「間取りの方程式」は、建築を学ぶ学生や若い設計者用に書かれた、間取りを作るための住宅設計の技術論です。
このタイトルを見た時に、私は、 パクられたー!と思い、愕然としました。何故なら、同じタイトルの講座をいつかやろうと、心のノートに書き込んであったからです。
来年くらいにやろうと思ってたのに、くそ!
というわけで、実際にはパクられた訳ではないのですが(笑)、悔しい思いをしつつも、興味津々で即購入を決めました。
一通り読んだ感想
これ、勉強熱心な施主なら、自分で間取りチェックするのに、使えそう!です。
もともと、エクスナレッジの、解剖シリーズ(片づけの解剖図鑑)と同じテイストで、イラストも豊富、テキストも洒落ていて、非常に読みやすくなってます。
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大きな話から小さな話まで
そして、
・建物配置は、駐車場と庭の位置を配置してから決めよう。
・玄関は真ん中を基本とする。
・二階リビングのメリット ・ゾーニングや動線について
など、全体の話から、
・一階寝室の真上には、二階トイレを置かない。 (音が気になる)
・給湯器の近くに水栓を置く。 (遠いとお湯が出るのに時間がかかる)
など、細かい話まで、バランス良く語られています。
二階リビングのメリット
二階リビングのメリットについては、私もメルマガなどで書いているのですが、一点、ナルホド!と思ったのが、内装制限について。
台所でガスコンロを使う場合、オープンなキッチンの場合、LDK全体に内装制限というのがかかります。
この場合、壁、天井材を準不燃(燃えにくいと認定されている材料)にしなければならなりません。
内装が、ビニールクロスなら、準不燃の種類が豊富なので良いのですが、無垢材を壁、天井に貼りたい!という場合は、かなり材料が限定されてしまいます。
ただ、この内装制限は、上階がある階にだけ適用されるものです。
つまり、 二階建ての一階にLDKなら内装制限はかかりますが、 二階建ての二階にLDKなら、内装制限はかからない、ということになります。
つまり、何を使っても良いんですね。
これを二階リビングのメリットにあげていたのが、(設計者としては)、目からウロコでした。
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モダンな家好きなら
ただ、デザイン的な話になると、かなりモダニズム寄りの話になります。
著者の飯塚豊さんが、バリバリのモダニズム寄りの方なので、それが正義、という感じの書き方です。
そもそも、大学では、モダニズムを現代建築の原点として教育されるので、設計者は基本、そっち系が好きなんですね。
以前、大学時代の友人に、 「最近、プロヴァンス風の家を設計してるんだよね」と話したら、
「、、、良心が痛まない?」 と、苦い顔して返されました。
この会話、普通の人には意味わからないのですが、モダニズムは正義、モダニズム以外の建築はつまらない、という刷り込みが、されているからなんですね。
本の中には、飯塚豊さんの作品が沢山掲載されていて、どれもcasaブルータスに出てきそうな素敵な家ばかりですが、全てモダン寄りです。
ので、プロヴァンス風が好み、パッシブデザインにしたい、普通の家でいいよ、という方には、違和感があるかもしれないです。
断熱に関する記載は、疑問?
一応、窓や断熱についても書かれていますが、省エネ対策等級4ならば、吹き抜けがあっても、エアコン1,2台で快適。と書いてあり、
まじ、本気で言ってる?
と、びっくり。 さすがモダニズムの建築家です。 (断熱について、言及してるだけ、良心的とも言えますが)
寒さ暑さは、個人差があるけれど、マンション住まいだった人がこの言葉を信じると、後悔するかも。
間取り集を買うくらいなら、この本を買うべき
デザインテイストは、モダン寄りとはいえ、
断熱に関して疑問があるとはいえ、
間取りを理解し、自宅の間取りをよりよくしたい、と望む施主には、買って損はしないです。
基本、イラストや図面、写真で構成されており、写真も豊富で、なぜ、このようになるか、が分かりやすく説明されてるので、自分の家に採用するならどうすればいい? と、考えることができます。
間取りを知るなら、間取り集を読む、という手もありますが、アレ、意外に使えません。
そのまま使える場合が少ないし、その間取りがなぜそうなったか、が分からないので、応用が効きません。
料理で例えるなら、
美味しいそうな料理の写真がたくさん掲載されてるのが間取り集、
料理の基本と応用方法が書かれているのが、この本です。
施主なら、後者を読んだ方が、役に立ちますよね?
一部、辛口の批評でしたが、 断熱や気密についてはこのブログや、かえる家づくり講座で学んで頂けば良いので、間取りに興味ある人な本屋さんでみつけたら、手にとってみてください。
では!
PS
老婆心ですが、建築会社が決まってからこの本を読んで、 このスキップフロア、素敵! となると、対応できない会社も多いのでご注意を。
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