一級建築士の船渡です。今回は北側斜線について話します。
北側の屋根が、妙に急こう配になってる家って見かけませんか? 狭い敷地で区画されている住宅街ほど、多いと思います。あんな風になってしまうのは、北側斜線の所為です。
用途地域が、第1,2種低層住居専用地域で、建築を建てる場合に、 この斜線制限がかかってきます。また、この北側斜線の他に、 都市計画で決められた高度地区に指定されている場合は、 高度斜線 もかかります。通常は、北側斜線 よりも、高度斜線 の方がより厳しくなります。
なぜ、北側斜線があるの?
北側斜線に切り取られた外観は、あまり綺麗とは言えませんが、 その地域のそれぞれの敷地の日当たり良くしたり、 圧迫感を制限し、環境を守る、という意味では必要な制度です。よく住宅街に高層のマンションが建ち、 近隣の反対運動が起きることがありますが、 これは、その用途地域の高さ制限が緩いからです。
昔は工場があったけど、今は住宅地、というような場合、 用途地域は、準工業地域、というかなり高い建物が建てられる地域なので、 土地購入の際は、注意が必要です。
斜線制限が資産価値を担保する
マンションの設計をしていたころ、 年に一回程度、近隣説明会に設計者として出る機会がありました。「反対運動」が起きるようなことはなかったのですが、 自分が設計した建物が周りに影響を与えてしまうのだな、、、 と思うと、設計者としての責任を感じざるを得ません。
こう考えますと、 斜線制限は、住宅の資産価値を守るためのものと言えます。制限があるからこそ、町全体に良好な環境が担保されて、 住宅の価値を維持できるのです。
建物は北からどれだけ話せば良いか?
さて、この斜線制限ですが、 北側の敷地境界線から、どのくらい離せば、建物に影響しないでしょうか?
図を作ってみました。
まず5M立ち上がって、1.25勾配という斜線の場合です。
< 北側斜線、第2種高度斜線(東京都) >
だいたい北側の敷地から、1.3M離すと、斜線をクリアできます。(左図) これ以上、近づきますと、部屋が勾配天井になります。(右図)
次に、5M立ち上がって、0.6勾配という斜線の場合。
< 第1種高度斜線(東京都) >
東京都の第一種高度斜線はかなり厳しくて、 北側から2M離さないと、斜線クリアできません。(左図)
ちなみに、この0.6勾配、6寸勾配ともいいますが、 関東では、太陽光パネルの発電効率がもっとも高い屋根勾配になります。 (南側の場合)斜線をクリアする、という意味合いもあり、 6寸勾配の屋根は良く見かけると思います。
この北側斜線、建築基準法で決められたルールなので必ず守らなければなりません。
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斜線を超えて屋根を作る方法はないの?
でも、デザイン上、少し斜線を超えて屋根を作ることって出来ないの???
実は、「高度斜線」は無理なのですが、「北側斜線」であれば、緩和出来る裏ワザがあるんです。(まあ、裏ではなく、まったくの合法なのですが、、、)次回、詳しく話したいと思います。
では、また!
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