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【間取りで後悔】する13のポイント|一級建築士が解説!

家づくりコンサルタントで一級建築士の船渡です。

注文住宅は、施主の思い通りの間取りになるのがメリットです。
ただ、その間取りが、想像していた暮らしと違っている、ということはよくあるようです。

新居に住み始めてから、

「こんなはずじゃなかった!」

ということにならないように、注文住宅の間取り診断で後悔しがちな13のポイントを紹介します。
後悔する間取りをどのように改善したのか?というビフォーアフターも掲載していますので、家づくりの参考にしてくださいね。

一級建築士 船渡亮
1971年生まれ。神奈川県出身。株式会社かえるけんちく代表。 複数の住宅会社で設計士として活動後、施主のための家づくりコンサルティング会社を設立。 家づくりは「理想の暮らしを実現するための手段」という信念の元、年間1000件の家づくり相談・間取り診断を行う。 1万人が学ぶLINE・メルマガやブログ、Youtubeチャンネルも運営、電子書籍も多数出版SUUMODIMEオリコンダイヤモンド不動産研究所など様々なメディアの監修執筆も行う。著書に『人生が変わる片付けのルール』。2024年12月には講談社+α新書『この間取り、ここが問題です!』を出版。 法政大学卒。既婚、2児の父。
目次

1.日当たりが悪い

太陽の動きは簡単に調べられるので、どのように光が入るかは間取り検討時にわかります。
またきちんと計画すれば、近隣状況が大きく変わらない限り、ずっと太陽の恩恵を受け続けることができます。

このように「太陽は裏切らない」のですが、多くの住宅会社は太陽光がどのように入るか、といった検討をしてくれません。
また、そもそも

「日当たりが良い」
「日当たりが悪い」

というのは客観的な指標がありません。建築基準法には、居室の採光規定はあるのですが、これはあくまで「光(反射光も含む)が入る」というだけで、直射日光が入るかどうかは関係ありません。

そこで私は、「日当たりが良い家」を、冬至(12/22頃)の南中時刻(12時頃)にリビングに太陽光が入る家と定義しました。冬至は、一年で最も昼が短い日で、太陽の高さも低くて、太陽光が室内に入りにくいです。

冬至に太陽光がリビングに入るのであれば、一年中、日当たりが良いといえますね。
直射日光が入るのであれば、「日当たりが悪い、失敗した!」と思うことも少ないのではないでしょうか。

では、日当たりをよくするには、どのような配置にすれば良いでしょうか?

【隣地距離6m】冬至の光の入り方

あなたが計画しているのが、第一種低層住居専用地域なら、南側に6Mの空間(道路含む)があれば大丈夫です。
上図のように冬至でも光が入ります。

【隣地距離4m】冬至の光の入り方

4Mしかない場合は、近隣状況にもよりますが、冬至の昼間には直射日光が入らないかもしれません。
この基準で考えた時、日当たりが悪い家というのはかなり存在することになります。

例えば、私がコンサルティングしたSさんの家は、南側隣地との距離が1.8mしかありませんでした。しかも2階にルーフバルコニーがあるため、まったく直射日光が入りません。

断面検討した結果、1年中、直射日光が入らないことがわかりました。

【断面検討】全く直射日光が入らない家

Sさんも日当たりには不安があったのですが、ここまでヒドイとは分からなかったようです。
最終的には、1階リビングは諦めて2階リビングで間取り確定しています。

全く光が入らない家の間取り改善:かえるけんちく相談所

日当たり改善の方法としては、今回のように2階リビングにする、南側の距離を確保する、吹き抜けを作る、高窓にする、といった方法があります。

日当たりが悪い、というのは、住んでから精神的にもキツくなり、鬱になってしまう方もいらっしゃいます。ただ建ててしまってからでは、リフォームで対応するのは難しいです。

不安がある場合は、近隣状況をよく観察した上で、住宅会社に断面図を作成してもらうなどして検証した方が良いですね。

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2.LDKからの眺望が悪い

日当たりの次によくあるのが、「眺望を活かせていない」です。
どんな敷地条件であっても、眺望が良い、または視線が抜ける方向があります。

「家に囲まれているので、眺望なんて期待できないです」

という場合でも、よく見ると必ず視線が抜ける方向あります。
本当に何もなければ、室内から「空」を見れるように工夫することもできます。

「そんなに眺望って大事ですか?」

と思われる方もいるかもしれませんが、旅館やホテルでは、「海ビュー」や「富士山ビュー」の部屋の方が、同じ大きさでも価値が高いですよね。

ましてや毎日生活する自宅ですから、お隣のエアコンやトイレの窓が見えるよりは、道路や空、樹木などが見えた方が快適に決まっています。

この眺望ですが、間取りだけを見ていると意識するのを忘れてしまいます。
住宅会社の設計者も、よほど気の利いた方でない限り、眺望は無視してプランします。

そのため、まず最初の間取りが出来た段階で、窓から何が見えるか?をチェックしてみましょう。
またどの方向が眺望が良いかの確認もした方が良いですね。

「うちは、庭も広いし、リビングからの眺望も最高ですよ」

という場合は、どんな時にその眺望を楽しめるか?も意識しましょう。

別荘地で計画しているWさんの間取りですが、ソファに座ったときは庭の眺望が楽しめますが、食事をする場合にはカップボードを見るようになりますね。

絶景を活かせない平屋の間取り:かえるけんちく相談所

二人暮らしの家なので、キッチンと一体のダイニングでも良い、とも言えますが、カップボードを見ながらの食事って、変化もないし味気ないです。

IT企業に勤めるWさんは、ほぼテレワークでの仕事になるので、朝・昼・晩と自宅で食事します。
それなら季節によって変化する庭や自然を楽しみながら食事した方が良いですよね。

【改善】絶景を活かせない平屋の間取り:かえるけんちく相談所

そういう思いから、上記のような間取りを提案しました。


現在工事中で完成が楽しみです。

このように食事中に見える眺望という視点で間取りを見直してみると良いですね。Wさんの間取りのビフォーアフターは動画で紹介しています。

3.希望の家具がおけない

「家具が書いてない間取り図は、図面ではない」

と私は常々思っています。
理由は、家具を置かなければ生活は想像できないし、希望のものが入るかはわからないからです。

アパートやマンションでも見た目は綺麗だけど家具が起きにくいって部屋ありますよね。
賃貸なら引っ越せば済みますが、注文住宅は何十年も住むことになります。

まともな住宅会社は必ず平面図には家具が記載しています。人気の一条工務店さんの図面には必ずダイニングテーブル、ソファ、テレビ、ベッド、勉強机まで書かれています。

ですが、何も書かない会社って未だにあります。そのような会社は候補から外した方が良いのですが、そういうわけにもいかない場合には、家具を書いてもらうようにお願いしましょう。

書いてもらうべき家具は、

・ダイニングテーブル
・ソファ
・テレビ
・ベッド
・勉強机

です。ここで注意したいのは、家具の大きさ。
図面には、子供が成長した時に必要となるだろう家具の大きさを書いてもらいましょう。

ダイニングテーブルとソファの一般的な大きさは以下となります。

・ダイニングテーブル

3~4人家族 150cm×80cm
5~6人家族 180cm×80cm

子供が小さいうちは小さいテーブルで問題ないですが、中学生になると体は大人と変わらなくなります。また、子供が結婚すれば、孫を連れて帰省も考えられます。家族の変化も見据えて、ある程度の大きさのダイニングテーブルを配置できるようにしましょう。

・ソファ

2人掛け 130cm×90cm(最低110cm×90cm)
3人掛け 210cm×90cm(最低180cm×90cm)

3~4人家族であれば、3人掛けが入る大きさがお勧めです。

リビングの家具配置には、以下の目安にしてください。

リビング家具配置の必要寸法:かえるけんちく相談所

詳細は、ダイヤモンド不動産研究所での連載記事を参照してみてくださいね。

注文住宅のリビング計画は家具配置から考えよう! チェックポイントや間取りの改善例も紹介

4.シューズクロークが使われない

ここ5年くらいシューズクロークがブームになっています。
大手ハウスメーカーの場合はそこまで多くないですが、工務店は提案している会社が多いですね。

これまで狭くて散らかった玄関でうんざりしてきた方達にとって、シューズクロークがある玄関は、全てを解決してくれる「救世主」のように見えるかもしれません。

ですが、実際にシューズクロークを作ってみたけど使われない、ということは多いようです。

なぜか?
原因は2つです。

1)シューズクロークを通ると帰宅動線が長くなる。

そもそもですが、シューズクロークをつくるのは、「ラクして」表玄関を綺麗に保つのが目的です。
ですが、多くのシューズクロークは、遠回りしなければならない計画になっているので、「シューズクローク」を使うこと自体が面倒になるんですよね。

誰しも少しでも近道を通りたいと思うので、上記のように遠回りになるような間取りには気を付けた方が良いですね。

2)シューズクロークが狭すぎる

こちらの方がより深刻です。
狭い玄関に無理やりシューズクロークを設けたので通路幅が狭すぎる、という場合が多いです。

よくあるのが、シューズクロークの通路幅が780mmというもの。
これ、マンションやアパートの玄関と同じかそれより狭いです。

せっかく新居になったのに、狭くて靴だらけの玄関を通らなければならないって、意味がわからないですよね。

狭すぎるシューズクローク:かえるけんちく相談所

ちなみに私が間取り診断した中で最も狭いシューズクロークがこちら。
635mmです。

奥様は確かにスリムな方でしたが、、、これはヒドイですよね。
この間取りをみて設計者としての良心が痛まないのか?と思いました。

もちろん状況を説明しシューズクロークを中止、快適で収納たっぷりの広い玄関に変更しました。

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5.手洗いが玄関から丸見え

コロナ渦で、帰宅したら即手洗いする、という習慣が根強いていますね。
また間取りでも玄関近くに洗面化粧台をおく計画が増えています。

ここまでは良いのですが、、、この考え方を突き進めて、玄関脇に手洗いを付けるという商品をアイダ設計さんが出しています。

かっこ悪い玄関手洗いの見本:かえるけんちく相談所

これ、、、、私は最初、冗談かと思ったのですが、これをしたって方、結構多いんですよね。

「住んでから後悔するんじゃないかなー」

と思うので、全力で止めに入っています。

後悔すると思う理由は4つです。

1)見た目が悪い

玄関は家の顔ですよね。お客様を招く場所だし、出来るだけ綺麗にしたいと思います。

それに対して、手洗いってのは、基本隠したい部分だし見せるものではないです。
またデザイン性の高い手洗いでも、石鹸やらタオルやら生活感のあるものが置かれます。

それって、さすがにダサくないですか?

2)水が跳ねる


アイダ設計の事例もそうですが、玄関に置かれる手洗いは小さいものが多く、床に水はねしやすいです。大人は気を付けるにしても、子供は厳しいです。玄関の床が水に濡れているって、ちょっと嫌ですよね。

3)複数の家族に対応できない

家族で出かけて帰宅した場合、家族全員が手洗いします。
もし、玄関横で手を洗ってからでないと室内に入ってはダメ、というルールがある場合、玄関で家族が渋滞しますよね。

「今、混んでいるから洗面所で洗うね」

という家族もいるはずですし、真っ当な意見です。
玄関の近くに洗面所があるのなら、ここで手を洗う必要ってあるのでしょうか?

4)手洗いだけにしか使えない


今回の新型コロナウィルスには、手洗いは有効でした。
ただ手洗いだけでなく、うがいが効果的な感染症が流行った場合にはどうするのでしょうか?

その時は、洗面化粧台でしっかり手洗い&うがいをする必要がありますね。
そうなると、この手洗いの役目はかなり限定的になります。

また洗面化粧台なら、手洗いうがいの他にも、洗顔する、ひげをそる、ドライヤーをかける、収納するといった他の用途にも使えます。

ですが、玄関手洗いの用途は「手洗い」だけです。

そのためだけに、場所をとるのは、コスパが悪いと思います。

以上、4つを理解した上で、なおも玄関に手洗いを設置するのであれば、後悔はしないと思います。
しっかり暮らしを理解した上で採用しましょう。

6.玄関からキッチンまでが遠い

玄関からキッチンまでが遠いのも荷物の搬入を考えると大変です。
間取り検討時は、動線まで頭が回ってないこともあるので、どれだけの距離があるのかを確認してみましょう。

特に上記のような2階リビングの場合は、階段があるので長くなりがちです。
この方の場合は、階段の向きを左右反転しました。

現在の住まいと比べて、あまりに長い場合は玄関とキッチンの位置を再検討した方が良いですね。

ちなみに2階リビングの場合は、階段の上り口の近くに収納を配置すると、水やお米など重いものを一時的におけるので重宝します。

6.洗濯動線が遠い


最近は、共働きが増えたこともあり、室内干しが人気です。
洗面脱衣室や専用のランドリーを設ける場合は多いので、洗濯→干す という動線は確保出来ている場合が多いです。

ここで問題なのは、畳む→収納する という動線です。
出来れば、干した場所から近い位置で畳んで収納したいですね。

例えばこちらの間取りですが、1階にランドリールームがありますが、主寝室のWICは2階です、
これでもダメではないのですが、結構、動線が長いですね。

出来れば

洗濯→干す→畳む→収納

という動線を最短にしたいところです。
そのため、このように改善しました。

2階にあった寝室を1階にして、水廻りを全て2階に移動しています。
またWICはファミリークローゼットにして、ランドリー横に設置しています。

これによって、洗濯→干す→畳む→収納するという動線が最短になります。
またほぼ全ての家事を2階で行えるので、子供の様子を見ながら洗濯する、といったことも可能になります。

共働きの子育てはとにかく時間がありません。
この間取りであれば、子供を気にしながら、洗濯機を回しつつ、食事を作る、ということが可能です。

家事時短を目指すなら、全てを同時並行で行えることを考えた方が良いですね。

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7.キッチン廻りの収納が少ない

私は間取り診断時に必ず、今のお住まいの間取りとキッチンやリビング、玄関の写真をいただき確認しています。
子育て真っ最中の方が多いので、どうしてもリビングは散らかってしまうのですが、キッチンも負けじとモノで溢れてしまっていますね。

これはその方が片付け下手、ということではなく単純に収納が少ないことが原因です。
リビングは子供が大きくなるにつれて、活動が学校や子供部屋に移るのでモノは減っていきます。

ただキッチンは、食器が大きくなり、食料品も増えるので、より収納力が必要になるはずです。

必要な収納量は家族によって違いますが、私が一般的に推奨しているのは、

・カップボード長さ1800mm
・パントリー長さ  900mm

です。
これだけ確保すれば、なんとかなります。
そして、これらの収納は、キッチンの背面に計画するようにしましょう。

例えばこちらの間取りですが、収納たっぷりに見えますが、キッチンから数歩歩かなければなりません。

これは結構使いにくいので、カウンターキッチン上に物が置かれそうですね。
間取り診断でこのように改善しました。

またこちらも大容量のパントリーで良さそうですが、キッチン背面には、1800mmのカップボードしかありません。これだとパントリーまでわざわざ歩かなければならないので面倒です。

そのため、このようにキッチン背面には、カップボードと900mmのパントリーを確保。
その上で通路延長線上に大容量のパントリーを設置しました。

キッチンの収納量を確保したら、使いやすい位置にあるのか?を検討してみてください。

8.近隣や道路からの視線が気になる

間取り図だけで検討していると、近隣住居や道路からの視線について忘れがちです。住んでから、視線が気になってストレスとならないように、事前に検討しておきましょう。

ここでは間取り診断をしていてよくある3つを紹介します。

1)玄関ドアから中が丸見え

玄関ドアを開けた時に、歩行者やお隣さんと目があったりすると気まずいですよね。
また間取りによっては、ドアからリビングが丸見え、ということもあり得ます。

特に、

・ごみ捨て場
・月極駐車場やコインパーキング
・コンビニ
・近隣住居の玄関
・公園

から玄関が見える位置にある場合には防犯やプライバシーを考慮して、玄関位置を変える、目隠しを付けるといった対応を検討しましょう。

2)視線が気になりウッドデッキが使えない

リビングと連続してウッドデッキがあると、室内も広く見えるし、気軽の外に出れるので私も大好きです。

ただウッドデッキが、割と歩行者の多い道路から丸見え、となると、長時間の活動は難しいですよね。
特に、ウッドデッキでお茶や食事を楽しみたい!という場合には、目隠しは必須です。

目隠しは植栽や目隠しフェンスなどが一般的ですが、問題となるのはその高さ。
道路から、1.8m程度あれば、ある程度は隠せますが、ウッドデッキは地面から50センチ以上高い位置にあるので位置によっては歩行者から見えてしまいます。

上記のように道路幅も考慮した上で断面的に検討して高さ設定をした方が良いですね。

ちなみに道路からの視線が防げても、近隣の2階からの視線から隠すことはできません。
近隣の窓が型ガラスの場合はそれほど気になりませんが、透明ガラスの場合は注意が必要です。

3)吹き抜け


吹き抜けを設置することで、日当たりをよくする、開放感を演出する、空やお月様が見えるといったを得られます。私も大好きですが、吹き抜け上部の窓は近隣からの視線を考慮して検討しましょう。

先日、コンサルティングした方は北側に吹き抜けを計画していたのですが、北側擁壁上の住宅の玄関ポーチから丸見えになることがわかりました。


もちろん、透明ガラスではなく型ガラスにすれば良いのですが、せっかくの吹き抜けですから空を見たいですよね?

完全に室内が見えないようにすることは難しいですが、断面検討することで、どこまでなら見える、見えない、といったこともわかります。
吹き抜けを採用する場合には注意が必要ですね。

9.ZOOMで仕事できる場所がない

IT企業を中心にほぼ、在宅勤務という方も増えました。
パソコンで作業するだけなら、ダイニングテーブルの上でもできますが、問題はZOOMなどでおこなうテレカン(遠隔会議)です。

「子供は保育園なので、特に問題ないです」

と考えている若い夫婦も多いのですね。
以前、間取り診断した方は、廊下の一部をホールにして仕事するとおっしゃっていました。

ですが、大事なことを忘れています。

子供は成長し、小学生、中学生になります。
そして夏休みなどの長期休みは1日中、家にいる可能性があるわけです。

また子供だって、友達を家に呼びたい日もあります。
リビングでテレビをみたりゲームもしたいです。
日中、親が家の全てを自由に使えるわけではありません。

そんなわけで、在宅勤務の可能性がある場合には、仕切れる部屋を用意しましょう。
書斎でも良いですし、寝室の一部にデスクを置いてもいいです。

10.夫婦の時間を持ちにくい

夫婦のセックスレスが話題になって久しいですが、日本の住宅事情もその一因になっているのではないか?というのが私の持論です。
少なくとも、精神的なハードルにはなっているとは思います。

実際、調査すると、83%の方が家でセックスしにくいと考えています。
最も大事なのは、夫婦の寝室のプライバシーを確保することです。

上記のように、子供部屋の隣の寝室の場合は、収納をはさんで防音するといった工夫が必要です。

詳しくはこちらのブログ記事で紹介していますので、チェックしてくださいね。

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11.夏暑くて冬寒い

戸建て住宅といえば、「夏暑くて冬寒い」というのは定番でしたが、近年の断熱性能の向上で、「冬寒い」の方は、かなりマシになってきました。
とはいえ、日当たりの良いマンション暮らしの方が戸建てに引っ越すと

「やっぱりマンションより寒い」

となりますので過度の期待は禁物です。
また、吹き抜けやリビング階段を採用する場合には、今後、断熱の最低基準になる可能性が高い「断熱等性能等級4」では厳しいかもしれません。

少なくともZEH以上の断熱性能を確保し、日当たりもよくするようにしましょう。

さて、冬の寒さはなんとかなりそうですが、問題は夏の暑さです。

断熱性能が高くなった分、日射が室内に入ると熱が逃げにくくなります。
冬は良いですが、夏は厳しいですよね。

この夏の日射問題は、窓計画の最適化である程度解決できます。

基本的には、

・南の窓は大きく
・東西北の窓は小さく

で計画するようにしましょう。
真南に向いていれば、庇を付ければ日射遮蔽は出来ますが、南西向きの場合は西日も入る場合があります。

別途、すだれやスクリーンを設置することも検討した方が良いですね。

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12.車いすになった場合に1階で暮らせない

注文住宅を建てる多くの方は、「この家を終の棲家にする」と考えているようです。
いつまでも元気であれば良いのですが、私たちは歳をとります。

また病気や事故で車いすでの生活になる可能性もあります。

「その時どうするか?」

ということは、ある程度、想定しておきましょう。

1階で生活が完結する間取りなら心配はいりませんが、そうでない間取りも多いです。
2階リビングもそうですが、1階リビングでも、1階に寝室や水回りがない場合もあります。

「そうなったら売却して、マンションに住みます」

そうですね。いいと思います。

「生活できるようにリフォームします」

もちろん、OKです。
ただし、リフォームといっても、元も間取りが影響しますので、なんでもできるわけではありません。
また大規模なリフォームの場合、費用もそれなりにかかります。

そのため、「リフォーム後の間取り」を意識して計画しましょう。

例えば、この間取りのように、若いときはリビングを大きく使い、歳をとったらベッドを置けるようにすることもできます。

この場合のリフォームはリビングに壁を設置するだけ。
自分でもできそうですね。

このように想定しておけば、老後に多額の出費をする必要もありません。
中年になってから、急に不安になることないですね。

13.大地震で倒壊する

地震に強い家といえば、「耐震等級3」「制振装置」「構造計算」などが思いつくかもしれません。
それらも大事ですが、もっとも重要なのが、間取りです。

熊本地震では、「耐震等級2」の住宅が倒壊して住宅業界に衝撃が走りました。

日経 Xtechより

なぜ、この住宅は倒壊したのか?
理由は3つです。

・在来工法だった
・地盤が悪かった
・直下率が極端に低かった

この中で、間取りと関係するのは、「直下率」です。
直下率とは、1階と2階の柱と耐力壁が揃っている割合です。

ざっくりいうと、総2階の家は地震に強いけど、それ以外が弱いということになります。

詳しくはこちらの動画で解説していますので、チェックしてみてくださいね。

地震に強い家にするための2つのポイント

「大きな後悔を避ける」ことが大事

「住んでみないとわからないこともありますよね」

って住宅会社の営業さんは言うかもしれませんが、ほとんどのことは住む前から想定可能です。

私たちは歳をとり、子供は成長し、多くの人が面倒なことは嫌いです。
決まった時間に太陽は上るし、いつかは大地震が起きます。
近隣の家は建て替えられますが、ある程度の想定は可能です。

「あー、ここにコンセントがあれば良かった!」

といった些細な後悔はあるかもしれませんが、大きな部分での想定はできるのです。

問題は、視野が狭くなって、今の暮らしや興味あることにだけ集中してしまうこと。
「注文住宅を建てる」こと自体がとてもリスクが高い行為なので、なるべくリスクヘッジしましょう。

30年後も、「大きな後悔」がないように、しっかり間取り検討してくださいね。

では!

家づくり初心者の応援企画を始めました!

最後に家づくり初心者の皆さんへの応援企画のお知らせです。

当ブログでは、読者の皆さんに「確実に家づくりに成功して頂きたい!」そんな思いからバランスよく知識や知恵を身に着けて頂ける教材をプレゼンしています。

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しっかり学んで、充実した家づくりにしてくださいね。

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■イマイチな間取りから複数の改善案を作り間取りを比較検討する方法
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といった実践的な内容です。

参加された方からは、

「注文住宅を検討するにあたり、その基礎となる考え方、注意すべきところをよく理解できました。無料で学べるのがもったいないくらいです」
「知っていると知らないとでは家づくりが全然違うものになってくると確信した。」
「順番に見て家づくりの不安がだいぶ解消されました」

といった感想を頂いております。

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この記事を書いた人

家づくりを通して、ライフスタイルをデザインして欲しい、という思いから、このブログを立ち上げました。二児の父でもあり、家事もバリバリこなすイクメンです。
一級建築士 / インテリアコーディネーター

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