間取りのセカンドオピニオンで一級建築士の船渡亮(ふなとあきら)です。今回は、YouTubeチャンネル「アキラ先生の住まいの間取り教室」で話した「ランドリールームは本当に必要?」というテーマを、動画の解説画面を使って記事でも解説します。
ランドリールーム、人気ですよね。631人に行ったアンケートでも、8割が室内干しを希望し、7割がランドリールームを欲しいと答えています。ただ、ランドリールームは作れば家事ラクになるとは限りません。やたらと広いランドリーを希望される方もいますが、広いのが正解というわけでもありません。
ちなみに私の家は、洗面所込みで1.8畳の洗面脱衣室しかありませんが、洗濯にかける時間は1日20分ほど。しかもテレビを見たり家族と話したりしながら終わります。一方で、3畳の独立ランドリーを作っても、子どもが寝静まってから1人で洗濯をしなければならない間取りもあります。この違いは何なのかを、3,500件以上の間取り診断の事例から解説します。
この記事でわかること
- 洗濯の5つの工程と、ランドリーの広さより大事なこと
- 和室を使って1.5〜2畳のランドリーで洗濯を回す事例
- 3畳のランドリーがあるのに動線が16m・25mもあるダメな例と改善例
- ランドリー・洗面・ファミクロを一直線に並べる「洗濯動線の型」
- ランドリー計画でよくある失敗3つ
- 乾燥方法別の光熱費の比べ方
洗濯は5つの工程。大事なのは広さより動線

ランドリーの大きさの話に入る前に、洗濯がどんな工程で進むのかをおさらいしておきます。外干し・室内干し・乾燥機と方法はいろいろありますが、基本は次の5ステップです。
- 洗濯機を回す
- 干す
- 取り込む
- 畳む
- しまう
家事ラクにしたいなら、この5ステップを最短の動線でつなぐことが重要です。つまり、独立ランドリーがあるかどうかは家事ラクにはあまり関係がなく、施主の好みの領域になります。
たとえば、室内干しだけの人は物干し竿の長さが必要なのでランドリーは広くなります。乾太くんなどの乾燥機を併用するならランドリーは小さくて大丈夫です。浴室乾燥機だけで干すなら、洗濯機とタオルが置ければ十分です。私の自宅のように外干し中心で、雨の日だけ和室で室内干しをするなら、洗面所とランドリーを合わせて1.8畳でも家事は短くできます。
最近は独立洗面所とランドリーを合わせると4〜5畳ほど使う間取りが多いのですが、これが1.8畳で済めば、ほかの部屋に面積を回せます。ランドリーだけを見て「2畳がいい」「3畳がいい」と考えるのではなく、家全体の間取りを見て判断することが大切です。洗濯をするためだけに家を建てるわけではありませんからね。
和室を使って小さなランドリーで洗濯を回す事例
Yさん:1.5畳のランドリー+和室で畳む

まずは1.5畳のランドリーがあるYさんの間取りです。基本はドラム式洗濯機で乾燥まで行うので、ランドリーでは洗濯から取り込みまでの作業をします。その後、乾いた洗濯物を和室に持っていき、和室で畳んで和室の押入れにしまう流れです。動線は全部で7mくらいです。
ランドリーと和室の間に引き戸を設ければもっと短くできますが、Yさんはこの壁に絵を飾りたかったので壁のままにしています。スーツなど大きいものは、ランドリー・和室・主寝室の物干しを使い分けます。
ファミクロというとウォークイン型を思い浮かべますが、ここでは押入れを活用しています。今は赤ちゃんが1人なので、季節ごとに入れ替えれば押入れだけで足ります。子どもが大きくなったら、大人の洗濯物は階段を上がってすぐのファミクロを使う予定です。
和室がなければ広いランドリーやファミクロも作れましたが、終の住処として1階で暮らしが完結する間取りにしたいので、3畳の和室を優先しました。洗濯物は子どもが高校生くらいまでは多いものの、その後は確実に減っていきます。
Hさん:2畳のランドリー+和室+ファミクロ

こちらは書籍『この間取り、ここが問題です!』の事例6で紹介しているHさんの間取りです。2畳のランドリーで乾太くんを使って乾かし、和室で畳んでファミクロにしまう計画です。
和室を洗濯動線に入れるメリットは、家族と話したりテレビを見たりしながら畳めることです。家族との時間の中で家事が終わるので、実質的な家事時短になります。
私の家も外干し中心ですが同じ考え方で、1.8畳の洗面脱衣室で洗濯し、和室で室内干しするか、バルコニーで外干しして、乾いたら和室で畳んで押入れにしまいます。外に干すまでが7m、取り込んでしまうまでが4mほどです。
3畳のランドリーがあるのに動線が長いダメな例
Mさん:ランドリーは1階、クローゼットは2階で16m

ここからは、2畳以上の独立ランドリーを計画した事例です。まずはダメな例から。Mさんの間取りは1階に3畳の独立ランドリーがあり、たくさん干せそうです。ところが、クローゼットが2階にあります。
子どもが小さいうちは2階の主寝室のウォークインクローゼットで家族の服を管理するのですが、ランドリーからそこまで階段を経由して16mあります。階段は廊下を歩くより3倍の労力がかかるので、実質22mくらい歩くのと同じです。
Yさん・Kさん:大手ハウスメーカーの提案でも25m・16m

「こんな提案をするハウスメーカーがあるの?」と思うかもしれませんが、けっこう多いんです。Yさんは日本で一番家を売っているハウスメーカーで建てますが、ランドリーからファミクロまで階段経由で25mもある間取りを提案されました。家の端から端まで歩く動線で、もはや修行です。日本を代表する人気ハウスメーカーで建てるKさんも、3畳のランドリーがあるのにファミクロまで階段経由で16mでした。
改善後は1m・3m・5mに

これらの間取りはすべて改善しています。16mだったMさんは1m、25mだったYさんは3m、16mだったKさんは5mです。どれも階段を経由しないので、しまう作業もラクになります。
家事ラクな洗濯動線の型
ランドリー・洗面・ファミクロを一直線に並べる

いちばん分かりやすい型は、ランドリー・洗面・ファミクロを一直線に並べるものです。書籍の事例9のNさんの間取りでは、2畳のランドリーを出て2〜3歩でファミクロに行けます。室内干しと乾燥機を併用し、洗濯機の横のカウンターで畳みます。洗濯動線の基本の型として覚えておいてください。
トイレも並べて水回りを1か所にまとめる
洗面の横にトイレを置いて、水回りを1か所にまとめる方法もあります。Kさんはトイレ・洗面・ランドリーを一直線に並べ、乾太くんと室内干しを併用する2畳のランドリーの横にファミクロを配置しています。畳むのはランドリーの中です。
書籍の事例19のYさんは、洗面脱衣室とは別に物干しスペースとして2畳のランドリーを配置しています。その横にキッチンがあるので、奥さまが同時並行で家事をしやすくなっています。
アキラ先生ランドリーの横にファミクロがあると湿気が気になる、という方もいます。換気をきちんと計画すれば、ドアを付けなくても解決できます。Yさんの家も、入居して3年でカビなどはないそうです。
洗濯動線の問題点を見つけるには、施主自身が図面の上で動線をたどってみることが欠かせません。
ランドリー計画でよくある失敗3つ
ここまで読むと「とにかくランドリーとファミクロを近づければいい」と思うかもしれません。洗濯動線だけを見ればその通りですが、家には家族の動きがあるので、ほかの動線も考える必要があります。ここではよくある失敗を3つ紹介します。
1.ランドリーが帰宅動線に入っている


けっこう見かける間取りです。室内干ししている洗濯物の下を通って帰宅することになるので、かなり不快です。書籍の事例1のKさんの間取りも、帰宅動線がランドリー経由で、洗濯物の下を通る・遠回り・入浴中は使いにくい、と動線の問題が多くありました。


部屋の配置を変えて、効率的な動線にしました。ランドリーからファミクロへは少し長くなりましたが、キッチン・洗面・ランドリーが一直線になって家事効率が上がり、家族の帰宅も分かりやすくなりました。
2.ランドリーを通ってファミクロに入る


こちらは、誰かが入浴中だと着替えられないので、より深刻かもしれません。Bさんの間取りでは、ランドリーに入った正面に物干しがあり、それを避けながらファミクロで着替えることになります。家族の入浴中も使いにくいですね。
改善では洗面所を独立させてハブにし、気兼ねなくファミクロを使えるようにしました。独立洗面をハブにするのは最近の水回りの間取りのトレンドで、私が間取りを改善した診断事例のほとんどで採用しています。
3.ランドリーがキッチンから遠すぎる


料理は妻、洗濯は夫と分担しているならまだいいのですが、1人で家事を回すならキッチンとランドリーは近いに越したことはありません。Tさんの間取りは、キッチンからランドリーまで12m以上あり、ダイニングやソファの脇をジグザグに歩きます。さらにランドリー経由でトイレに入るので、室内干しをするとトイレに行くたびに洗濯物の下を通ることになります。


この間取りはまったく違う形に変更しました。階段を中心にした回遊動線にして、キッチンと洗面・ランドリーを近くにしています。ファミクロへは玄関経由で移動します。このファミクロは将来ベッドを2台ぎりぎり置ける広さにしているので、1階で暮らしが完結する間取りにもできます。
参考:ランドリーの入口の位置で物干しの効率が変わる


同じ2畳のランドリーでも、入口の位置で使い勝手が変わります。浴室まで洗濯物の下を通る配置もあれば、浴室の入口近くから入るようにして動線を短くし、物干しが邪魔にならない配置もあります。間取りにもよりますが、後者の形にできると効率の良いランドリーになります。
乾燥方法別の光熱費を比べる


最後に、衣類乾燥の1か月の光熱費の目安を比べます。動画で紹介した表は、4人家族で1日約6kgを毎日1回、30日乾燥した場合の目安です。
| 方式 | 1か月(30回)の目安 | 乾燥時間の目安 |
|---|---|---|
| 除湿機(コンプレッサー式) | 約700〜1,200円 | 約4〜6時間(冬は延びる) |
| ドラム式(ヒートポンプ)※洗濯込み | 約850〜900円 | 約2〜3.5時間 |
| ドラム式(ヒーター式)※洗濯込み | 約1,900〜2,300円 | 約3〜4時間 |
| 乾太くん8kg(都市ガス) | 約1,900〜2,500円 | 約60〜80分 |
| 乾太くん8kg(LPガス) | 約3,500〜4,700円 | 約60〜80分 |
| 浴室乾燥機(電気式) | 約3,900〜4,800円 | 約3.5〜4時間 |
いちばん安いのは室内で使うコンプレッサー式の除湿機です。冬は6時間くらいかかりますが、朝干して夕方取り込むなら勤務時間内に終わるので、デメリットとは言えません。
個人的にいちばんラクだと思うのはドラム式です。干す・乾燥機に入れるという作業がないからです。ただ、4人家族だと1回で洗濯から乾燥までは厳しく、朝と夜の2回回すことになるかもしれません。
乾太くんは満足度がかなり高いのですが、身長165cm未満の方が使うなら洗濯機の上だと高すぎるので横置きになり、ランドリーは最低2畳必要になります。浴室乾燥機はランドリーがいらないので1.5畳でもいけますが、お風呂の予約がしにくいのが難点です。共働きの我が家は帰宅後すぐ入れるようにタイマーで沸かすので、乾いた洗濯物を湯気で湿らせてしまったことがあります。そのため、うちでは浴室乾燥機は使わず、外干しと、雨の日は除湿機で乾かしています。



光熱費の金額は、電気・ガスの料金や機種、使い方で変わります。表はあくまで比べるための目安として見てください。
まとめ:ランドリーは「3畳必須」ではなく家全体で考える


30坪台の2階建てで室内干しだけにすると、ランドリーに面積を使いすぎて、リビングや収納が圧迫されることがあります。そういうときはドラム式や乾太くんを取り入れて、ランドリーを小さくするのも手です。リビング以外の部屋でも干せるようにしておくと安心ですね。
最初に紹介したYさんは床面積32坪で、ランドリーを1.5畳とかなり小さくした分、リビング19畳、和室3畳、独立洗面所2畳、トイレ1畳と、ほかの部屋にゆとりが生まれました。ランドリーは洗濯物を干してしまえば使わない部屋ですが、リビングや玄関、和室は実際に人が過ごす場所です。
ランドリー計画のポイント
- 広さより動線:洗う・干す・取り込む・畳む・しまうを最短でつなぐ
- 階段を経由しない:ランドリーとファミクロは同じ階に
- ランドリーを通り道にしない:帰宅動線・ファミクロ・トイレの動線と分ける
- 独立洗面をハブにする:入浴中でも洗面やファミクロが使える
- 乾燥方法とセットで広さを決める:乾燥機を使えばランドリーは小さくできる
「ランドリーは必ず3畳」と決めつけず、乾燥機なども含めていろいろなパターンを比べてみてください。
間取りで後悔しないために


1.自分の間取りを一級建築士に見てもらう(間取り診断)
3,500件以上の間取り診断をしてきた私が、あなたの図面を直接チェックします。敷地の条件や30年後の暮らしまで考えて、複数の改善案をご提案します。間取りが確定する前のご相談がおすすめです。
2.WEBセミナーで家づくりの基本を学ぶ
「30年後も後悔しない注文住宅の作り方」を、スマホで見られるWEBセミナーにまとめました。契約・間取り・窓計画など、施主が知っておきたいポイントを順番に解説しています。
3.書籍『この間取り、ここが問題です!』(講談社)
間取り診断で実際によく見る「ダメ間取り」と、その直し方を1冊にまとめた本です。自分の図面を見直すときの手引きとしてお使いください。
4.YouTube「アキラ先生の住まいの間取り教室」
実際の間取り診断の事例を、ビフォー・アフターの図面で毎週解説しています。動画で見ると、問題点と直し方がよりイメージしやすくなります。










