間取りのセカンドオピニオンで一級建築士の船渡亮(ふなとあきら)です。今回は、YouTubeチャンネル「アキラ先生の住まいの間取り教室」で紹介した施主631人のアンケート調査をもとに、人気の住宅設備ランキングを記事でも解説します。
住宅設備は、一般的には予算や好みで決めるものと考えられています。でも、調査してみると、どこで建てるか(地域)によって、人気の設備がかなり違うことが分かりました。たとえば茨城県は、宅配ボックスと太陽光発電の人気がどちらも全国1位でした。これには、それを選ぶだけの理由があります。
この記事でわかること
- 施主631人が選んだ人気の住宅設備ランキング28
- 地域や住宅会社によって人気が違う理由
- 人気の設備を採用する前に確認したい注意点
アキラ先生自分が建てる地域で何が人気なのかを知ると、設備選びの参考になります。ただ、「人気だから採用する」ではなく、自分たちの暮らしに必要かで判断してくださいね。
人気の住宅設備ランキング(全28位)
まずは全体のランキングです。数字は「採用したい」と答えた人の割合です。
| 順位 | 設備 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 太陽光発電 | 71.0% |
| 2位 | スマートロック | 64.5% |
| 3位 | フロントオープン食洗機 | 54.8% |
| 4位 | 宅配ボックス | 51.7% |
| 5位 | センサーライト | 50.2% |
| 6位 | エコキュート | 48.5% |
| 7位 | 蓄電池 | 46.4% |
| 8位 | タッチレス水栓 | 45.1% |
| 9位 | 防犯カメラ | 43.9% |
| 10位 | EV充電コンセント | 39.6% |
| 11位 | タンクレストイレ | 32.2% |
| 12位 | ガス衣類乾燥機(乾太くん) | 31.1% |
| 13位 | 床暖房 | 30.6% |
| 14位 | スマートホーム(HEMS) | 28.8% |
| 15位 | 全館空調 | 26.3% |
| 16位 | 浴室暖房乾燥機 | 24.9% |
| 17位 | 電動シャッター | 24.1% |
| 18位 | 浄水器一体水栓 | 23.0% |
| 19位 | スロップシンク | 14.7% |
| 20位 | プロジェクター | 13.5% |
| 21位 | ハイブリッド給湯器 | 9.5% |
| 22位 | V2H | 9.2% |
| 23位 | 顔認証玄関ドア | 7.1% |
| 24位 | 天井スピーカー | 4.0% |
| 25位 | ディスポーザー | 3.2% |
| 26位 | 電動物干し | 2.9% |
| 27位 | ミストサウナ | 1.6% |
| 28位 | サウナ | 1.6% |
このチャンネルは一条工務店で建てる視聴者さんも多いため、一条工務店の標準仕様が数字に影響している設備もあります(床暖房や蓄電池など)。極端に違う場合は、その影響も考えながら見ていきます。
28位〜11位:地域差がはっきり出た設備
サウナ・ミストサウナ(27〜28位)
関東の方に人気がありましたが、実際に採用する方は少数です。私の間取り診断でも、サウナを採用した方は数えるほどしかいません。
V2H(22位)・ハイブリッド給湯器(21位)
V2Hは、電気自動車のバッテリーにためた電気を、家でも使えるようにする仕組みです。中部地方で人気が高めでした。
ハイブリッド給湯器は、電気のヒートポンプとガス給湯器を組み合わせた省エネ型の給湯器です。関東では14%が採用したいと答えていますが、関西は5%と、関東の約3分の1でした。
スロップシンク(19位)
洗濯物の予洗いや、靴を洗うときに使う深い流しです。注意点は、洗濯機のすぐ横に置くことです。離れていると、予洗いした洗濯物の水滴が床に落ちてしまいます。設計の常識ではありますが、知らない設計者も意外と多いので、打ち合わせで指定しておきましょう。
浄水器一体水栓(18位)
九州・沖縄では42%と人気が高い一方、北海道・東北は10%、茨城県は6%と低めでした。地域の水道水の味や、ウォーターサーバーを使う習慣などが影響していると考えられます。
電動シャッター(17位)
毎日の開け閉めが楽になり、台風のときに外に出ずに閉められるのが大きなメリットです。関東が36%、関西が28%なのに対して、北海道は4%と極端に少なくなります。北海道は凍結の心配があり、台風も少ないので、雨戸やシャッター自体を付けない家が多いようです。
浴室暖房乾燥機(16位)
九州・沖縄、近畿、関東が3割程度なのに対して、北海道・東北は5%。寒い地域ほど採用率が低いという、意外な結果でした。
浴室暖房乾燥機は、外干し中心の人が雨の日に使うイメージの設備です。冬はそもそも室内干しが前提の北海道や東北では、必要性を感じにくいのかもしれません。
全館空調(15位)
東北や北海道など寒い地域では4割が欲しいと答えている一方、九州・沖縄は18%でした。高気密高断熱の良さを、最も実感しやすいのが全館空調だと思います。
スマートホーム・HEMS(14位)
愛知県では47%と半数近くが欲しいと答えている一方、大阪府は12%でした。大阪は、太陽光や蓄電池、全館空調などの「電気系」の設備をあまり好まず、乾太くんや床暖房、食洗機などの「ガス系・家事系」の設備が好まれる傾向がありました。
床暖房(13位)
床暖房が標準仕様の一条工務店で建てる方が数字を押し上げていて、一条工務店を除くと12%程度まで下がります。戸建て住宅の断熱性能が上がったことで、床暖房がなくても暖かい家が増えていることも影響していると考えられます。
乾太くん(12位)
北海道は9%、東北は17%と全国平均より低めでした。家全体が暖かい家では、普通の室内干しでも乾きやすいからだと思います。また、オール電化の多い一条工務店では乾太くんの採用率が低く、一条工務店以外の方に限ると38%と人気が高くなります。
タンクレストイレ(11位)
九州・沖縄が40%と人気が高い一方、近畿は24%でした。
10位〜1位:人気の設備と採用前の注意点
10位 EV充電コンセント(39.6%)
電気自動車を自宅で充電するための、200Vのコンセントです。4割が「採用したい」という結果ですが、私が見ている電気図面では、住宅会社側であらかじめ入れてくれているケースがほとんどです。将来の電気自動車の普及を考えると、採用しておいて損はない設備です。
9位 防犯カメラ(43.9%)
関東が51%、中部は33%。県別では埼玉県が62%でトップでした。一方、北陸3県はそろって低めでした。
採用するときに気をつけたいのが、カメラの向きです。隣の家の生活を撮り続けるような向きにすると、プライバシーの侵害になるおそれがあります。設置前に、カメラがどこを映すのかを確認しておきましょう。
8位 タッチレス水栓(45.1%)
中部が52%で一番多く、静岡県は73%でした。節水にもなる便利な設備ですが、センサーの反応には個人差があるので、ショールームで実際に試してみるのがおすすめです。
7位 蓄電池(46.4%)
関東は52%、中でも東京都は66%と高めでした。東京都の補助制度が手厚いことが影響していると考えられます。一条工務店で建てる方は91%と、ほぼ全員が採用したいと答えています。
今後の注目点は、国の新しい省エネ住宅の基準です。経済産業省などが示した「GX ZEH」では、2027年4月以降、戸建住宅に断熱等級6と、定置用蓄電池・HEMSの導入が求められることになっています。蓄電池の採用は、今後さらに増えると予想されます。
6位 エコキュート(48.5%)
最も地域差が出た設備です。九州・沖縄が68%、中部が61%なのに対して、東京都は36%、近畿は40%。県別では長野県が80%でトップ、一番少ないのは北海道の30%でした。
計画上の注意点は、とにかく目立つことです。道路際など目立つ場所に置くと、家はかっこいいのに外観が残念になってしまいます。設置場所は、間取りの段階で決めておきましょう。
5位 センサーライト(50.2%)
人が近づくと自動で点灯する屋外照明です。九州・沖縄が58%、関東が54%で、県別では福岡県と埼玉県が高めでした。9位の防犯カメラでも、この2県は上位でした。
照明で敷地を明るくすることは、防犯に効果的です。ただし、照らす向きとセンサーの反応範囲は設置前に確認しましょう。隣地ぎりぎりに付けると、お隣さんの動きで点灯してしまうことがあります。お金をかけない防犯対策は、窓の防犯対策でも解説しています。
4位 宅配ボックス(51.7%)
どの地域でも約半数が採用したいと答えていますが、茨城県だけは71%と目立って高い結果でした。茨城県は一戸建ての敷地が広い傾向があるので、宅配ボックスを置く余裕があるのかもしれません。
設置位置は、防犯面では道路際の門柱など、使い勝手では玄関横が便利です。室内から受け取れる壁埋め込み型なら、雨の日も楽に受け取れます。
3位 フロントオープン食洗機(54.8%)
扉が手前に倒れて、中のカゴを引き出して使うタイプの食洗機です。九州・沖縄が68%と多く、県別では静岡県が73%でトップでした。一方、北海道・東北は38%でした。
国内でフロントオープン食洗機をつくっているメーカーはまだ少なく、日本で売れている食洗機の多くはスライドオープン型です。採用する場合は、キッチン本体のグレードや費用への影響も確認しておきましょう。
2位 スマートロック(64.5%)
鍵を差さずに、スマホやカード、暗証番号で解錠できる玄関の鍵です。年齢・家族構成・予算・家の広さに関係なく、どんな家族でも約3人に2人が欲しいと答えた設備です。地域差もほとんどありませんでした。
注意点は、スマホの電池が切れると開けられないことがある点です。物理的な鍵やカードキーなど、予備の開け方を必ず用意しておきましょう。
1位 太陽光発電(71.0%)
631人中448人が「採用したい」と答えた、ダントツの1位です。ただし、予算3,000万円未満の場合は、採用したい人の割合が半分以下に下がります。初期費用がかかる設備なので、予算の影響がはっきり出ています。
地域差も大きく、茨城県は94%、愛知県は88%、岐阜県は82%と高い一方、富山・石川・福井の北陸3県は36%、新潟県は27%と低めでした。日照時間の違いが、発電量や初期費用を回収するまでの年数に影響するためです。
東京都や川崎市では、一定規模以上の住宅供給事業者が建てる新築住宅に、太陽光発電の設置を求める制度も始まっています。
太陽光発電の「点検商法」に注意
太陽光発電が増えるのにともなって、点検を口実にした勧誘のトラブルも増えています。国民生活センターによると、太陽光発電の点検に関する相談は、2017年度の57件から、2024年度には613件と10倍以上に増えています。
「点検が法律で義務化された」「無料で点検します」と持ちかけ、ドローンなどで撮影したうえで、洗浄やコーティングの契約を迫るのが典型的な手口です。その場で契約せず、まずは建てた住宅会社やメーカーに相談しましょう。親御さんの家に太陽光発電がある方は、一声かけておくと安心です。
まとめ:人気の設備は「地域」と「暮らし方」で選ぶ
人気の住宅設備ランキングの上位10位は、次のとおりです。
- 太陽光発電(71.0%)
- スマートロック(64.5%)
- フロントオープン食洗機(54.8%)
- 宅配ボックス(51.7%)
- センサーライト(50.2%)
- エコキュート(48.5%)
- 蓄電池(46.4%)
- タッチレス水栓(45.1%)
- 防犯カメラ(43.9%)
- EV充電コンセント(39.6%)
同じ設備でも、地域の気候や暮らし方によって必要性は大きく変わります。人気だから採用するのではなく、自分たちの地域と暮らしに合うかで判断してみてください。設備を足しすぎて後悔しないためには、間取りと一緒に優先順位を決めることが大切です。



設備は「あとから付けられるもの」と「新築時でないと難しいもの」があります。迷ったら、配線や下地だけ先に準備しておく方法もありますよ。
間取りで後悔しないために
1.自分の間取りを一級建築士に見てもらう(間取り診断)
3,500件以上の間取り診断をしてきた私が、あなたの図面を直接チェックします。敷地の条件や30年後の暮らしまで考えて、複数の改善案をご提案します。間取りが確定する前のご相談がおすすめです。
2.WEBセミナーで家づくりの基本を学ぶ
「30年後も後悔しない注文住宅の作り方」を、スマホで見られるWEBセミナーにまとめました。契約・間取り・窓計画など、施主が知っておきたいポイントを順番に解説しています。
3.書籍『この間取り、ここが問題です!』(講談社)
間取り診断で実際によく見る「ダメ間取り」と、その直し方を1冊にまとめた本です。自分の図面を見直すときの手引きとしてお使いください。
4.YouTube「アキラ先生の住まいの間取り教室」
間取り診断の実例や、家づくりの失敗しないコツを動画で解説しています。図面を見ながら学びたい方はぜひご覧ください。










