仕事のきっかけはどれでも良いのですが、 お金・仲間・やりがい のレベルを、
バランスよく上げていくことが大事になってきます。
で、私は、というと、、、
入社した当初は、 バブルも終わり給料も安く、
非常に残念なことに、 女の子のいない職場でそれほど、モテなかったのですが、
仕事は面白かったので、建築士として仕事をすることにしました。
今は、給料も上がったし、結婚もでき、仕事仲間にも恵まれているので、とても充実しています。
建築士の仕事内容
私は昨年、三つの仕事をしました。
ひとつは、建築設計です。
二つめは、ブログなどの情報発信です。
(iPadを見せながら話す)
かえるけんちく相談所というブログを運営していて、
家づくりをしよう、という人向けに役立つ情報を発信したり、 相談にのったりしています。
三つめは、本の出版です。
(本を見せながら)
昨年の12月に、「人生が変わる片づけのルール」という本を出版されました。
縁があって、この本の監修をさせてもらいました。
今日は一つ目の、建築設計の流れについて話します。
建築設計、特に住宅設計でまず最初にするのは、 お客様の話を聞くことです。
どんな家を建てたいですか? と聞いて、具体的に答えられる方は少ないので、
「どんな暮らしをしたいのか?」について、 色々な角度からお話を聞いていきます。
その後、 図面やPCで作ったパースなどを見せてながら家の提案をして、
(パースを見せた時に、おおーと声があがります)
予算も出して、プラン提案、間取りともに気に入ってもらえたら、契約になります。
その後、具体的な設計の打ち合わせに入っていくのですが、 この期間は通常3か月、長くて1年くらいです。
この間に、 間取りについてや、外観、収納や、壁紙、フローリング、 照明やスイッチ、コンセントなどを全て決めてしまいます。
内容がまとまりましたら、図面を製本にして、 神主さんを呼んで地鎮祭というものを行って、 工事着工になります。
工事が始まると、2週間に1回程度足を運んで、 設計図通りに家が出来ているかを確認します。
そして、完成して引き渡し、となります。
(最後に完成写真を見せる)
仕事の難しさ
最も、大変なのは、施主の中にある「理想の暮らし」を、 実際の建物で実現出来るか、どうか?です。
たとえば、マックのチーズバーガーって、食べたことありますよね?
あの味とか、食感とか、値段とかわかりますよね。
ああいう、既に知っているものに対してお金を払う場合って、 そんなに後悔することってないんです。
まあ、食べ過ぎちゃった、とかはあるかもしれないですが。
でも、注文住宅は、打ち合わせの時点では、実物は何もないのですから、
その「何もないもの」のイメージを共有してもらうのが、いつも難しい部分です。
ぶっちゃけ、実物が出来上がって、住んで見ないと、 ほんとのところはわからないんです。
とはいえ、住んでみて、「これ住みにくいから、いらない!」って言われても困るので、
図面やパースや、モデルハウスなどを使って、 なるべく理解してもらえるように工夫していきます。
仕事をする上での責任の大きさ
建築士の責任はいろいろありますが、 もっとも重要なのが、人の命や健康を守る建築を作る、ということです。
地震に強い家を作る、
というのも大事なのですが、 他にも、
火災に強い、
がけ崩れなどの災害に強い、
シックハウスなどの恐れがない、
ヒートショックの危険性がない。
などあります。
この中で、ヒートショックは最も重要です。
なぜなら、年間1万4000人の方が、 このヒートショックでなくなっているからです。
この数字がどれほど多いかというと、他の死亡原因と比べてみるとわかります。
1年間に火災で亡くなる人の数は、1000人程度です。
交通事故で亡くなる人は、5000人くらいでしょうか。
また、阪神淡路大震災でなくなった方は、6434人です。
それに対して、ヒートショックで亡くなる方は、年間14000人です。
これがどれほど多いか、わかりますよね。
ヒートショックは、お風呂に入った後に、 寒い洗面所に出た時など、急激に温度が下がった時に起こります。
これは、家の断熱性能を上げて、暖かい家にすれば防げることが出来るのですが、 現状では、法的な規制はありません。
2020年 オリンピックイヤーに、やっと法の規制が始まります。
このように、人の命や健康を守る、ということを常に意識する必要が、 建築士にとっては大切になってきます。
以上になります。
話としては、いつもブログで書いていることを、 もっとわかりやすく話しているのですが、
みんなこっちを向いて、 結構、真剣に聞いてくれるんですよね。
また、質問タイムでは、
「注文住宅では、どのような要望が多いですか?」
「建築士になるためには、どうすれな良いですか?」
「図面って、何種類くらいあるんですか?」
「建売住宅って、どんな風に設計するんですか?」
などなど、10人くらいの人が手を上げてくれて、 ひとつひとつ、話していきました。
いやー、楽しかった。 これほど充実した30分間は久しぶりです(笑)
実はこの仕事について親が話すのは、 いつも、やってくれる人がいなくて困っているようなのですが、
もし、チャンスがあったら、やった方がいいですよ。
子供たちは、ほんとうに良い観客として、 話を聞いてくれますから。
では!